046 決着
後書きにて、魔煌剣について説明します。
「グゥオオオオオッ!!」
アイデクセ=ロードが雄叫びをあげる。
罪之剣に正面から立ち向かうつもりのようだ。
『果てろ。』
罪之剣が振り下ろされる。
赤黒い魔力の奔流は、一直線にアイデクセ=ロードへと向かう。
【宵時雨】の切れ味も格段に上がり、また、殺傷能力も以前の比ではない。
まず、右前足が斬り落とされた。アイデクセ=ロードは剣の軌跡をまるで見ることができず、悲鳴を上げる。
だが、一太刀では終わらない。次に左後足が斬りおとされる。アイデクセ=ロードはバランスを崩し、地面に伏せる。
さらに攻撃は続き、尻尾が斬りおとされた。
この間、わずか0.5秒ほど。
『強欲は、お前の全てを欲する。』
ハヤトは、そう呟いた。
『全てをウバイサル…』
(ち、時間がねえ…!!)
悪魔がハヤトの精神を蝕む速度も速くなってきたようだ。
ハヤトは次に左後足を斬りおとそうと狙いを定める。
地面を蹴り、いざ切り裂かんとしたが…
『…手ごたえがない!?』
アイデクセ=ロードは腐ってもSSSランクモンスターだ。
黙ってやられるはずもなく、怒り状態に陥る。
「グルルウゥゥゥアアアアアア!!!!」
先ほどとは大きく違い、罪之剣を正確に見切っている。
避けるだけでなく隙あらば、ハヤトに攻撃を仕掛けてきている。
(くそ、厄介な…。)
心の中で悪態をつきながら、ハヤトは罪之剣を解除し、一度後退する。
「グウウウゥアア!!」
そして攻守が交代し、ハヤトが防御に回る。
キィンッ! カンッ! ドォンッ!
高速で繰り返される攻防は、もはや誰にも見えないだろう。
(まじで時間がねえ…!次で決めるしかない!)
ハヤトは一度大きく跳躍し、アイデクセ=ロードの攻撃範囲から逃れる。
『罪之剣は速さの技だ。だがこれから撃つのは、一撃必殺。』
ハヤトに再び赤黒い魔力が集まる。
そして、先ほどと同等のエネルギーが集う。
理性を欠いているアイデクセ=ロードは少し警戒はしたものの、何も考えずハヤトへと突進する。
『神の名に於いて罰を与える。』
ハヤトの周囲の空間が震え、周囲からアイデクセ=ロード以外の生命の灯が消える。
ゆっくりと、だが確実に、ハヤトは刀を振り下ろした。
『罰之剣・強欲』
世界が、赤く染まった―――――。
「…ッ、はあ、はぁ…」
ハヤトは目の前で崩れていくアイデクセ=ロードの体を見ながら、息を整えていた。
(今回ばっかしは、本当に危なかった…。)
だがしかし、戦いが終わったワケではない。
ジェネラル=アイデクセこそもう残っていないものの、ハヤトとアイデクセ=ロードの戦いから逃げていたボス=アイデクセとグロース=アイデクセ達が戻ってきたのだ。
最初から随分減っているとはいえ、それでも50頭近くは残っている。
彼らはハヤトが弱っていることを理解しているようで、遠巻きにハヤトを眺めながらもジリジリと近づいてきている。
「く、くそ。切り抜けられるか…?」
ハヤトはすでに満身創痍だ。
目立った外傷こそないものの、体力や筋力が完全に残っていない。
「や、やってやるよ!」
ハヤトが【宵時雨】を抜こうとしたとき――――――
♪~♪~~♪~~♪
どこからか、笛の音が聞こえてきた。
美しい、聞き入ってしまうような旋律。
ハヤトは、その旋律が誰によるものかを知っていた。
アイデクセ達の注意が笛の音に向いた瞬間、ハヤトはその場から大きく飛び退く。
「…お疲れ様。ハヤト君。」
ハヤトはこう思った。
ああ、今ほどその声を待ち遠しいと思った事は無い、と。
「……で、何で戻ってきたんだよ?」
「ハヤト君なら、きっと、アイツも倒せると思ってたから。」
セイナはそう即答した。
ハヤトは少し恥ずかしそうに、そっぽを向いた。
「…危険だ、って言っただろ。」
「私だけじゃないから。」
再びセイナはそう即答した。
そう、セイナは逃げていた冒険者たちを連れて戻ってきたのだ。
ガイやカルドーラ達はいないし、帰ってしまったものもいる。
それでも、150人以上がこの場へと戻ってきていた。
さすがにキュウカを連れて戻るわけにはいかなかったので、≪四獣の爪≫のメンバーはいない。
だが、アイデクセ達に状況の不利を思い知らせるには充分だったようで、アイデクセ達は後ろを向き、逃げ出した。
「……その笛、魔物除けの効果もあるな。いつも吹いてたけど、それ、なんなんだ?」
ハヤトがそう尋ねた。
「…【精霊鹿の縦笛】だよ。お母さんの形見。」
「…そっか。」
会話はそこで途切れた。
これにて、アイデクセ襲来戦は終わった。
だがしかし、彼らは、この戦いが後に来る天災の序章でしかなかったことを、後々知ることになる。
アイデクセ襲来戦から、三日後。
ハヤトとセイナは馬車の中にいた。
森都ユリゼン行きの、高速馬車だ。
なぜなのか?
それは、ハヤトの活躍を聞きつけた森王が、招集をかけたためだ。
セイナも、一応パーティーメンバーとして同行している。
「なあ、セイナ。森都までどれくらいだ?」
「えっと、あと五日はかかるんじゃないかな。」
「そうか…。」
「どうしたの?」
「なあ、セイナ。お前には話しておこうと思う。」
「…何を?」
「……3200年前のことについてさ。」
「……!!」
「……時間はいっぱいあるんだ。おとぎ話だと思って、聞いてくれ…。」
【魔煌剣】
ハヤトが3200年前に獲得したスキル。
あらゆる属性を扱い、敵を葬り去る。
作中ででてくる【火炎斬】や、【大聖剣】などは、作者がその場の思い付きで書いているスキルです。奥義以外は適当に作者が考えてます。
【奥義】
今のところ、[火の旅]と[水の旅]の二種類。各属性が奥義の名前につく。【魔煌剣】のスキル単体での奥義。
【七大罪之魔装】+【魔煌剣】
ハヤトがもつ装備とスキルの合体技。
[罪之剣]と[罰之剣]の二種類しかなく、罪の名前がそれぞれの技名になる。
これ以外にも、【魔煌剣】+【???】の技を出していきます。
この話から、一番最初の0話に飛んでください!
変な書き方をしてしまいましたが、ストーリー上よろしくお願いします




