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第12話

★戦国武将×偉人★

混沌極める乱世で、少女が運命に抗うIf戦記。予測不能な異世界戦国時代の幕開け!

 安芸国、吉田郡山城下のとある屋敷。

 私たちのお借りしている拠点だ。毛利軍の力を借り、九州へ進軍するまで残り1週間となった。

 傷も完全に癒えた私と三郎殿はより自分の力を使いこなすために、朝から稽古に勤しんでいた。


「それにしても三郎殿。よくぞ、あの高さの天守から落とされ無事だった……な!」


 私の踏み込みを三郎殿は見事に受け流す。だいぶ柔の動きが出来るようになっている。


「まぁな。月山富田城が天然の山城で良かったぜ。落ちた場所に木が生い茂ってたからな……お返しだ!!」


 木と木が激しくぶつかり合い、乾いた小気味良い音が殺風景な庭園に響く。

 しかし、木の上に落ちたとはいえすぐに動けるものか?元々それなりに重傷だったろうに。


「無事で何よりだが……三郎殿は何と言うか、少し怪物じみてないか……?」

「お前にだけは言われたくねぇ!」


 私と三郎殿がじゃれあって居ると、世話をしてくれている女中の方が慌てて駆け寄ってくる。


「由布様。お客人です。何やらお目通り願いたいと……風変わりな可愛らしいお子が」


 可愛らしいお子?輝くんかな?

 いや、輝くんなら女中の方もよくご存知のハズだ。まさか、十吉くんや誾千代殿か!!?


「すぐに行こう!」


 私は修練の片付けを三郎殿に任せ、喜び勇んで館の入口へと向かった。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 吉田郡山城城下町。

 朝日が昇って半刻程。人々は皆が忙しなく町を行き交う。その姿は活気に溢れており、毛利家の統治が磐石であることは疑いようもなかった。

 

『毛利へ……立花宗茂くんの元へ行くんだ』

『一ノ瀬雪夏を頼るのです』


 町の喧騒にまみれながらも、脇目も振らずただ前だけを見据える眼(まなこ)。

 その視線の先には一際目立つ、大きな屋敷へと向けられていた。早朝でも木と木がぶつかり合うような修練の音が聞こえてくる。


『私たちはずっと君のことを見守っているからね』

『自慢の娘。広くを学び。この世界をあの子と一緒に駆け回りなさい』


 城門をジッと見つめる。

 

『君は随分とあの娘を買ってるねぇ?』

『えぇ。あの子はとっても良い子よ。きっとこの子を大切にしてくれます』


 小さな背中に背負った大きな風呂敷をずり落ちないように少し持ち上げる。


『もう、行かないと。愛しているよ、私たちの娘』

『身体には気を付けるのですよ』


 しばらく待つと屋敷の奥から"ドタバタ"と音が聴こえてきた。急いでここへと向かっているのが分かる。


「待たせた!十き……尼子の残党か!?」


 奥から出てきた一ノ瀬雪夏は視線の先の"少女"を見るや後ろさばきに構える。冷や汗が止まらない。その"少女"はとても見知った顔と幼いながらも瓜二つだったからだ。


「はじめまして、一ノ瀬雪夏」


 聞き馴染みのある抑揚のない単調な話し方だが、その声はどこか子供らしい愛らしさを残していた。


「私の名前は『自律支援型絡繰人形"しぃゆぅぶい-320"』。通称:サツキと申します」


 時代背景にそぐわない、大正ロマンな袴姿。この時代でなら未来的だと言って良い。


「"常識的に考えて"、一ノ瀬雪夏に仕えよとご指示を受けました」


 サツキと名乗る"絡繰の少女"は大きな風呂敷を床に下ろし、小さな手で袴の裾を軽く持ち上げお辞儀する。


「末永く。何処までもお側でお仕えさせていただきます」


第四章-完-

ご覧いただきありがとうございます!

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