「ボクシング村」の気持ち悪さ
昨晩の那須川天心VS井上拓真戦。
那須川は昨年一度、井上に負けており、リターンマッチとなったわけであるが、結果は判定3-0(116-111,114-113,116-111)で那須川の惨敗。那須川が井上相手にダウンを奪ったにも関わらずだ。
試合中も明確な後頭部への打撃を何度も繰り返した井上。ロープを掴み、ダウンを回避したラウンドもあった井上だが、ジャッジペーパーは、そのラウンドも井上に入っていた。
ボクシングは、ラウンドマストシステムである。ラウンドマストというのは、各ラウンドで必ず優劣をつけるという判定基準。10-10はなく、10-9で。ダウンを奪えば、2ポイント差の10-8を付けるのが通例。
昨晩は、4ラウンドが終わった時点でジャッジの途中経過が発表され、ひとりのジャッジが40-36で井上を支持。1~4ラウンドすべてで井上が取ったという評価であるが、さすがにこれはやりすぎだ。
競っていてイーブンの展開でも、ラウンドマストの場合、必ず優劣をつける。これは王者に、もしくは勝たせたい選手を評価するのに圧倒的に有利なルール。「どっちともとれる」に明確な差をつけていくことにより「意味不明な大差」を意図的に作り出せることが出来るからだ。昔からボクシングはホーム側が圧倒的に有利で、八百長も常に疑われるのは、このシステムのおかげとも言える。
実際の試合内容からすれば、僅差の3-0、場合によってはスプリットで井上の試合だったが、蓋を開ければ5ポイント差がふたりのバイアス判定。スポーツに公正さを求める人間からすれば、後味の悪い味付けの試合となった。
さらに気持ち悪いのが、竹原、畑山、渡嘉敷のYouTubeチャンネル。天心は後頭部への反則をアピールしすぎと竹原が苦言を呈していたが、明確な後頭部への打撃を繰り返す井上に対し、竹原が「(天心は反則を)アピールしすぎ」と擁護している点。スローでも追えないくらい、目が悪くなっているのだろうか。反則されても黙って戦え。王者相手には黙ってそのままダウンしろ、という言葉にも聞こえる。
そもそもスポーツの引退の多くは、目の衰えから来る。レフリーもジャッジも解説も、目の衰えた連中がやっている時点で「匙加減」競技としかならないわけだが、その虚構(=便利なラウンドマスト)を半世紀以上守り続けている時点で「そういう競技」として捉えるしかないのだろう。
明確なダウンを奪い、10-8のラウンドを作っても、王者は何となくの10-9を2回で取り戻せる素敵なシステムとそれを擁護する歪んだオールドファンたち。ボクシングは「気分」で見て、勝たせたい方を簡単に勝たせることが出来る競技ということなのかもしれない。逆にいえば、亀田兄弟などは、ファンは勝たせたくないのに「力学」的に勝ち続けることが出来たから、アンチビジネスで注目を集めることが出来たとも言えそうだ。
個人的には、青木真也の「ボクシングが強いのは井上さん。格闘技が強いのは天心さん」というポストがいちばん腑に落ちた。




