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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第3章 エルフ大陸編
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045 七大罪之魔装・強欲





 黒く、赤く、赤黒い魔力の奔流が、ハヤトを囲う。

 

「あああああああああああ!!」


 魔力が、うねりをあげる。

 

 ガイは、アイデクセ=ロードは、逃げていた冒険者は、悪魔を垣間見た。


『ガイさん…。早く逃げろ…。』


 ハヤトの声と、先ほどの悪魔の声。

 二つの種類の声が、ガイにそう告げた。


『おれの、理性があるうちに、早く…。』


「……死ぬなよ。」


 頷いたガイは、何人か人を呼んだ。

 そして気絶しているSSランク冒険者たちを担ぎ、その場を去って行った。


(情けねえが、この場はあいつに任せるしかねえ…。頼んだぞ…。)















『逃がして、いいのかよ?』


 ハヤトはアイデクセ=ロードに向かってしゃべりかけた。


『まあ、追おうとしても、させねえけどな。』


 人語を理解できているか分からないが、ハヤトは続けた。

 

 ガイ達が逃げている間も、ハヤトが喋っている間も、アイデクセ=ロードはずっとハヤトを見ていた。





 ハヤトだけを倒さなければならない敵と見ているのか、一向に動く気配はない。


『……気づいていないとでも思ったのか?』


 否、アイデクセ=ロードは何もしていなかったのではない。

 ハヤトやガイに気づかれないように、周囲のアイデクセ達から力を集めていた。


 周りのアイデクセ達は表面上変わらないように見えるが、どんどん体力が減っていっている。

 だが、ハヤトはそれを見抜いていた。


『悪魔の力、見せてやろう…。』


[強欲]


「グルルゥッ!?」


 アイデクセ=ロードが驚いたような声をあげた。

 無理もないだろう。アイデクセ=ロードの、周りのアイデクセ達から力を集めるというスキルはたった今(・・・・)、使えなくなったのだから。





 アイデクセ=ロードの、アイデクセ達から力を集めるスキルの名は、【眷属之掟】。自分より格下の、同種族から、生死にかかわらず、力を集めることができる。死んだアイデクセから得られる魔力は微々たるものだが。それが数十、数百ともなれば話は別だ。生きているアイデクセからは死ぬまで力を吸い取ることができる。


 対して、ハヤトが使った技。これは、【七大罪之魔装】がもつ、【特性】による技だ。【七大罪之魔装】はみな、一つの【特性】をもつ。【七大罪之魔装・強欲】の特性は、【相手のスキルを消し去る】だ。





『さて、やろうか。』


「グオオオオオオオオオッ!!」


 ハヤトとアイデクセ=ロードの戦いが、始まった。





















『……、氷の銃弾(アイス・クーゲル)!』


 セイナは撤退しながら、違和感を感じていた。

 いや、違和感を感じたのはセイナだけではないだろう。


(……アイデクセ達が、弱くなってる…?)


 周りの冒険者たちも、手応えのなさに、少なからず動揺しているようだ。


 その代わりといってはなんだが、アイデクセ=ロードの魔力が、高まっているような気がしていた。


(嫌な感じね…。ハヤト君、頑張って…。)


 祈ることしかできない自分の力不足を感じながら、セイナは撤退戦を続けた。

















『はああああ!』


「グオオオオゥ!!」


 ハヤトの刀、【宵時雨】と、アイデクセ=ロードの爪が交差し、火花が飛び散る。

 お互いが繰り出す一撃一撃は超強力で、刀と爪がぶつかり合う度に、空間が揺れる。


 揺れた空間は周囲を破壊し、1人と一頭の周囲はとんでもないことになっていた。




 一見、互角に見える戦いだが、その実はそうでもない。

 技量の上ではハヤトが上といえるだろう。


 だがしかし、相手はSSSランクモンスターだ。

 アイデクセ達から奪った魔力と、圧倒的な体力がある。

 このままでは、ハヤトの体力が尽きてしまうだろう。


(いつもなら体力負けなんてしないんだがな…。)


 心でそう悪態をつきながら、ハヤトは刀を振るう。


(マモン(この野郎)…。おれの自我を奪おうとしてきやがる。)


 悪魔というのは、基本的に悪だ。

 ハヤトに装備され、一度は従ったものの、隙あらば体の主導権を握ろうとしている。


 ハヤトはアイデクセ=ロードと戦いながら、精神ではマモンと戦っているのだ。

 いくらハヤトといえども、肉体と精神で同時に戦っているとなると、体力の減りも早くなるというものだ。



『分が悪い、か。なら、さっさと決めさせてもらうぞ。』


 【魔煌剣】と、【七大罪之魔装】が合わさって、撃てる技。

 いうならば、合体奥義。


(おれ)に贖罪しろ――――――。』


 【宵時雨】に、赤黒い魔力が集う。






『罪之剣・強欲』

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