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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第3章 エルフ大陸編
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044 トカゲの皇帝


 キュウカは呆然と立ち尽くしていた。

 ポリゴン片となっていくプロペンの死体をただただ眺めている。

 普段快活であった少女の心は、案外脆かったようだ。



「ちっ、聞こえてねえな。やるぞ、セイナ!」


「分かったわ。」


 そう言ってハヤトが駆け出す。


「闇剣•闇時雨」


 【宵時雨】は刀身の黒をさらに濃くし、闇の力を宿らせる。

 超高速で繰り出される突きに、ジェネラル=アイデクセはただ打たれるだけだ。


『氷の精霊、我が魔力にこた……なに?!


 セイナも追撃しようとするが、その時にアイデクセ=ロードの復活が起こった。

 

 セイナもハヤトも、ジェネラル=アイデクセでさえも、アイデクセ=ロードを見ている。


「なんだあれは…。」


「あれが、アイデクセ=ロードじゃないかな?」


 ハヤトとセイナも伝わってくる圧力を肌で感じている。

 

(あいつはヤバイ。俺がやらねえと…っ!)


 ハヤトがすぐさま向かおうとするが、ジェネラル=アイデクセがそれをさせない。


「クソったれ…。そこを退け!」


 ハヤトはジェネラル=アイデクセに斬りかかった。













 アイデクセ=ロードの復活を見て、SSランク冒険者達は瞬時に動き出す。

 すなわち、新たな強敵を速攻で殲滅するために。


「我々は、もう魔力が残っていない。」


「くそ、おれだってそんな力残ってねえよ!!」


 悪態を突きながらも、カルドーラは槍で攻撃をしかける。

 同時にレイラムも魔法で援護しようとするが…


GUUUULOOOOOOOOO!!


 アイデクセ=ロードの巨大な咆哮に思わずたじろいでしまう。

 その隙を見逃してくれるはずもなく、アイデクセ=ロードは攻撃に移る。


 最初に狙われたのは…《海神の杖》だ。



 尻尾による薙ぎ払い、ただそれだけだ。

 しかし、先ほどまでのキング=アイデクセとは段違いのスピードと威力だ。


 咄嗟に杖でガードしようとするも、四人もろとも吹き飛ばされてしまった。


 更に追撃しようとするアイデクセ=ロードだったが、レイラムとカルドーラが攻撃して注意を向かせる。


「風突•十二連ンン!!」


「一………ぅぐう!!


 二人のうちまず攻撃されたのはレイラムだ。

 魔法を唱えようとした瞬間に腕で攻撃された。


 レイラムもまた吹き飛ばされた。


「チクショ…っ!」


 カルドーラが一人で抗えるはずもなく、槍技の途中で吹き飛ばされる。












「う、うわあああっあああ」


「逃げろおおおおおお!」


 その様子を見ていた冒険者達が一斉に逃げ出す。

 SSランク冒険者が1分もかからず戦闘不能にされたのだ、無理もないだろう。


 だがしかし、アイデクセ=ロードの追撃は無慈悲に襲いかかる。

 



(クッソ、あばらに、左足、それに肩までやられてやがる…。動けねえ…。)


 カルドーラは必死に手足を動かそうとするも、思い通りに行かないようだ。


(すんません師匠…。おれはここまでみたいです。)


 カルドーラは心の中でジークフリートに謝りながら、意識を落とした。










GUOOOO!!!


 アイデクセ=ロードの覚醒で勢いづいたアイデクセ達も、冒険者達に襲いかかる。

 戦意を失った冒険者達は、次々と命を散らして行く。



「雷鳴ノ斧!」


「火炎ノ斧!」


 そんな中で、アイデクセ=ロードに立ち向かったのはガイと《歴戦の剣》だ。


「俺らが時間を稼ぐ。その間に逃げろ!」


「他のS、Aランク冒険者は道を切り開く役だ!早く行け!」


 ロイゼとガイはそういった。


「ウィスプ、ロコモ!いくぞ!ここがおれらの死地だ!」


「地獄の底まで付き合ってあげるわ!」


「…もうちょっと長生きしたかったけどなあ。」


 ロコモも悪態を突きながらも杖を構える。

 対峙してみて、圧迫感にさらされることで、改めて理解した。


(さて、何秒かせげることやら…)













「くっそ、くっそ、くっそおおおお!!」


 一方ハヤトは、アイデクセ達の相手にかかりきりになっていた。

 冒険者達が逃げていったせいで、標的を失ったアイデクセ達が向かってくるのだ。


「あああああああああああ!!!」


 雄叫びを上げながら、ハヤトは斬り続ける。


(あんなの相手にマトモに戦えるのはおれだけなのに……!!)


 焦燥に駆られながら、ハヤトはアイデクセ=ロードを目指して歩を進める。

 無限にも思えるアイデクセ達を斬り倒しながら。






 その頃セイナは、キュウカと一緒に逃げていた。

 

「キュウカさん!しっかりしてください!」


「…私も死にに行く!離して!」


 先ほどからキュウカがこの調子なので、無理矢理引きずっている感じになっていた。


 パーティーメンバーの2人と一緒に止めているものの、キュウカは馬鹿力なので苦労しているうようだ。


(ハヤト君…死なないで…。)


 心の中ではハヤトの無事を祈っていた。












 ハヤトはようやく、アイデクセ=ロードに辿り着いた。

 目にした光景は、残酷なものだった。


「ちくしょう…、なんだよこれ……っ!」


 アイデクセ=ロードから少し離れた死角に転がっているSSランク冒険者達。

 満身創痍のガイ。

 そして、たった今散った、《歴戦の剣》の3人のポリゴン片。




 ハヤトの中で、何かがきれた。



(何が神だ。こんな力があったって、結局何も、救えねえっ!!)


(力が、力さえあれば!!)


 




 そして、ハヤトの右手の指輪が赤黒く光り出す。

 指輪の名は、【七大罪之魔装•強欲】。


 そして悪魔の声を聞く。


『我、大悪魔マモン。主の【強欲】に応えよう。』


 悪魔が、嗤った。

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