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アブソリュート・ディーライゼ  作者: 青空テツ
第二章 チート獲得編
22/50

021 七大罪之魔装

「そんな大声を出して一体どうしたのじゃ?」


 おれの大声に反応して駆けつけてきた兵士を持ち場に帰らせ、国王が問うてきた。いや、だって…、あのルフィンがねえ…。


「取り乱して申し訳ない。その、ルフィン王女とは面識があるものでして」


「ほう、そうじゃったのか!それなら話は早いの。婚姻について早く進めることが出来る。」


「いやいやいや、とりあえず結婚の方は置いといて。その、彼女の眼は緑ではなかったような気がするんですが…。」


「うむ、その通りじゃ。儂の直系の家族であやつだけが黒い瞳での。理由は分かっておらぬ。」


「なるほど。しかし、なぜエドマンドのような北の辺境に第二王女を?」


「それはじゃの、儂は気にしてはおらぬのだが、家族の中で唯一魔眼を持ってないのでな、色々と立場が悪いのじゃよ。それと本人の希望もあって、北方で魔物について学びたいと言っていたのでな。身分を隠してエドマンドへと留学させておったのじゃよ。護衛は最低限つけておったがの。」


「そうでしたか…。」


「うむ、そういうことじゃ。ま、この話はこれくらいにしておこう。それより、お主の冒険の話を聞かせてくれぬか。」


「ええ、もちろん構いませんよ。」
















 ……長かった。あの国王、やけに冒険好きというか魔物好きというか…。おれの出会った魔物や戦い方まで根掘り葉掘り聞かれた…。昼過ぎに話し始めたのに、もう夕方だ。

 

 さて、ここから全力で飛んでいけば今日中にハルン村に着くことは余裕だろう。しかし、折角王都まで来たのに半日も滞在せずに出立してしまうのは少々勿体ない気がする。

 よし、王都を出るのはやっぱり明日の朝にしよう。今日はこれから買い物をして、良い宿に泊まるとするか。

 

 










 …うーむ、さすが王都、と言ったところか。めぼしい物が多すぎる。財力にものを言わせて片っ端から買いつくした。アイテムボックスがあるので持ち物を持つのには何の問題もない。アイテムボックス様々だな。

 さて、後は軽装剣士用のコートかな。エドマンドで買ったのも悪いワケじゃないが所詮初心者御用達の街だしなあ…。





 と、目の前に大きな防具屋が見えてきた。かなりの大きさだ。それに、店頭に出ている物を見るだけで良い者揃いだと分かる。これは期待できそうだ。


 店内に入り、早速めぼしいものを幾つか見つけた。完全解析で≪優れたコート≫で解析したのである。完全解析マジ便利。


「ふむ、黒狼王の毛皮でつくられた【狼王の黒装】、効果はSTRとAGIの活性化か。見た目も黒で俺好みだし、悪くないな。これにしよう。」


 お値段は45万3000z。…さすが王都。値段もエドマンドとは大違いだ。

 ま、余裕で買える値段だがな。


「すいません。この【狼王の黒装】ください。」


「…お客さん、ウチは一流冒険者じゃないと買えないような物ばっかだよ。アンタの手持ちじゃ到底無理さ。冷やかしなら帰っとくれ。」


 と、店員もとい店長だと思われる老婆に言われた。失礼な。確かにおれは初心者だが、ランクはその限りではないぞ。


「いえ、これぐらい大丈夫ですよ。はい、これギルドカード…」


「おや、アンタどっかの貴族の息子かい?権力に任せて良い物ばっか揃えても実力が伴わなきゃ意味ないよ。」



 ……このクソババア。言わせておけば好き放題言いやがって。そんな審美眼でよくこんな大きな店を建てれたもんだ。


 少々イラッっときたおれはクソババアもとい店主にギルドカードを見せつける。もちろん自分のステータスは非表示で。


「…!?ア、アンタみたいな若造がXランクだってのかい!?」


「今日、Xランクに昇格したばっかなんだよ。悪かったなあ、ボンボンみたいに見えてよ。」


 と、たっぷりの皮肉をこめて言ってやった。するとこのクソババア、開き直りやがった。





「これはこれは失礼いたしましたお客様。わたくし、冒険者防具専門店≪ユニークユニット≫オーナーのダダ・エルヴァンと申します。以後、お見知りおきを。」


「…………」


 あまりの開き直りっぷりにビックリだわ!2013年に世間を騒がせた実は耳が聞こえてた作曲家もビックリの開き直りっぷりだわ。


「【狼王の黒装】でございますね。お客様、それよりももっと優れた軽装剣士用のコートがあるのですが、いかがでしょうか?」



 …………おっと、いつまでも唖然としているわけにはいかない。これよりももっと優れたコートなら、ぜひ見ておかねば。


「ぜひ、見せてくれ。」


「かしこまりました。それでは私についてきてください。」


 と、言ってオーナーが店の奥へと入っていったので慌てて追いかける。店頭に並んでいない防具か。期待できるな。











「これが、ウチの誇る自慢の防具です。どうぞご覧下さい。」


 と言って案内されて来たのは店の地下。なるほど、完全解析しなくても分かるぐらいに強力なオーラが防具から滲み出ている。


「なるほど、良い者揃いですね。」


 地下室を見渡していると、とてつもないオーラを感じた。

 思わず振り返ると、その強力なオーラは部屋の隅の宝箱のような物から感じられた。


「おいオーナー、あの宝箱にあるのはなんだ?」


「ア、アレですか。アレはいわゆる曰くつき物でして…。」


「曰くつき…?呪われているということか?」


「ええ、その通りでございます。世界に七つだけ存在する呪われし防具の一つ。【七大罪之魔装・怠惰】と呼ばれるものです。」


「へえ、世界に七つしかないのか。しかし、そんなに貴重なものなら欲する者も多いんじゃないのか?」


「いえ、この防具は人を選びます。防具に認められた実力者ならば使いこなすことができ、そうでない者が着用すると瞬く間にその者の命を吸い取ってしまいます。」


「…そんなに危険なものなのか。他の六つの防具はどうなんだ?」


「他の防具も同じです。しかし、他の六つはもうすでに使用者がおります。世における十人の実力者、そのうちの六名が身に着けているとされてます。」


「…その六人ってのは誰なんだ?」


「龍神、獣王、魔帝、魔神、大冒険者イクサス、大魔導師レギュムの六名でございます。このたび、獣帝、魔王、龍王の呪いの防具を持たざる三名が同盟を組んだのは決して偶然ではないでしょう。」


「なるほどな、十傑ほどの実力者が国家レベルで欲しがるほどのものなのか。」


「ええ、この最後の防具が人族の大陸にある、という情報はどの国にも伝わっておりますからな。今回の戦争の目的の一つには確実に入っているでしょう。もっとも、この場所にあることはロンド国王さえも知り得ていないでしょうがな。」


「…おいおい、そんな代物なのかよ。んで、コイツをおれに売ってくれるのかい?」


「しかし、あなたが防具に認められるかどうか…って、ちょっとお客様!?」


 

 なんかゴタゴタうるさいので宝箱を開けた。入っていたのは黒い古びたコート。背中の部分には二匹の蛇が交差する絵が描かれており、その中心より少し上に七つの玉が環になって連なっている紋章のようなものが描かれている。銀色で描かれたそれは途轍もない威圧感を放っており、並の人間なら防具の覇気にあてられただけで気絶してしまうのではないだろうか。


「これを着てみればいいわけだな。」


「……どうなっても責任はとりませんよ。」


「この程度の事乗り越えられなきゃこの先の危機も乗り越えられねえよ。」


 と言っておれは【七大罪之魔装・怠惰】を羽織った。



























「……汝、我が悪魔の力を欲っするか。」


 どこからともなく声が聞こえてきた。脳内に直接話しかけられているみたいだ。


「ならば、我が覇気を捻じ伏せてみせよ。お主が我の覇気に敗北した場合…グッ!?」

 

 なんか脳に直接話しかけられるって気持ち悪い感覚なので、早々に黙らせることにした。


「バ、バカな。なんだこの覇気は…、有り得ぬぅぅぅ…。」























 ふう、ようやく黙ったか。周囲にビンビンにまき散らしてた覇気もおさまったようだな。


「オーナー、んじゃこの【七大罪之魔装・怠惰】だっけか。値段いくらだ?」


「まさか本当に認められるとはの。そいつの値段は30000000zじゃが…。」


「んな、たかっ!いや、世界に七つの伝説の防具だとしたら当然なのか…?」


「これでも出血大サービスで安くしとるほうじゃわい。それで、もちろん買うのじゃろ?」


「もちろんだ。んじゃ、【狼王の黒装】も含めて会計頼むぜ。」


「毎度あり、今後とも我がユニークユニットをご贔屓に。」



 

 会計を済ませて、店から出た。もうすっかり夜になってしまっている。

 【七大罪之魔装・怠惰】の背中の面から、蛇と七つの玉の紋章が消えているのが分かった。どうやら、戦闘時におれが覇気を出すと浮かびあがってくるらしい。つまり、普段はただの古ぼけたコートに見えるということだ。


 さて、明日魔物と戦うのが楽しみになってきたな。

 

 …とりあえず宿行って寝よう。

 今回は物語の要になるアイテムの登場ですヽ(^。^)ノ

 なのでいつもより話が少々長めになってました。

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