041 ハヤトの力
セイナはハヤトの力について、思い出していた。
二日前、カフェでハヤトの力について説明を受けていたのだ。
曰く、ログハウスを作ったり、衝撃波でグロース=アイデクセを吹っ飛ばしたりしたのは、【想像魔法】という力。自分が想像できる事象を起こせるらしい。ただし、魔力無消費とはいかないようだ。
曰く、彼が使う剣技は、【魔煌剣】。全ての属性を操り、剣技と共に繰り出すというスキル。
そんなの反則じゃないの、とセイナは言ったが、彼曰く
「いや、レッドルビードラゴンやグリーンエメラルドドラゴンを倒したような奥義は、1日に1回しか使えないんだ。」
という弱点があるらしかった。
あんな奥義を2回も使うときなんて来ないんじゃないかと思っていたが、案外、早く、来てしまった。
そんな事を思い浮かべながら、セイナは次なる魔法の詠唱を開始した。
セイナも合成魔法は1日に1回しか使えない。ただしそれは魔力量不足によるものなので、強くなればもっと使えるようになるだろう。
初撃の火轟氷滅と火の旅で、相手全体の五分の一ほどを一掃できた。その中にはジェネラル=アイデクセも含まれており、自分がAランクモンスターを倒した事実に嬉しくなってくる。
セイナは詠唱を続ける。
『氷の精霊、我が魔力に応え、敵を撃て。氷の銃弾』
自分に課された役目を果たすべく、セイナはグロース=アイデクセの殲滅を始めた。
ハヤトは戸惑っていた。
3200年前との違いにだ。
流石に、全く変化がないわけないだろう、とは思っていた。
しかし、空属性の魔法が無いとは思わなかったし、何よりも自分の体の変化に戸惑っていた。
(奥義が1日に1度しか使えない…。3200年前は奥義級を何度も連発できたはずだ。或いは、その代償か…。)
(まあ、そんなこと考えていても仕方がない。とりあえず今は、殲滅するだけだ。)
「風剣·草薙」
風を纏った剣を振り抜き、1度に何頭ものグロース=アイデクセを始末する。
ハヤトもまた、敵の殲滅に乗り出した。
戦闘が始まって一時間ほどたった時、SSランク冒険者vsキング=アイデクセは佳境を迎えていた。
「レイラム、早く支援を!」
「分かってるよ!余りせかさないでくれ!」
カルドーラがキング=アイデクセへと肉迫し、武器である二槍を奮ってスキルを繰り出す。
「双頭風槍牙!」
二槍が風を纏い、まるで牙を突き立てるが如く、キング=アイデクセへと刺さる。
刺さったもののキング=アイデクセは呻き声を上げただけで、さしたるダメージを負った様子はない。
お返しとばかりに尻尾での薙ぎ払いを仕掛けてくるが…
『防御』
レイラムの魔法がそれを阻止する。
「ぐっ…、おっもいなこの一撃…。」
魔法から伝わる振動に、レイラムが思わず愚痴る。
SSランクほどの強者になれば、詠唱を破棄しても変わらず強い威力の魔法を繰り出せる。
そしてそれは、《海神の杖》のメンバーも同様だ。
『雨の断罪』
『水が遊ぶ』
《海神の杖》は、パーティ名の通り水魔法を得意とする者が集ったパーティで、メンバー四人全員が魔法使いという異色のパーティだ。
雨のような銃弾と激流を浴びたキング=アイデクセはたまらずのけぞる。
そして、全身を赤く染め、大きく咆哮した。
「GUOOOOOOOOOOOOOO!!!」




