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『体育祭のMVP景品が「話題のハロウィン街ペアチケット」だったので、隣の席のツンデレ魔導姫シェリアとガチで競い合うことになりました』  作者: eccen.


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第5話 最終決戦・全属性対抗魔力リレー

 午後三時。


 体育祭も、いよいよ終盤に差しかかっていた。


 校庭の中央には、巨大な魔法陣が描かれている。


 最終種目――全属性対抗魔力リレー。


 各クラスが誇る選手たちが、炎、氷、雷、風、大地、水。


 それぞれの属性魔法を駆使して競い合う、体育祭最後の大勝負だ。


 そして。


「俺たちのクラス、現在二位!」


 友人が速報表を持って駆けてきた。


「一位は?」


「三年A組!」


「差は?」


「ほんの少しだ!」


 俺は拳を握る。


 そして、隣を見る。


 そこにはシェリアがいた。


「……足、大丈夫か?」


「平気よ」


「本当に?」


「何度聞くのよ」


 シェリアは笑った。


 だが、俺には分かる。


 さっき救護テントで見た足首。


 まだ完全には治っていない。


「無理するなよ」


「あなたに言われたくないわ」


「俺は最後まで走る」


「私だってよ」


 シェリアは真剣な顔で前を見る。


「ここまで来たんだもの」


 その瞳には、強い意志が宿っていた。


「絶対に勝つわ」


「……ああ」


 俺も頷いた。


「一緒に勝とう」


「ええ」


 最終リレーが始まった。


「第一走者、スタート!」


 バンッ!


 魔力の爆発とともに、選手たちが飛び出す。


 炎属性の選手が加速魔法で一気に先頭へ。


 続いて風属性。


 大地属性。


 次々とバトンが渡っていく。


「行けー!」


「負けるな!」


「アルス! シェリア!」


 クラスメイトたちの声援が飛び交う。


 そして。


「女子アンカー、スタート!」


 シェリアの出番だ。


 バトンを受け取った彼女は、一瞬だけ足をかばった。


 だが。


「……っ!」


 次の瞬間には、風魔法をまとって走り出していた。


「速い!」


「シェリア、トップ集団だ!」


 金色の髪が風になびく。


 彼女の足元から、淡い風の魔法陣が次々と展開されていく。


「もっと……!」


 シェリアは速度を上げる。


 だが、後ろから二位の選手が迫ってきた。


「シェリア、抜かれるぞ!」


 観客席から声が上がる。


 それでも彼女は止まらない。


 むしろ。


「負ける……もんですか!」


 さらに魔力を解放した。


 風が爆発する。


 シェリアの身体が、一気に前へ跳ねた。


「速っ!」


「さすが首席候補!」


 残り半周。


 シェリアは一位をキープしている。


 だが。


 その足が――。


「……っ」


 一瞬、よろめいた。


「シェリア!」


 俺は思わず叫ぶ。


 けれど彼女は振り返らない。


「……大丈夫」


 小さく呟いた。


 そしてゴール前。


 シェリアはバトンを握りしめる。


 俺はその先で待っていた。


「アルス!」


「シェリア!」


 バトンを渡す瞬間。


 彼女の手が俺の手を強く握った。


「頼んだわよ」


「……任せろ!」


 熱い。


 バトンに残っているのは、ただの魔力じゃない。


 シェリアの魔力。


 そして。


 彼女の想いまで伝わってくるような気がした。


「行けええええっ!」


 俺は走った。


 後ろから二位の選手が迫る。


 差は、わずか数メートル。


「逃がすか!」


 相手が炎属性の加速魔法を発動する。


 一気に距離が縮まる。


 だが。


 俺はバトンを握りしめた。


「シェリアの分まで――!」


 魔力を全身に巡らせる。


「走る!」


 足元に魔法陣が展開された。


「風属性――加速!」


 身体が軽くなる。


 それでも足りない。


「炎属性――瞬発!」


 さらに速度が上がる。


 大地属性で足場を安定させ。


 水属性で身体への負荷を軽減する。


 そして。


「雷属性――限界突破!」


 バチィッ!


 全身を雷光が駆け抜けた。


「なっ……!」


 後ろの選手が驚く。


 俺は一気に抜き去った。


「アルスが抜いた!」


「逆転だ!」


「あと少し!」


 ゴールが見える。


 観客席から、クラスメイトたちの声が響く。


「アルスーッ!」


「行けええええ!」


 そして。


 俺は最後の一歩を踏み込んだ。


「うおおおおおおっ!」


 バンッ!


 ゴールテープが弾け飛ぶ。


『一位! アルス・クライド率いる二年B組!』


 大歓声。


 俺はその場に膝をついた。


「……はぁ……はぁ……」


 息が苦しい。


 足もガクガクする。


 でも。


「……勝った」


 俺は笑った。


「勝ったぞ……!」


 その瞬間。


「アルス!」


 後ろから声がした。


 振り返ると、シェリアが走ってくる。


「シェリア?」


「……よかった」


 彼女は胸に手を当てている。


「本当に……よかった……」


「お前が繋いでくれたからだよ」


「……ううん」


 シェリアは首を振る。


「あなたなら、絶対に勝つって思ってた」


 そう言って。


 彼女は俺の手を握った。


「だから……」


 頬を赤くしながら。


「ちゃんと、私を連れて行ってね」


「……ああ」


 俺は笑った。


「約束する」


 その言葉に、シェリアは嬉しそうに笑った。


 けれど。


 俺たちの勝負は、まだ完全には終わっていない。


 最後に残されたのは――。


 個人MVPの発表。


 そして。


 あの、二枚のペアチケットだった。

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