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転生してスローライフ  作者: 火川蓮
第七章

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chapter45 崩れ始めた陣形

森の中に、いくつもの叫び声が響いていた。


ゴブリンたちの声。 剣がぶつかる音。 槍が風を切る音。 戦場は、まだ激しい。

それでも――以前とは何かが違っていた。


「くそっ!」


カインが剣を振り抜く。 迫っていたゴブリンが倒れる。

息を整える暇もなく、次の動きを探す。


「左!」


ノアの声。 カインが振り向く。 次のゴブリンがやって来ていた。


「任せろ!」


ヴァルトが割って入る。 剣がぶつかる。

その間にリシアが横へ回り、ゴブリンの背後へ回り込んだ。

短剣が閃く。 ゴブリンが崩れ落ちる。


「……減ってる」


ノアが呟いた。 確かに減っていた。


森を埋め尽くしていたはずのゴブリンの数が、目に見えて少なくなっている。

それでも、サージェントは指示を出し続けていた。

次々と指示が飛び、ホブゴブリンたちが動く。


だが――。


「ギッ!」


一匹が別のゴブリンとぶつかった。


「ギィ!」


押し退けられたゴブリンがよろめく。 その隙を旅烏は逃さない。 カインが踏み込んだ。


「そこだ!」


剣が振り抜かれる。 ゴブリンから血吹雪が上がる。

サージェントの目が細くなる。


サージェントは困惑しながら次の指示を出す。

列はすぐに埋まった。 けれど、別の場所が薄くなる。

サージェントは腕を振る。

ホブゴブリンが指示を伝える。

その声に反応して、ゴブリンたちが動く。

しかし――。


「遅い!」


リシアが呟いた。

一歩踏み込み、短剣が走る。 またゴブリンが倒れる。


「今!」


ヴァルトが声を上げる。 旅烏が一斉に動いた。

無理に突破するわけではない。 ただ、開いた場所へ進む。 それだけだった。

にも、関わらず――ゴブリンの列が崩れる。

サージェントの腕が止まった。


「……ギ」


目の前の光景を理解する。

新しい指示を出し、動かす、 空いた場所を埋める。

それを繰り返した。

なのに――埋めた場所が次の瞬間には空いている。

戦場が、自分の手から少しずつ離れていく。


「ギ……ギィ……」


サージェントの呼吸が荒くなる。 それでも腕を動かした。


「ギィッ!」


強い声。 ホブゴブリンが振り返る。


「ギィ!」


さらに指示を飛ばす。 ゴブリンたちが走る。

旅烏へ向かって、一斉に押し寄せる。

カインが目を見開いた。


「おいおい……!」


ノアが槍を構える。


「多すぎます!」


ヴァルトが剣を握り直す。


「来るぞ!」


旅烏の前に、再びゴブリンの群れが雪崩込む。

それなのに、先ほどまでのような統一された動きではなかった。

互いにぶつかりながら、声を掛け合うこともなく、サージェントの命令だけを追うように、ゴブリンたちが殺到してくる。

サージェントは、その後ろから睨みつけていた。


「ギィイイ……」


低い唸り声。

その声に応えるように、さらにゴブリンたちが前へ出る。 旅烏は構えた。 カインが剣を握り直す。

リシアが短剣を構える。 ノアが槍を引く。

ヴァルトが一歩前へ出た。


「……まだ終わってない」


その言葉と同時に、群れが襲って来る。

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