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「魔法が最強? あたしの剣の方が速いんだけど?」 元【剣神】のVRMMOストリーマー、魔法一強の異世界で無自覚無双する  作者: 卯月真琴
冒険者登録編

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13/23

13、ちょっと休憩しよう

 ようやく森林部を抜けると、広大な草原地帯に出た。

 鬱蒼とした森とは真逆の爽やかな色合いの広陵地帯だ。


「昨日は久しぶりに熟睡出来たから体が軽いや!」


 既に太陽は真上から少し傾き始めているから、ここら辺でお昼にしても良いかも? いや、流石に森の近くって言うのも安心出来ないから、もうちょっと進んだ所で良い場所があればそこで休憩しよっと。

 ここまで歩いてきた1本道は広陵地帯を突っ切るようにまだ続いているけど、まだ街や村のような物は見えない。


「あと4日くらいだけど、全然見えてこないなぁ……」


 それでも森の中と比べれば歩きやすい。


「森の中は常に気を張ってたからね。襲われる心配が無いってだけで、ちょっとは楽かな」


 森を歩いている時は結構な確率で魔獣に襲われたんだけど、そこまで強いのはいなかった。レベルも上がらなかったしね。

 しばらく歩くと、街道の脇に整えられた場所が見えてきた。

 草が刈られていて、大きな木がコの字型に置かれていて、その真ん中には焚き火跡がある。

 どうやらここが休憩ポイントらしい。


「うーん、どうしようかな。この先にもあるかな? 夜通し歩くのは嫌なんだけど……到着が遅れるのも嫌だしなぁ……」


 多分だけど、森に近い場所だからここに休憩ポイントがあるんだろうね。森に入る冒険者とか行商人とかが最後に使うポイントなんだ。


「って事は、次の休憩ポイントまでは結構な距離がありそうだなぁ……」


 よし、かなり早いけど、今日はここで休む事にしよう。

 そうと決まればアイテムボックスからテントやら敷物やらを取り出して設営を始めるが、すぐに終わってしまう。


「今日は少しのんびりするかな……ご飯はまだあるし、焚き火用の枯れ枝もまだアイテムボックスにストックがあるから……」


 うん、困った。

 やる事がない。

 ステータス画面で時間を確認したけど、まだ14時前だ。

 これから山に戻ってレベル上げをするのも面倒だよね……


「スマホ無い時代の人たちって、どうやって暇つぶししてたのかな……」


 ま、いいや。

 適当に寝転がって自然を謳歌してやろう。

 なんて考えて考えて敷物に寝転がったのはいいものの、やはりすぐに手持ち無沙汰になってしまった。

 流れる雲を眺めては、あの雲は犬に見えるだの、くじらに見えるだの考えたり、あの雲はどこからきてどこに行くのかを真剣に考えてみたりしたけど、やはりすぐに飽きちゃった。


「あ、そっか。1人で考えてるから駄目なんだ。今から配信するぞって思えば……」


 そうだな、配信タイトルは【雑談】昼活成功の世界線【昼飯食うぞ】とかにしておくか。


「うぅん、んっ、っん! あ、あー、よし!」


 配信スイッチを入れて、BGM流して……


「やっほーみんな。今日もみんなに特別な1杯をお届け、ドリーム・ディビジョン所属のカフェモカだよー。モカって呼んでね! さ、今日は雑談配信だよー。みんなもう昼飯食べた? あたしはまだ! これから作るんだけど、何と今日はね、肉だよ肉!」


 喋り始めると、やっぱりスラスラと話したいことが出てくるんだよね。あと、無いのにコメント欄が見えてくるのは想像力が豊か過ぎるかな?


「何の肉かって? えーっと、これは……猪肉だね! ジビエってやつ? この前猪の魔獣を倒してさぁ! あ、そうだ、聞いて! 今あたしさ、異世界にいるんだよね! しかも、この世界、剣士より魔法使いの方が強いんだって! ありえなくない!? あたし剣神ぞ? BLOで最強の剣士なんだけど!」


 コメント欄が盛り上がっているのが目に浮かんでくるよ……多分ここらで誰かしらがスパチャを投げてくるんだよな。


「あ、PK三太夫さん、スパチャてんきゅ! ワイはこれからつけ麺食いに行ってくる。うわ、いいなつけ麺! どこ行くんだろ!? あたしはね、つけ麺は吉祥寺にある中華つけ蕎麦屋のがいっちゃん美味いって思ってるからね! あ、でも、最近……ってか異世界に来てから? 日本食が恋しくなってさ、小麦が余ってるって言うからうどんを教えてあげたんだけど、醤油とか麺つゆが無いからさ、魔獣の骨で出汁とって塩入れただけのスープでうどん食べたんだけど、もうマジで涙出るくらい美味かったよね。あたしがこれまでに食べてきたうどんランキング1位だもん」


 喋りながら、起き上がってお昼ご飯の準備を進めていく。

 肉とネギに似た野菜を交互に木串に刺したのを3本作り、貰った塩をパラパラと振りかける。


「でも、今日食べるのは猪肉なんだな。焼肉じゃなくてBBQスタイルね!」


 アイテムボックスから焚き火に必要なものを取り出して、こちらも用意していく。


「みんなはさー、火打石で火起こしした事ある? あたし、今やってるんだけどさ……これ、慣れるまでむずくね? ま、あたしは天才だからすぐに慣れちゃったけど……」


 なんてことを言えば、リスナーたちはすぐに面白がってコメントを打ち込んでくるんだよね。


「は? 火打石なんて使わなくてもすぐ炎上するじゃん!? お、やるか!? あたしだって燃えたくて炎上してるわけねーよっ! はい、今似たようなコメントしたお前らは法務部に通報しときます。開示します開示!」


 冗談めかして言いながら、カンカンと石を打って火花を枯草で作った火口に落とす。あとは息を吹いて火を点ける。

 火口から火が登ったのを確認して、枯れ枝を置いて火を育ててやるだけだ。


「……慣れてくるとどうって事ないよね、火起こしって」


 ふと素の言葉がポロリと盛れた。

 でも、それがダメだった。

 一瞬で気分が下がるんだもん。

 あたし、1人で何やってんだろ、ってさ……だから、大きな溜息が出るのもしょうがないじゃんね。


「はぁ………みんなに……いや、贅沢は言わないから、コミュニケーションが取れる生物に会いたい」


 流石に魔獣は勘弁だけど、犬とか猫とか、100歩譲って幽霊とかまでなら、ギリ許せるな。

 なんて考えてながら、作った3本の木串を焚き火の側に突き立てる。


「今のがフラグになったりしないかなぁ……それで、最強の魔獣が寄ってきて、その肉を寄越せ! とか言ってきて、食べたら仲間になってくれてぇ、とか……ん?」


 なんか、音が聞こえたような?

 焚き火と木串から顔をあげて、辺りを見渡したけど、特に変なものはないみたい。


「よっこいしょ、っと」


 念の為、立ち上がって、慎重に周囲を見渡したけれどもやっぱり変わりは……あった。


「何あれ」


 あたしが歩いてきた方向、つまり森の街道の方に砂埃が舞っているのが見える。目を凝らしてそれを見つめると、それが幌付きの荷馬車だと分かる。


「2頭立ての荷馬車だ! すごい、本物初めて見た! けど……あんなすごいスピードで走るもんなの?」


 そう、荷馬車を引く2頭の馬は全速力で走っているみたいで、すごい砂埃を巻き上げているのだ。

 ドドドド、と荷馬車と馬が駆ける音が聞こえるようになると、おおよその事態は把握出来る。


「魔獣に追われてる!?」


 荷馬車は巨大なカマキリに追われていた。

 実はこれを書いている時は2時だとか3時だとかのライバーさんの配信をBGMにしてます。

 誰とは言いませんが、『おにぎりの具にパン』とかいう天才的な発想をする御方です。

 今日もメロがってこ〜

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