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【50万字一気読み推奨! 2章完結&3章開始!】「魔法が最強? あたしの剣の方が速いんだけど?」 元【剣神】のVRMMOストリーマー、魔法一強の異世界で無自覚無双する  作者: 卯月真琴
第2章:冒険者邂逅編

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101、チャイナドレスを作っチャイナ

2章終わり!

 いきなり隣で溜息を吐かれると、少し驚いてしまう。

 何か変なことでもしちゃったかな? と思ってチラッとアースラーさんを見上げてみると、彼? 彼女? は、それだけで人を殺せそうなほどの眼力で、あたしが描いた絵を見つめている。

 そして、ようやくあたしの視線に気付き、表情を柔和な笑みに変えて首を傾げてきた。


「なぁに? どうしたの、モカっち?」


「あ、いえ……その、怖い顔をしていたので……」


「あらやだ!? あたち、そんなに怖い顔してた!?」


「えぇ、まぁ……はい……」


「あたちとしたことが……あまりの衝撃で我を忘れていたみたいねん」


 アースラーさんは長い指先で、あたしの描いたイラストをそっと撫でる。その指先は微かに震えていて、とても悔しそうに見えた。


「モカっちは、この衣装を見た事があるのね?」


 ほぅ、と小さな溜息を吐いて、アースラーさんはイラストを見つめ続けながらあたしにそう尋ねる。


「多くはないですけどね。それでもいつかは着てみたいと思うくらいには可愛かったので……」


 あたしがそう言うと、アースラーさんは思い切り強く台パンをして、早口であたしに捲し立ててきた。


「そう……それにしても! モカっち、あんたは天才じゃない!? 本当に信じられないわよ! 何なのよ、この子は! この子、本来は上下一体型のドレス構造なのよね!? でもそれを上下にあえて分ける事で、シルエットの美しさはそのままに、ロングスカートならエレガントが、ショートスカートならエロティックが、その色香を漂わせてくるのね!? そしてなにより、この絶対的なスリット! 歩くたびにスレンダーな脚がチラリと覗き、見た者を惑わせる! そしてそこに、上品なファーショールが雰囲気を引き締めて決して下品な印象にはさせない……まさに、奇跡! バランスの奇跡! これは、あたちの求めていた革命の火種! 新時代の産声にして、未来の灯火! あぁ、服飾の神よ、この出会いに感謝致します!」


 最後は跪いて両手を合わせて天に向かって祈り始めてしまったアースラーさんを見て、どっちのドレスがあたしに似合うのかでバチバチにやり合っていたユリシュさんとメルツェナさん、そして、中学生男子のようなバカ話をしていたグレイグさんたちが、実に楽しそうな顔をしながら近寄って来た。


「小娘、何をどうすればこんな事になるわけ?」


 メルツェナさんのジト目に睨まれながら、あたしは弁明のために、自分で描いたイラストを指差す。


「……な、何よこれ!? こんな破廉恥なドレスがあってたまるもんですか!」


 いやいや、どの口が言うのよ、痴女みたいな服着てるくせして。……おっと、口に出てないよね?

 あたしのイラストを見て、メルツェナさんは破廉恥だなんだと騒ぎ、ユリシュさんは感心したように頷いていた。


「モカちゃんに似合いそうだね。それにしてもこの衣装は……少し煽情的では? いや、動きやすさで言えば理に適ってはいるのかな?」


 それに続いて、牛柄ビキニを手にしたままのグレイグさんたちがイラストを覗き込む。

 すると『黒金の雷雨』の面々は4者4様のリアクションをしてくれる。


「おぅふ……な、なんだ、これ……ちょ、ちょっと、俺には刺激が強すぎる……い、いや、だけど、これ服なんだよな? だったらきちんと見ないと服に失礼だよな……おぉう……ここから脚が見えるのか? す、すごい……」


 と、何故か鼻息を荒くさせながら前屈みのグレイグさん。


「ほわぁ……や、やべぇな、こりゃあ。と、とにかくやばい。腕とか腋とか、み、見えちゃってるぜ……それに、この網タイツもやばい。胸元は見えないのに、体のラインがくっきりと分かるから、余計にやばい」


 と何故か両手で顔を隠しながらも、隙間からチラチラと覗いているラルフさん。


「むっ……これは……女性が着るにしては、かなり刺激的ではないか? 目のやり場に困りそうなものだが……どこか気品を感じるのは、この衣装が完成されているからなのか? それにこの毛皮のような首巻も素晴らしいな」


 と、腕を組みながら、少しだけ頬を朱に染めながら頷いているザフィーラさん。


「わ、わぁ……こんな綺麗なドレス、見たことないや。色合いもそうだけど、スカートの部分に描かれた雲や花の意匠が美しいね。イラストでこれだけ感動出来るんだから、実物を見たら泣いちゃうかもしれないや」


 と、別の意味で興奮しているデュランさん。

 全く、男ってやーねー。特に前の2人ね。ザフィーラさんとデュランさんはえっちな目で見てないのが分かるからとりあえずセーフだよ。


「で? 小娘。あんた、本当にこんなドレスを作ってもらうつもりなわけ!? こんな破廉恥なやつを!?」


 メルツェナさんがチラチラとイラストを見ながら、詰め寄ってくる。

 あたしとしては、みんなに変なドレスを選ばれる前に自分が着てみたいドレスを描いたつもりなんだけどなぁ……あんまり刺さらなかった感じかな?

 なんて思っていると、徐に立ち上がったアースラーさんが奇声を発しながら机を叩いたーーいや、叩き割った、の方が正しいか。


「メルっち……もう一度、言ってみなさい」


 だらんと両腕が下がり、俯いたままのアースラーさんがガバッと顔を上げると、その瞳はドス黒い怒りに燃えていた。


「ひ、ひぇ……」


 その瞳に見据えられ、珍しくビビり散らかしているメルツェナさんは、あたしでも驚くほどのスピードでユリシュさんの後ろに隠れる。


「もう一度……言ってみなさい?」


「はぁ……アースラーがこうなったら、もうどうしようもないよ、メルツェナ。素直に謝りなさい」


「今、こんな、って言ったわよね……こんな……こんな……こんな、こんなドレスって言ったわよねぇぇぇぇああああああああああああいぃぃぃぃぃぃいぃっぃいっぃいぃぃぃぃぃ!」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 怒り狂ったアースラーさんが一切の予備動作も無しにメルツェナさんの隠れるユリシュさんに飛びかかる。

 が、そこは世界最強の魔法使い。一歩も動かず、ただ薄い笑みを浮かべながら人差し指をヒョイっと振った。

 それだけでピタリと動きが止まり、続いてもう一度指を振ると、今度は一瞬でアースラーさんが氷漬けになる。


「全く。メルツェナ、君は一言余計な時が往々にしてあるのだから、少しは発言に気を付けなさい」


「は、はい、マスター……肝に銘じておきます」


「宜しい。それじゃあ……」


 ユリシュさんが3度指を振れば、アースラーさんを捕えていた氷が音もなく消える。そして、いつも通りのテンションと表情に戻っているアースラーさんがすこしバツが悪そうにしていた。


「アースラーも、服のことになると見境が無くなる癖を何とかしなさい。その情熱は君の美点でもあるのだから、汚点にはしないよう気を付けなさい」


「ごめんねぇ、ユリっち。でももう大丈夫よ!」


 アースラーさんは、くるりと可憐にあたしに振り返ると、あたしの手を取る。


「モカっち。あたち決めたわ! あたちのこれまでの人生で培った技術を全て注ぎ込んで、この子を産み出してあげるわ!」


 そう言って、アースラーさんはあたしの手を離して、両手を掲げてパンパンと手を叩く。すると、店の奥からゾロゾロと店員さんたちが現れる。


「よく聞きなさい、あなたたち。これより4日の間、あたちたちは新時代を切り開く一番槍となるわ。寝る時間は無いと思いなさい! ここがあたちたちアルドラ服飾店の転換点よ! 新しい時代を、あたちたちの手で刻むのよ!」


「「「「「「おおおおおおおおおっっっっ!!!!!!!!」」」」」」 


 店が震えるほどの雄叫びのせいで、耳が痛い。

 なんか店員さんたちが、これから大規模レイドに挑む冒険者みたいに見えてきたよ……すごい気迫だ。


「それじゃあモカっち。4日後にまた会いましょ?」


 パチリ、とウインクしたアースラーさんは、どうしてかキュンとしそうなくらい可愛らしかった。


「あ、はい……よろしくお願い、します?」


 呆気に取られながらも、あたしはぺこっと頭を下げる。

 この時のあたしはまだ知らなかった。

 王様の誕生祭をきっかけに、王都が騒がしくなる事を。

モカのチャイナドレス、制作決定!

ちなみに、イメージは2時だとか3時だとかで活躍している女騎士さんのあの衣装です。


そして、ここで2章、冒険者邂逅編は終わりです!

明日から3章、王都動乱編が始まります!

お楽しみに!!

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