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「魔法が最強? あたしの剣の方が速いんだけど?」 元【剣神】のVRMMOストリーマー、魔法一強の異世界で無自覚無双する  作者: 卯月真琴
冒険者登録編

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9、検証してみたい

 今日は朝からレモーネを連れて山へ遊びに……もとい、色んな検証をしにやってきている。

 あたしたちがいるのは山の中腹の少し開けた場所。

 ここはレモーネが見つけた休憩スポットのようで、1年を通じてずっと花が咲いている花畑がある。

 面白いことに、この花畑には魔獣が近寄ってこないようで、山に入る村人たちの避難場所としても機能しているらしい。


「綺麗だし、良い香りがするんだけど、どうやら魔獣はその香りが苦手みたいなの。だからモカも、何かあったらここに逃げ込むといいよ?」


「そうね、覚えてたらそうするよ。それより、今日、レモーネに付き合ってもらったのにはちょっとした理由があるの」


 花畑の真ん中に座り込み、花冠を作り始めたレモーネに向き直って腕を組む。遊びに来たわけじゃないんだけどなぁ。


「昨日ちょっと聞いたやつ?」


「そうよ。あたしの今の力の検証をしたいって話」


「それは良いんだけど、何をするの?」


 今日検証したいことは4つある。

 1つ目、言語について。

 2つ目、剣技について。

 3つ目、魔法について。

 4つ目、システムについて。

 以上だ。


「そんなに時間は掛からないけど、色々と確かめたい事があるから付き合ってね。まずは言語からね」


 あたしがレベルアップして手に入れたポイントによって、言語スキルが獲得出来た。

 毎日寝る前に新しいスキルを獲得出来たかどうかを確認するようにし始めたけど、どうやらこの世界におけるスキルは経験獲得式なんだと思う。

 例えばジャムを作った日の夜、スキル欄にはアクティブになった料理スキルレベル1と清掃レベル1があった。

 BLOの時にあたしが使っていたスキルはグレーのままで非アクティブ状態なのに、生活スキルは経験した事で獲得出来たと言うことは、そう言うことだと思うんだよね。


「あたしの言葉が理解出来るようになった時、少しずつあたしの言葉が理解出来るようになっていったでしょ?」


「え、うん……なんか、すごいカタコトだったのがカタコトになって、すぐに普通に話せるようになってたよね?」


 そう、だからレベルが上がるごとに熟練度というか習熟度も上がるってことだろう。

 そして、言語スキルのレベルが3になった時に普通に会話することが出来るということは恐らくこういう事なんだと思う。

 レベル1 初心者

 レベル2 中級者

 レベル3 一人前

 さらに言えば、あたしの持つBLO由来のスキルたちで確認したけど、この世界におけるスキルレベルの最大値はBLOと同じ10だから、こっちの世界でも最大値は10なんだろうね。

 それを踏まえると、

 レベル4〜5 熟練

 レベル6〜7 達人

 レベル8〜9 英雄

 レベル10 神域

 という感じかな?

 レモーネや他の村人、鍛冶屋のお爺ちゃんから聞いた話を総合すると、一般人は高くて4。頑張って5まで。

 6〜7は多く無いけどいる。

 8〜9は本当に一握りで、10に至っては歴史上でただ1人だけ存在が確認されている。

 とまぁ、こんな感じかな? おっと、ちょっと脱線しちゃった。今日やりたいのはまた別の事なんだよ


「レモーネに確認してもらいたいのは、あたしの言葉と文字についてなんだよね」


「あたし、文字書けないよ?」


「……え?」


「え? モカは文字書けるの?」


「それを確かめたかったんだけど……」


 そ、そっかぁ……レモーネ、文字が書けないのかぁ……これは人選をミスったかも知れないなぁ。


「まぁ仕方ない。それなら会話について検証しよう」


 まずはずっと気になっていたことが知りたい。

 それはつまり。


「レモーネの口の動きと、あたしの耳に届く音が全く合っていない!」


 初めはあんまり気にならなかったけど、ふとした瞬間に気付くと、ずっと気になり続けてしまう。

 レモーネは「モカ」と言っているのに、口の動きは「イウ」なんだよ。


「レモーネ、あたしの真似して言ってみて欲しいんだけど……」


 幾つかの単語と文章を話してもらった結果、やはり口の動きと耳に届く音が違うのが確定した。


「と言うことは、言語スキルはリスニングとスピーキングで別の処理がされているって訳ね」


 リスニングの時はあたしに届いたコルベス王国語が日本語の単語や文法、言い回しとかに自動翻訳されている。

 スピーキングの時はその逆で、あたしの話した日本語がコルベス王国語の単語や文法、言い回しとかに翻訳されている。

 これで間違いないはずだ。

 だから異世界での言語のやり取り、意思疎通が出来ているんだろうな。これは地味に便利な仕様だ……リアルタイム同時翻訳ってわけね。


「よし、まず1つ目の検証はこれでおしまいね。次は剣技についてだけど……」


 腰から下げた剣に手を掛け、悩む。

 正直、ここからはレモーネにお願いする事はあんまりない。

 仮に検証をお願いするにしても剣技や魔法を見せて、こっちの世界と同じなのかどうかを判断してもらうことになるんだけど、レモーネが剣技や魔法を詳しく知っているとは思えないんだよ。

 せいぜい「すごい!」とか「かっこいい!」とか、そんな感想しか言わなそうだなぁ……ま、いいや。


「これから、スキルを使わない剣技と、スキルを使った剣技を交互に使うから、よく見てて欲しいの」


「剣を使うの!? モカが剣を使うの綺麗だから楽しみ!」


 そんな事、剣を振ってて初めて言われたな……ストレートに言われると照れちゃうな。レモーネ、恐ろしい子!


「……ちゃんと見ててよ?」


「モカ、顔赤いよ?」


「うるさい、いくよ」


 まずは試すのは初歩的な剣技スキル『斬撃』だ。

 このスキルはBLOで1番初めに覚えるスキルで効果は単純。ただ敵に斬撃を放つ、だけ。

 試す動作は、上段に構えた剣をスキルを使わずに振り下ろし、すぐに手首を返して切り上げるというもの。

 ビッ! と空気を切り裂く音が続けて2回、花畑に吸い込まれるように消えた。

 BLOのスキルは初心者でも得物を扱いやすいようにアシスト機能が付与されている。どんなに剣筋が乱れていてもスキルを使えば、そのスキルの軌跡を自動的になぞってくれるのだ。

 もちろん上級者になれば、スキルを使わなくても同じ軌跡をなぞることが出来るけど、最も重要な点はそこじゃなくて、スキルを発動すると技後硬直が発生する、という点だ。

 だから上級者になると中位・下位のスキルは発動するよりもスキルを模倣する戦い方にシフトしていくんだよね。


「次はスキルを使うから。よく見てて」


 再び剣を上段に構え、また振り下ろす。

 同じように空気を切り裂いた音がして、ピタリと剣が止まる。

 だけどさっきと違って、あたしの体は斬撃を放った態勢をすぐに解除出来ていなかった。だから切り上げのテンポがズレてしまう。


「どうだった?」


 体感としては、BLOの時と変わっていないように思う。


「……すごい早かった」


「1回目と2回目、速さは違った?」


「2回目の方がちょっと遅かったかな? ってくらい……ねぇモカ、私、剣の事なんて分からないよ?」


「大丈夫。レモーネから見てもやっぱり遅かったか……1秒くらい?」


「多分それくらい? でもちゃんとした時間は分からないよ」


 だったら大丈夫そうだね。

 問題はBLOで使っていた技術がここでも使えるかどうか、って話だもんね。


「じゃあ、剣技はこれで最後にするね。さっきと同じ事するから」


 あたしは剣を上段に構えて、スキルを発動する。

 上段から振り下ろされた剣はピタリと止まり、技後硬直が発生する直前に次のスキル『連撃』を発動して、手首を返して切り上げた。


「今のはどうだった?」


「うーん、1回目の時と変わらないように見えたけど」


「そっか、なら大丈夫だね」


 スキルによって発生する技後硬直はスキルの連続使用で無理矢理キャンセルする事が出来る。BLOでは必須のテクニックだったけど、こっちの世界でも使えるみたいだ。

 とりあえずそれが分かれば剣技については色々と組み立てられそうだね。

BLOでは敵と戦うだけでなく「剣舞奉納祭」や「刀剣品評会」と呼ばれる非戦闘プレイヤーたちでも楽しめるイベントが行われていました。

敵と戦いたくないけど剣を使ってみたいとか、剣を振るより金槌を振りたいとか、剣をコレクションしたいとか、プレイヤーのためのイベントですね。

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