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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第3章 エルフ大陸編
38/50

037 セイナVSボス=アイデクセ




≪ボス=アイデクセ Lv60 Rank B≫

 グロース=アイデクセの上位個体で、アイデクセの群れを率いていることが多く、単体で出現することは滅多にない。全ての攻撃手段においてグロース=アイデクセよりも強力であり、300kgを超える体重を利用した突進は岩をも砕く。また、1mほどもある尻尾から繰り出される鞭のような攻撃も脅威である。頭に小さな角があるのが特徴。



「…Bランク魔物か。セイナ、やれるか?」


 ボス=アイデクセの突進を躱しながら、ハヤトはそう問いかけた。


「…やってみる。危なくなったら助けてね。」


「分かった。なら、任せたぞ!」


 そう言うと、ハヤトはその場から大きく跳躍し、10mほど離れた。






(相手は岩のような体皮…、火魔法じゃ余り効果は見込めそうにない…)


 続く相手の突進を躱し、セイナは少し多めに距離をとった。


『氷の精霊、我が魔力に応え、敵を撃て。氷の銃弾(アイス・クーゲル)


 瞬間、セイナの杖から何十もの氷の弾が現れ、ボス=アイデクセに向かって放たれる。

 




   ガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッッ



 半分以上は命中したが、さすがにBランク、これしきでは倒れない。



「ゥグオオオオオオオオオ!」


 しかし、ある程度のダメージは入ったようで、大きな咆哮をあげた。

 全身を見てみれば、筋肉が先ほどよりも隆起し、眼が赤く血走っている。



(怒り状態…。ランクB以上の魔物に見られる特徴ね…。冷静さを著しく欠く代わりに、身体能力が大きく上昇するっていう…。)



 

 怒りに身を任せたボス=アイデクセは、再び突進を敢行した。

 セイナは先ほどと同じように回避しようとするが…



「…ッッ、うぅっっ!」


 

 ボス=アイデクセはそれ以上の速さだった。 

 セイナは突進を避けきれず、相手の体がかすり、体勢を崩した。



 そして、体勢を崩したセイナに鞭のような尻尾による追い討ちが迫る!

 セイナは咄嗟に盾を構えるが…



  ズッドオオオォォォッンンン!!!












(こりゃセイナの負けだな。確かに試験でBランクのデザート・スコーピオンに狩ったが、魔力体にはそもそも怒り状態なんて概念はない。実際のBランク魔物はまだ早かったか。)



 ハヤトが刀を抜こうとすると…



「待って!まだ、やれる…っ!」


 セイナのそんな言葉が聞こえた。











 盾はもう使い物にならないし、盾を持っていた左手も痺れているし、さっき吹っ飛ばされた衝撃で体のあちこちに傷がある。それに、背後にはハヤトが控えている。


(それでも、私が強くならないと意味がない!お母さんを超える冒険者になって、誤りに行くんだ!)



『氷の精霊、我が魔力に応え、敵を貫け。氷崩落(ダス・アイス)



 しかし、氷の礫は当たらない。

 最初よりも格段に速く動くボス=アイデクセは、礫の全てを回避した。


 そしてまた突進をしかけてくるが、タイミングを合わせてセイナも避ける。






 この膠着状態が15分ほど続いた。


 

 

 しかし、もはや膠着状態ではない。

 明らかにセイナの方が消耗している。

 ボス=アイデクセは俊敏に動く上に、攻撃力も高い。Bランク魔物に恥じぬ体力もある。

 対してセイナは、まだ有効な一撃を与えられていない。先ほどの傷もあるし、体力的に限界だった。魔力はまだ余裕があるが、このままではじり貧だ。



(くっ、やっぱりハヤト君に頼るしかないのかな…?)



 その時、セイナの背後の茂みが動いた。

 

 即座にセイナが振り向くと、そこには、



 もう1匹のボス=アイデクセがいた。












「なんだとっ…!?」

 

 これにはさすがにハヤトも驚いた。


(ちっ、最初から隠れてたのか…?!生命反応探知を怠るんじゃなかった!)


 ハヤトも瞬時にセイナの元に駆け寄る。



衝撃波(ザ・ショック)!」



 ハヤトが放った衝撃の魔法で、ボス=アイデクセ2匹は大きく後ろに飛ばされる。



「ハヤト君、わたし…。」


「分かってる。最初の方はお前にやる。後からきたやつはおれがもらうぞ。」


「…うん!」


「あと、ちょっと見とけ。ヒントをやるよ。」


 ハヤトはそういうと、魔法の詠唱、そして魔力のコントロールを始めた。

 両方とも必要ないのに、セイナに手本を見せるためだろう。



『空の精霊・闇の精霊、我が魔力に応え、古の合成霊波となりて、敵を喰らえ。


 歪曲せし黒き闇(ブラック・ホール) 』




 ハヤトの魔法によって小さな黒球が現れた。

 1cmほどの小さな黒球はフラフラ進みながらボス=アイデクセへと向かう。


 警戒しながら回避しようとしたボス=アイデクセだったが、



 黒球は急に速くなった。



 速度の変化に対応しきれなかったボス=アイデクセに、黒球が命中した。


 そして命中した瞬間、


 まるでそこには最初から何もなかったかのように、ボス=アイデクセの姿が消えた。




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