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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第3章 エルフ大陸編
32/50

031 プロローグ 旅立ち

 一週間おきなら、なんとか更新できそうです。





「セイナちゃん、本当に行くんだね?」


 パルムはセイナにそう問いかけた。

 レッドルビードラゴンの一件から夜が明け、エルフ達はウォリア村へと帰ってきていた。

 

 ウォリア村はまだ魔物の襲撃を受けている最中だったが、ハヤトが速攻で全滅させた。村で魔物の群れを食い止めていた者たちのうち、生き残っていたのは半分ほどだけだった。


「……うん、あと、世界樹の上に行くことだけが目標じゃないの。」


 昨日、村に帰る途中で旅に出る旨をエルフの村人達にセイナは伝えていた。反対意見も多くあったが、セイナが旅の目的を伝えると、皆反対しなくなった。


「私ね、今回、レッドルビードラゴンが近くの森にやってきた理由を知りたいんだ。今回の事件について調査して、解決する。それが私のもう一つの目的よ。」


「……セイナちゃんはいつの間にか強くなってたんだね。私は引き留めやしないよ。いってきなさい。」


「…うん。ありがとうパルムさん。」


 セイナはそう言って、荷物をアイテムボックスに放り込んだ。

 エルフは生まれもったMPの量が他の種族に比べて多いため、どうしてもアイテムボックスの容量が小さくなってしまう。セイナがアイテムボックスに入れることができるのは、旅の道具と武器、食料ぐらいのものである。






 村の門に着いたセイナを見送る影は少ない。

 昨日の戦いで家族を失った者も少なくないのだ。それに、魔物の襲撃で壊れた家を直さなければならない人もたくさんいる。


 そんな中見送りに来た数少ない人の1人、村長が前に出てセイナに言った。


「いってらっしゃい、帰ってくるのを待ってるよ。」


「ありがとうございます、いってきます。」


 セイナはそう答えて、村を出た。




 ハヤトは村はずれの広場でセイナを待っているといっていた。一緒に村を出ればいいのに、気を遣ったのだろう。


 セイナがハヤトの待つ広場に行くと、そこにはログハウスが建っていた。





「………え?」














「よう、遅かったなセイナ。」


 

 セイナが木でできた家を見て唖然としていると、ログハウスの屋根から声が聞こえてきた。

 セイナが屋根を見ると、そこにはハヤトが立っていた。


「ハヤトくーん!なによこれー!」


「なにって…ログハウスだよ。」


 そう言うと、ハヤトは屋根から飛び降りた。


「そうじゃなくて!なんでこんな所に二階建てのログハウスが建ってるの!?」


「なんでって…、野営するとき用のテントとしておれが作ったからだけど…。」


「……どうやってこれを持ち運ぶのよ!」


「こう。」


 そう言うと、ハヤトはログハウスをアイテムボックスに収納してみせた。

 

「……それもハヤト君の魔法の力なの?」


「いや、これは元々だよ。」


「…なんというか、規格外ね。」


「褒め言葉として受け取ろう。」


「……」


(ちょっと待ってよ…、あのログハウスってことは、同居…?まあ、二人旅だししょうがないのかな…?)


「安心しろ、部屋は分けてあるし、手も出さねえよ。」



 セイナが悩んでいると、それを察知したのか、ハヤトがきちんと補足してくれた。セイナは苦笑いしかできなかったが。











「さて、そろそろ行くぞ。と言いたいところだが、来客みたいだ。」


「…え?」



 ハヤトがセイナの後ろを指差した。

 セイナが振り向くと、ちょうど、森の中から巨大なイノシシのような魔物が飛び出してくるところだった。



 ハヤトが【万物理解】を使って解析すると、


≪ファング・ボア  Lv38 Rank C≫

 全長2mほどのイノシシのような魔物。主に森や草原に生息しており、小さな群れで生活することが多い。空に向かって生えている牙が特徴的で、その牙は石を貫く。また、巨体でありながら時速60㎞ほどの速度で繰り出される突進は、冒険者であろうとも初心者であれば一たまりもない。



「…へえ、群れてないってことはこいつははぐれか?」


 ハヤトが刀を抜こうとすると、セイナはそれを制止した。


「ここは、わたしに任せて。」


 セイナはそう言うと、背中に提げていた杖をとり、魔法を詠唱した。


「火の精霊、我が魔力に応え、敵を射よ。炎の矢(フランメ・プファイル)


 セイナの詠唱によって放たれた大きな炎の矢は、突進してくるファング・ボアに命中した。

 矢が命中した部分から炎が広がり、セイナの魔法は一撃でファング・ボアのHPを全て削り取った。




「……結構やるな、セイナ。」


「まあ、これでも才能だけはあるって言われてきたからね。お母さんが元々Sランクの冒険者だったから。」


「…そうか。なら戦力は問題なさそうだな。」


「…まあ、ある程度ならね。」


「じゃ、改めて行きますか。」


「目的地は…?」


「……考えてなかった。」


「……はあ、目標としては、今日中に隣の村を越えたいわ。ログハウスもあることだし、行けるとこまでいきましょう。それで、明日には『ピュールトン』で冒険者登録をしときたいわ。」


「ピュールトンってなんだ?」


「……一番近くの冒険者ギルドがある街よ。特にこれといった特徴はないけど。」


「りょーかい。んじゃ、行くか!。」


 こうして、ハヤトとセイナの絶対に譲れない旅、(アブソリ)(ュート・)(ディー)(ライゼ)が始まった。





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