婚約セレモニー
帰りの馬車の中で、父が話しかけてきた。
「いつも騒がしいブーラも。いつも冷静なガーネッツも一体どうしたっていうんだ…。
ブーラなんて昨日あんなに楽しみにしていたじゃないか…。」
僕はただただ俯いていた。するとブーラが「…なぁ、ここはどこなんだ。」
父は首を傾げながら「一体何を言っているんだアーマルカラ王国じゃないか。」
僕達は顔を見合わせ首を傾げた。
「やれやれ…ちょうどいい機会だ。今夜から夕食後二人で私の部屋に来なさい。
この世界について教えてやろう。」
夕食後、二人で部屋を訪ねるとこの世界の地図や本がたくさんつんであった。
僕達は父を囲みこの世界について聞いた。
どうやらこの国はアーマルカラ王国と言って、昼間に会ったブルーム家が統治する王国らしい。
そして僕らは護衛兼臣下としてアラン・グリー・ブルームと今後の生活を共にすることになるらしい。
そこからは毎日暫く、日中は王子の遊び相手、夜は父からこの世界について学んだ。
とある夜の夕食時、いつもの様に父からこの世界について学ぶつもりだったが、「明日はアラン王子の婚約発表の日だから今日は早く寝なさい。」僕らはいつもより早く寝床についた。
翌日、パーティー会場で目にした女性から僕は目が離せなかった。
彼女が近くにいる少女に向ける顔が優しさに溢れていた。
「なぁ、ガー、あの子可愛いな。」トパーの言葉に僕は我に返る。
トパーが指さす先にはちょうど先ほど見ていた女性と少女がいた。
彼女らに気を取られていた僕らは近寄ってくるアラン王子に気付くことが出来ず、軽く小突かれた。
「何、見てんだよ。」そこには本日の主役きっちりとした正装に身を包んだアラン王子がいた。
「ちょ、アラン痛いってば。」アラン王子とトパーが小競り合いをしていると会場の音楽がやみ、ファンファーレが鳴り響いた。
豪勢な音楽と共に陛下と后が入場され、開宴の辞が述べられた。
粛々と進められた婚約発表に温かい拍手が送られる。
先ほどの少女はワーリス・チェリ・エリザベートと紹介された。
それぞれが軽い挨拶を述べる事になり、アラン王子はおもむろにチェリ嬢の方へふりかえると、「俺様が選んでやったんだ、よく感謝し、この国の為に献身的に仕えること。」
チェリ嬢はさもアラン王子は立てることを当然というように微笑みを崩さないでニコニコしていた。
そんな彼女に対してアラン王子はまだ続けた。「俺はお前を愛することは無いと思え、いいか、これは国の為の婚約だ、しっかりと役割りを果たすように。」あまりの俺様ムーブに僕らや周囲はざわざわとしたが、トパーが「俺はチェリちゃん可愛いと思うけどな。」ぼそり呟かれた言葉は静かな会場にしっかりと聞こえてしまい父が顔を真っ赤にしていたのできっと帰ったら説教されるんだろなと思うと相変わらずのトパーに隠れて笑ってしまった。
彼女は凛とした笑顔を崩さずアラン王子の後ろに下がった。
少しギクシャクしていたが、音楽が再び流れ始めると少しずつ先程通りに戻っていった。
自宅まで持たなかった…。
帰りの馬車にて父の怒りが落ちた。「だって…。」とぶうたれるいつも通りのトパーに僕はまた耐え切れずに笑ってしまった。
お久しぶりですの方
お久しぶりです、愛羽真琴です。
初めましての方
初めまして、愛羽真琴です。
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次回の更新は2026.05.15を予定しております!!
それではまたお会いできるのを楽しみにしております。




