47話 血に飢えた欲深き狼
ユルグレイト学園に所属不明の侵入者が現れます!
まあ、タイトルでどこに所属してるのかはわかりますよね(-ω-;)
アリスが風紀委員会に所属してから今日を含めて三日が経過した。
別にアリスが入ったからって何かが起こる訳ないが以前よりも騒がし…いや、賑やかになったと思う。
そして今日も授業を受けてのんびりと風紀委員室で放課後を過ごしています。
「平和だね~」
確かにアリスの言う通り、あの一件を除くと今週は平和だ。
それでも、この放課後さえ終えれば休日がやってくる。
しかし、こうも平和すぎると何かが起こりそうな予感がする。
まあ、何事も起こらない方がいいんだが。
「…そういえばシアン先輩っていつも書類の整理をしてますよね?」
「私って一応、風紀委員長だし。備品の発注とか予算をまとめたり」
「それって生徒会の仕事では?」
「エレノア以外、脳筋だから無理。たまに男の方も回ってくる」
エレノアとシアン先輩以外は使えないのかよ。
というか前に『実力さえあれば生徒会長になれる』的な事をフィアナが言ってた気がするぞ。
せめて会計と書記ぐらいは選挙法を採用しようぜ。
次に決める時は学園長に直談判してみるか?
「…ねぇあれって煙じゃない?」
…よく見たら遠方で煙が上がっているな。
どこかの悪ガキが放火でもしたのか?
今日の風紀委員室は最上階、見晴らしはいいが帰りがめんどい。
でも、昨日飛行と浮遊を覚えたから最短ルートで帰れる。
要するに俺が学園に来てから速攻で体験したお空の登下校である。
「巡回している風紀委員が何とかするわ」
シアン先輩の机の上に置いてある遠距離魔力通信機が鳴りだした。
大雑把に説明するとこの世界の固定電話のような大型の電話である。
ただし固定電話とは違って配線がないので持ち運びが可能だ。
「はい、シアンです。はい、はい…了解」
「何かあったんですか?」
「状況が変わったわ。あの煙は爆煙、スラム街より所属不明の男が王国に侵入、王国騎士団は侵入者と交戦、風紀委員はサポートに徹しているけど負傷者多数、目的地は…ここユルグレイト学園」
…目つきから察するに『用心しろ』って事か。
シアンは校内放送をするためマイクを取った。
風紀委員会にはこういった報告が真っ先に入ってくるので校内放送用のマイクが置かれている。
「全生徒、全教職員に通達!スラム街から所属不明の侵入者が一名、学園に接近中!生徒は今すぐ校舎内に避難!職員は避難誘導そして腕が立つ教師、ユルグレイト学園駐屯騎士団、両生徒会、両風紀委員会は校門前に集合!侵入者を撃退します!」
シアン先輩、何か超かっけー。
てか、普通学園長がやることだよな。
あの人、普段は何してるんだろ?
「行くわよ」
「はい」
「ボクは避難誘導の方に行くよ」
「ありがとう。龍は校門前に防壁を創って」
費用軽減のためにね。
言われなくてもするがな。
「了解」
その頃、侵入者と交戦中の王国騎士団と一部の風紀委員会はというと。
「学生は今すぐ逃げろ!」
「逃がすわけねぇだろ~!まだ満たされてねぇんだよ」
男は王国騎士団が放つ魔法を物ともせず侵攻を続ける。
見た目は二十代の爽やかそうな青年、腰には二本の剣を携え不適な笑みを浮かべている。
そして右胸に、
「所属がわかった。右胸を見ろ」
「…太陽を飲み込もうとする黒い狼、貪狼騎士団!?」
貪狼騎士団が身に付けるエンブレムがあった。
「マジかよ。下っ端の敵討ちか?」
「そんな雑魚の敵討ちなんかしねぇよ!俺はただ遊びに来ただけだ。ということであぁ~そぉ~びぃ~ましょ!」
「断る!」
「ま、狙いはテメェらじゃねぇけどな」
男は騎士団の背後に現れて、携えていた二本の剣で斬った。
反応できる者は誰一人、居なかった。
まさに一瞬の出来事である。
「名を…名乗れ貴様は…何者だ」
「貪狼騎士団、副団長リュカ・オルディア、ただの飢えた狼だ」
ということで第四章の〆は貪狼騎士団、副団長、リュカ・オルディア戦です!
副団長ですので無茶苦茶強いです!
それではまた次の話で!




