第2話
★戦国武将×偉人★
混沌極める乱世で、少女が運命に抗うIf戦記。予測不能な異世界戦国時代の幕開け!
結論から言えば私は山の主を討伐し、少年の信を得ることが出来た。手強くはあったが、羆程度の大きさで明確な弱点があったのと、少年が良い小太刀(父親から譲り受けたらしい。恐らく、業物だ)を持っていた為に勝てない相手ではなかった。
少年の名は十吉と言い、私が目指していた山の麓にある村に住んでいるらしい。私にはまだ見分けが付いていないが、地元民なら山の形で迷うことはないとのことだ。
「姉ちゃは何処かの国のお姫様ばい?」
「はは。何故そう思う?」
「変わった服着とぉしな。喋り方も『宗茂』様に少し似てるとね」
「宗茂様?」
「ん?宗茂様知らんの?」
「あ、あぁ。何せ、魔物狩りの為に色々な場所を旅して回っていたからね。一所に居たことがないんだ」
十吉くんとの会話でここが私の知っている日本ではないが、日本に限りなく近いことは理解した。単純にタイムスリップかと思ったが(それでも不可思議現象には変わり無いが……)魔物の存在を考慮すれば別世界と考えた方が自然だろう。
それをそのまま伝えても信じて貰えないのは解かり切っているし、彼は中々聡い子だ。変な不信感を抱かせないで村まで案内して貰うのが先決。しかし、『宗茂』か……偶然だろうか。
「じゃぁ、その変わった服も南蛮のやつなん?」
「あぁ。こう見えてよく動けるのだよ?」
「へえ!腰のところがヒラヒラしてるし、ヒラヒラの下にも布巻いてるもんだから、何かと思ったばい」
下着を見られていた……!
と、当然か。学生服のまま、気付いたら此処だし。あれ? 私の今日の下着は何色だ? 父が買ってくれたフリフリの派手派手の奴だったような……なんて、なんて物を年端の行かない少年に見せてしまったのだ私は! いや、可能性を捨ててはいけない。普通の、無地の白である可能性も十分あるのだ。「--ちゃ」いやいや、私のような女の下着を見せてしまうこと自体が問題ではないのか? 見せるにせよもっと可愛げのある女性の……いやいやいや、何を考えてるんだ私は。そもそも……
「姉ちゃ!!?」
「うわ!びっくりした!」
「びっくりしたじゃなか!急に黙り込んでどないしたと?」
「え!?」
「顔も真っ赤になっとぉし。疲れと?」
あ、これは頭が回っていないな。私。
「すまない、十吉くん」
「そんな、謝るほどの事でもないけん。ただ、急だったから」
「ちょっと、疲れてしまったのかな。だ、大丈夫だよ」
「ふぅん。それならもう少し歩いたところに川があるけん。休も!」
「あ、あぁ、そうだな!」
川の辺りで私はこっそり下着を確認した。
良かった……白色で無地だった。
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あれから2時間ほど山道を進み、ついに私たちは十吉くんの家があるという村までたどり着いた。
山に囲まれたその村は、まるで湿原のように稲穂が立派に生い茂た水田の先にあり、牛を引いた老夫婦がこちらを見て手を振っている。それに気付いた十吉くんが元気よく手を振り返す辺り知り合いか、村での交流が深いのだろう。
「良い村だね」
「でしょ! ここは山に囲まれてるけん、魔物さえ何とか出来れば戦に巻き込まれることもなかよ」
「戦、か……」
彼の着ている服から察するに進んだ時代ではないと思っていたが、戦があるような世界か。問題は魔物だけではないようだ。
「姉ちゃは戦のない所から来たん?」
「ん? 何故そう思うんだい?」
「なんとなくやけん。戦って言った時の姉ちゃの顔が不安そうだったから」
「よく、見ているね」
「僕の母ちゃも同じような顔をするんよ。父ちゃは戦に行って、そのまま帰って来なくて……」
「そうだったのか……」
私の時代にも戦争はある。だが、こうも身近なものだっただろうか?
身震いが止まらない。願わくば、この村にまで戦火が伸びなければよいのに……。そう、思わずにはいられなかった。
叶うはずもないのに。
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