表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第1章完結! 一気読み推奨】「魔法が最強? あたしの剣の方が速いんだけど?」 元【剣神】のVRMMOストリーマー、魔法一強の異世界で無自覚無双する  作者: 卯月真琴
第2章:冒険者邂逅編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/91

71、風角鹿退治

 監視をしていた兵士たちの小屋から歩くこと30分ほど。

 緑の絨毯が広がる草原に、ポツポツと茶色の動く影が見えてくる。

 見間違えるはずもなく、それらは群れを成して草を食べている鹿だった。


「あれが風角鹿だね……」


「お、おい、モカちゃん、本当に良いのか?」


「えぇ、あたしが突っ込むんで、半分くらい減らすんで、よろしくお願いしますね。メルツェナさんは鹿が逃げないようにお願いします!」


「分かってるっての。それより、大丈夫なんでしょうね? あんたが強いのは分かっているけど、対人戦とは違うのよ?」


「まぁ見ててくださいよ」


 他のみんなが立ち止まる中、あたしは鹿に近づいていく。

 ある程度の距離まで行くと鹿たちは一斉に顔を上げて、あたしを凝視してくる。その様子が何だかあの時のワイズマン・エイプを彷彿とさせて嫌な気分になるが、やる事は変わらない。


「それじゃ、やろうか【理切】」


 あたしは腰の相棒に手をかけ、ゆっくりと鞘から刃を引き抜きながら歩き続ける。刀身には青い光を纏わせ、重量を最軽量にし、徐々に歩く速度を早める。

 歩きから早歩きに、早歩きから駆け足に、駆け足から全速に。

 段階を経てギアの上がった速度で、あたしを凝視する鹿に向かって挨拶代わりの牽制をお見舞いする。


「風刃、『風の刃(エアカッター)』」


 圧縮詠唱によって通常の詠唱文が圧縮された魔法があたしの手から放たれる。

 あくまで牽制目的なので、威力も速度も必要ない。

 言わばただの煽りだ。

 消費魔力1のしょぼい風の刃が鹿の群れの手前に着弾すると、鹿たちは一斉に鳴き始める。

 ピーッとホイッスルのような甲高い鳴き声が輪唱のように広がって、かなりうるさい。

 半分くらいが釣れればいいな、なんて思っていたけど、煽られて腹が立ったのか、3分の2くらいの鹿があたしに怒りの視線をぶつけてきた。


「あれ? 思ったよりも多いかも? でもいいや!」


 鹿たちから放たれた返礼のような風魔法を【理切】で切り裂く。

 風の刃であったり、竜巻であったり、ここまで数が多ければそれなりの物量になるけど、あたしには対魔法用スキルがあるし、【理切】の力もある。

 【理切】で魔法を切れば少しだけど魔力が回復するのなら、魔力切れを心配せずに戦える。

 あたしは身体強化魔法を使ってステータスを向上させながら、自分の戦いやすいように魔法で鹿たちを少数のグループへと区切っていく。

 土魔法で地面から石の槍を生やしたり、火魔法で逃げる方向を誘導したりする。

 それが終わる頃には既にあたしは鹿の群れの中に飛び込んでいて、【理切】を振るう。

 事前にグレイグさんから聞いていたんだけど、どうやらこの鹿たちは毛皮や角に価値があるらしく、出来るならあまり傷をつけずに倒すのが良いらしい。

 剣で戦うなら、首を綺麗に落とすのが1番だとか。

 良くある鹿の頭の剥製が貴族の間では人気らしい。

 なので、今回は鹿の頭を一刀で落とす方向で行こうと思う。


「はッ!」


 流麗な動作で【理切】を振り抜き、記念すべき1頭目の頭を切り落とす。そのまま刀を返して重量を操作して、【理切】自体の重量に任せた振り下ろしで2頭目を、運動エネルギーに逆らわずに体を回転させながら風魔法を回避して、頭上へ跳躍。


「よっと!」


 空中で天躯スキルを使って真横へ跳躍しながら、3、4頭目も切り伏せる。

 転がるように着地しながら【理切】を振るって5頭目の首を落とすと、他の鹿たちが立派な角を突き出しながら突進してきた。


「横並びになっちゃダメだよ! それじゃあ、一気に首を落として、って言ってるようなものじゃん!」


 あたしは3頭の鹿の足元に土魔法で小さな穴を作ると、気持ちいいくらいに足を取られて3頭ともバランスを崩して前のめりに倒れ込む。

 もちろんその隙を逃すはずもなく、あたしは鹿の足を土で拘束する魔法を使い、再び跳躍して、新しく手に入れたスキルを発動する。


「飛撃!」


 頭上から【理切】を振るうと、その斬撃が飛んだ。

 このスキルはBLOにもあったスキルで、無属性の斬撃を飛ばすものだ。もちろん属性が付与されたものもある。

 初心者はこのスキルをすぐに取りたがるが、ある程度の実力になればほとんど使わなくなる。

 理由は大きく2つある。

 斬撃を飛ばしたからといって、それが相手に当たるはずもない。

 斬撃の飛ぶ速度よりも自分が早く動けてしまう。

 と言うものだ。

 そのため、見た目が派手なだけの魅せ技なのである。

 確かに剣から斬撃を飛ばしたり、ビームを出したりは大技っぽくてかっこいいけど、実戦向きではない。

 と言うのはBLOでの話で、ことこの魔法一強の異世界においてはそうではない。

 剣士は近接戦しか出来ないというレッテルが貼られる中で、剣士が遠距離攻撃の手段を持っていれば、相手に封殺させることが出来なくなる。

 驚かせた隙に肉薄してもいい、遠距離で斬撃を放ち続けてもいい。

 手数が増えればそれだけ戦略も増えるのだから、剣士としては良い事だらけだ。


「でも、この飛撃の唯一のデメリットは、飛ばした斬撃が魔法扱いになっちゃうことだね」


 そのせいで魔力を消費してしまうのだ。

 BLOではスタミナを消費した物理攻撃扱いだったから、ちょっと残念だね。

 でも【理切】との相性は良い。何故なら、この飛んだ斬撃にも魔力奪取の能力が乗っているからだ。

 飛ばした斬撃がこけた鹿たちの首に落ちる。ギロチンが如くすっぱりと頭と胴体が別れ、息絶える6、7、8頭目の鹿たちに一瞥を送り、まだまだ襲いかかってくる鹿たちを効率よく、最短で、一直線に、切り伏せていく。


「よっ、ほっ! まだまだぁッ!」


 9、10、11……と鹿たちを次々に屠っていくと、気付けば自分に向かってくる鹿たちはもういない。

 青光がその動きを止めると、残っている鹿の数は20頭ほどまで減っていた。

 どうやら半分を少しだけ超えてしまったようだ。

 ま、こんなもんでしょ。

 あたしは【理切】を振って血を払ったが、聖刃のおかげで刀身は綺麗なまま。だけど染み付いてしまっている動作をやらないのも気持ち悪い。

 カチン、と納刀音が耳に届くと、あたしは遠くに見えるグレイグさんたちに手を振って大声で伝える。


「あたしの分、終わりましたよーっ!」


 それを受けて、グレイグさんたちが駆け出したのを見て、あたしはすぐに倒した鹿の回収を始めた。

 残っている鹿たちはあたしから一定の距離を取るように逃げるけど、周囲に配置されたメルツェナさんの人形たちが逃げるのを防いでいるから安心だね。

 倒した26頭の首と胴体を全てアイテムボックスに収納したところで、グレイグさんたちがすぐ近くまで来ていた。


「それじゃあ、残りをお願いしますね!」


 そう言うと、グレイグさんたちは真剣な面持ちで頷いて、風角鹿たちに狙いを定めた。

 さて、それではグレイグさんたちのお手並み拝見といきますか!

 モカが飛撃のスキルを獲得したのはユリシュ=ダヴラと戦った後になります。

 タイミングで言うと、医務室にお泊まりした時です。と言うのも、あの模擬戦でモカのレベルが上がっています。

 倒してはいないですが、経験を得たと言うことで経験値がもらえました。


 そういえば、最近ステータス関連の描写をしていない気が……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ