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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第3章 エルフ大陸編
30/50

029 プロローグ 神の目覚め

 ちゃんと更新しました。

 次回でプロローグ最後です。


(長い、本当に長かった。永久に続くかと思った…。)



 ハヤトは、自分という存在がどんどん覚醒していくのを実感している中、そんなことを考えていた。もうすぐ自身が目覚めるときがくる。眠っていたハヤトには自分が何年封印されていたか知る術がなかった。まさか3200年も眠っていたとは考えもしなかっただろう。


 いや、正確にはハヤトの意識は一年ほど前からすでに覚醒し始めていた。だが、ハヤトの体はまだ覚醒するに至らなかったのである。究極とも呼べる魔法は、魂と体を極限まで疲弊させていた。

 

 しかし、意識があった一年間、ハヤトは何もしなかったわけではない。ずっとイメージトレーニングをしていたのである。新しい魔法のイメージ、そして刀を使った戦闘のイメージ、目覚めてからの行動に支障がないよう、ひたすらイメージをしていた。

 


(それに、世界を変えてしまった償いをしなきゃな…)


 ハヤトは、そんなことも考えていた。

 自分が受け入れられなかった、世界の人の交流が少なかった、といった理由で世界を変えたハヤト。

 ハヤトが世界を変えた理由を人々が聞いたら、傲慢すぎる、と何人が口にするだろうか。そして、ハヤトを知っている人がこの理由を聞いたら、ハヤトらしくない、と何人が口にするだろうか。


 そう、何故なら世界を変えたのはハヤトの意志ではないのだから。いや、正確には半分はハヤトの意志、と言ってもいいかもしれない。



 ハヤトは、確かに世界を変えたいと思っていた。そして、いつか変えてやる、とも思っていた。

 しかしそれは、いつかの話だ。


 

 ハヤトがイクサスと戦ったときに出た言葉、「十傑全員殺して世界を変える」。これはハヤトの本心であって本心ではない。

 ハヤトは二重人格なのだ。テンションが上がったときに出てくる裏のハヤト。その性格は残虐と言ってもいいものだ。ハヤトが地球で日本軍に入隊したのは、わずか15歳のときだ。いくら強いとはいえ、体の強さと精神の強さは同じではない。未成年にもかかわらず多くの人の命を奪うことを強いられたハヤトは、少しずつ壊れていった。

 

 しかし、完全には壊れなかった。幸いだったのは、ハヤトの強敵との戦いを楽しむ、という性格だ。強敵とは戦いたい、けど人は余り殺したくない。そんな葛藤の中で生まれたのが裏のハヤトだ。ハヤトが強敵と遭遇した場合、ほぼ必ずと言っていいほど裏の人格が顕現する。強敵との戦いを悦びとし、殺すことすら楽しむハヤトが。

 ゴブリンの群れ、リヴァイアサン、そしてイクサスとの戦いの終盤。ハヤトの裏人格はこのとき出てきていた。実際には相手は強敵でもなんでもなかったのだが、ゴブリンの群れの時は思う存分暴れられるという事実、リヴァイアサンの時はあの時のハヤトのステータスでは本気でやらないと勝てなかったという事実、イクサスの時は相手が世界最強クラスの男であるという事実、これらの事実がトリガーとなって裏のハヤトが出てきていた。



 つまり、イクサスに対して言った「十傑全員殺して世界を変える」というハヤトの言葉は、裏のハヤトが言ったものだ。

 そして、イクサスを殺して【七大罪之魔装・強欲】をハヤトが身に着けたとき、ハヤトに異変は起こった。


 国の裏切り、それによって激しく動揺して弱っていたハヤトの心は、大悪魔マモンの覇気に打ち勝つことができなかった。つまり、意識を【強欲】に乗っ取られていたのである。

 【強欲】が顕著になったハヤトは、実行する気のなかった十傑殺しをやりとげ、全ての【七大罪之魔装】を揃えた。【怠惰】以外の七大罪、すなわち【強欲】、【嫉妬】、【暴食】、【憤怒】、【色欲】、【傲慢】とハヤトは戦い続けていた。

 そして、そのほとんどを抑えることに成功したものの、【傲慢】には、最後まで勝つことができなかった。そこでハヤトは自分自身の感情を半分、【傲慢】も半分といったように、ハヤトの意識を二分割することで【傲慢】に対抗した。

 しかし、【七大罪之魔装・傲慢】に宿る堕天使ルシファーの力は強かった。他の【七大罪之魔装】と比べても抜きん出ているものがあった。それ故に最終的にハヤトの意識は【傲慢】にもっていかれ、世界変動は行われてしまったのである。


 

 幸いだったのは、【傲慢】が意識を乗っ取ってから、世界変動までの間隔が短かったことだろう。世界変動は行われてしまったが、間隔がもっと長かった場合、顕著になった【傲慢】によって世界が滅ぼされていたかもしれないのだ。







 ハヤトの意識が目覚めてから、ハヤトがまず行ったのは、悪魔たちへの仕置きだ。長い眠りによって落ち着いたハヤトの心は、悪魔たちを楽に屈服させることができるようになっていた。

 ハヤトは悪魔たちの特殊能力を確認した後、その特殊能力を使った戦い方のイメージトレーニングを行った。そして、覇気のコントロールも会得した。覇気を出した瞬間に全身が赤黒く発光したら困るので、覇気のコントロールを会得したのである。これによって、一つだけ【七大罪之魔装】を使用する、ということも可能になっていた。


【七大罪之魔装・怠惰】はコート。

【七大罪之魔装・強欲】は右手の人差し指の指輪。

【七大罪之魔装・傲慢】は左手の人差し指の指輪。

【七大罪之魔装・嫉妬】はベルト。

【七大罪之魔装・暴食】は膝当て。

【七大罪之魔装・色欲】は刺青。

【七大罪之魔装・憤怒】は靴。


 これらを完璧に使いこなせるようになったと思われる(実際使いこなせる)ハヤトは、神なのに悪魔を自由に使役できるという摩訶不思議な存在となっていた。














 自分の目覚めが間近なことを悟ったハヤトは、若干寝ぼけていた意識を無理矢理覚醒させる。


 



 そして、ついに神は目覚める。



 

 目覚めたハヤトが最初に見たものは――――――












 こっちを驚愕の眼で見ている100人ほどのエルフと、こっちを睨みつけている赤い竜、そして、こっちを泣きじゃくりながら見ている超絶美少女だった。






「………なにこの状況?」


 記念すべき第一声が、驚きのあまりの呟きになってしまったことは、仕方がないといえるだろう。

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