プロローグ
★戦国武将×偉人★
混沌極める乱世で、少女が運命に抗うIf戦記。予測不能な異世界戦国時代の幕開け!
尾張国、某所。
扇子を打ち鳴らす乾いた音が、薄暗い小間に冷たく響く。男は古びた地図をつまらなそうに眺めていた。
「尼子家が滅びましたね。絡繰兵は良い線でしたが……あそこまで死んだ娘に固執するとは。人間とは実に非合理でくだらなくて面白い……くふふ」
男の後ろで背後の影が蠢いた。
掠れた老人の声かと思えば、無邪気な少女の笑い声が混じり、形を持たない『何か』が男の対面に這い寄る。
しかし、見せた姿は暗闇に紛れるかのような黒い直垂を纏う壮年の武士だった。
端整な顔立ちではあるがその双眸はまるで黒い水晶玉が嵌められているだけのようにみえた。
両頬が三日月状に釣り上がり愉快そうに男を見据える。
「……黙れ、"弾正"」
◆◆◆
【松永久秀】
戦国時代きっての梟雄。通称は弾正。主君の暗殺や大仏殿の焼討ちなど悪逆非道な振る舞いで知られるが、茶の湯を愛する一流の文化人でもあった。
◆◆◆
男は地図上の『尼子義久』と書かれた木簡を拾い上げ、弾正と呼んだ壮年の武士へ無造作に放る。
「所詮は児戯よ……端から期待などしておらん」
「左様ですか」
弾正が放たれた木簡を楽しそうに摘まみ上げるとそれは黒い霧となり消えていった。
男は再び扇子を弾く。
「西の動向が気になりますか?」
「……」
「確かに、毛利と島津がぶつかるのは"十三回目以来"だいぶ久方振りではありますね。あの頃の貴公はもう少し喜んでいたではありませんか?」
男は興味がなさそうに小さく鼻を鳴らし、不承不承に弾正へ向かって声を掛ける。
「……"中身"は?」
「面白い取り組み合わせになっていますよ。"古代スパルタの王"と"フランス革命の英雄"。どっちが勝ってもおかしくはない」
「で、あるか」
男の視線は西側諸国に置かれた"立花宗茂"の木簡へと自然と向けられていた。
「あぁ。本当に気になるのは"特異点"の動向でしたか。今回、毛利と島津が衝突する要因にもなっていますしね。小生も楽しみで、楽しみで……くふふ」
「……全ておみゃが仕組んだ事ではないか」
「小生は"人を狂わせる"事はできますが、心を変える事など出来ませんよ。ましてや愛だの何だのは特にね。偶然の産物です。くふふ……だから面白いと言うのに」
「立花宗茂か……ふん」
弾正は不気味な笑みを更に深くする。先程とは違い、男の声音が僅かに喜色を感じるからだ。
「軍団長を召集せよ。ひと月後、余の元へと侍らせい」
「はっ……かしこまりました。"織田信長"公」
弾正は己が仕える主へ仰々しく、深々と頭を下げた。
◆◆◆
【織田信長】
戦国時代を終結へと導いた天下人にして『第六天魔王』。常識に囚われない革新的な政策と圧倒的な軍事力で、日ノ本を席巻した。
◆◆◆
仕事が多忙のため次回更新日未定と致します。
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