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2章:禁忌魔法

カズキ

「目が覚めると、普段と何の変わりない、普通の1日が始まった。

結局、昨日再び出会ったあの幽霊は、

図書室の地下で会ったのが最後だったようだ」

カズキ

「しかし、夜。

また奴は姿を表した……」


夜。


ハーティー

「……」

ハーティー

「皆、起きてるな?」

カズキ

「はい、バッチリです(小声)」

ハーティー

「よし。では行くぞ」

エリー

「はい!」

オズマ

「(あの幽霊の行動を推測すると、

わざわざ眠らせる必要がない夜が一番活動しやすいはずだ)」

オズマ

「(昨日俺達がやったことは調査と探索だ。

変に警戒するようなことをしていないはずだから、

幽霊は不思議に思わず普通に現れるはず)」

オズマ

「(だから頼む……。

俺の予想通りにまた現れてくれ!)」




ハーティー

「見つけたぞ!」

オズマ

「すぐに結界を張れ!町中と学園に入れさせるな!」

エリー

「はい!」

アリス

「っ……!」

オズマ

「よし、これでいい!」

トルク

「で、でも、結界って僕達が普段使っている 魔法陣を硬くしたただの障壁ですよ?

すぐに破壊されるんじゃないですか?」

オズマ

「元々時間稼ぎとして使うつもりだったからこれでいいんだ。

それに……」

オズマ

「壊れないようにうまく立ち回り、壊れる前に倒せばいいだけの話だ」

トルク

「そ、そうですね……」

トルク

「(学校の中にいる人達に被害が出ないと良いけど……)」

アーク

「うおっ!」

エリー

「相当イライラしているようね。

効いてる効いてるぅ!」

ハーティー

「気を抜くな、こういう時は大抵力を増す合図だぞ!」


ウォオオオオ………。


アティナ

「きゃあっ!」

ハーティー

「くっ!」

幽霊?

「…………………………」

ハーティー

「?」

???

「キミ……タチ……ハ?」

トルク

「しゃ、喋っ、た……?」

アーク

「シャベッタアアアアアアアアアア!」

エリー

「うるさい!」

アーク

「おぶぅ!」

オズマ

「どういう、ことだ……?」

ハーティー

「……」

カズキ

「俺達は……エストリア学園の生徒だ」

???

「え、エストリア……!」

???

「ふ、フフ……ソウカ、エストリアカ……」

カズキ

「?」

カズキ

「俺達がエストリアの生徒であることがなんだってんだ?」

???

「ヨウヤク、報ワレルト思ッテナ……」

ハーティー

「姿が変わった!?」

ハーティー

「いや、それが本来の姿か……」

???

「そうだ。今を生きる同胞達よ」

レイシス

「私の名前はレイシス・アーケドルム。

ネクロマンサーだ」

オズマ

「ネクロマンサー本人だと!?」

レイシス

「よく我を捕まえられたな。

死霊として厄介だっただろうに」

オズマ

「なぜそれを……」

レイシス

「理由など簡単だ。私は既に死んでいる身。

死ぬ間際に自分の死体を死霊化させる魔法を掛けたに過ぎん」

オズマ

「自分の死体を……」

トルク

「死霊化……」

ハーティー

「まさか、自分の体さえも

死霊化させる奴がいたとはな」

ハーティー

「流石に驚いたよ」

レイシス

「今の私はただの精神体だ。

同胞を安らかに眠らせること、それだけのために動いている」

レイシス

「よって、それ以外のことは話せないし知らない」

レイシス

「私がこの姿になれたのは、

お前たちに人を眠らせることを封じられ、

それを破壊するために力を開放する必要があったからだ」

アティナ

「そうだったんですか……」

ハーティー

「一つ確認をしたい。

お前は200年戦争の……いや、

1500年前後におきた戦争の当事者で間違いないな?」

レイシス

「そうだ」

レイシス

「流石にあの戦争の事は知れ渡っているか……」

レイシス

「逆にこちらからも質問をしたい。

今は西暦何年だ?」

アリス

「2345年、です……」

レイシス

「……」

レイシス

「思えば遠くへ来たもんだ。

そんなに経っていたか……」

ハーティー

「同胞を安らかに眠らせるとはどういうことだ?」

レイシス

「そのままの意味だ。

戦争で死んでいった同胞達の死体を、

墓がある所まで連れていきたいだけだ」

エリー

「ちょ、ちょっと待って下さい!

同胞達って、今は2345年ですよ!?

もういないじゃないですか!」

レイシス

「そうだ。だから思えば遠くへ来たと言った」

レイシス

「私の役目は……もう終わったのか」

エリー

「まさか、うそでしょ……今回の事件って……」

オズマ

「ああ。オリへリアスの人達を、

200年戦争で死んでいった仲間だと勘違いし、

墓に埋めようとしていただけだったんだな」

オズマ

「実際には、墓に埋める力も残っていなかったようだが」

オズマ

「それにしても、この年代までやり続けていたとは……。

恐るべき執着心だ……」

オズマ

「俺からも質問をしたい。

あなたは生前、時空魔法を使えたのですか?」

レイシス

「時空魔法だと?

禁忌魔法だぞ、使えるわけがないだろう」

オズマ

「……」

オズマ

「(そんな馬鹿な……埋葬したいがために

何百年とやり続けていたというのか!)」

オズマ

「くっ、実は、あなたの目撃情報は今から2、3年前なんです。

それまであなたの出現情報は一切なかったんです。

これはどういうことですか?」

レイシス

「そんなの簡単だ。別の地域でも同じことをしていたし、

力がなくなった時は蘇るまで姿を消して眠っていた。

力が回復するのには時間がかかるのでな、だいたい数十年だ」

レイシス

「その様子だと、昼にも活動していたらしいな。

ふむ、夜の活動限定のはずだったが、時期が乱れ始めていたか。

もう本当に故障する寸前だったんだな」

オズマ

「……本当に時空魔法は使えないんですね?

夜限定ということは、時間指定ができるはずですが」

レイシス

「やけに時空魔法が気になっているようだな。

私は生前、殆どの人生を体内時計で起きていたんだ。

自分の体を起きたい時間に設定する事ぐらい魔法を使わなくてもできる」

オズマ

「ぐっ」

オズマ

「(恐ろしい……明らかに俺よりも強いじゃないか……)」

レイシス

「もう質問は終わりか?」

トルク

「ええと……」

トルク

「はい、以上です!」

レイシス

「そうか……。

なら、私を成仏させてくれ。

私もそろそろこの世からおさらばしたい」

アティナ

「いいんですか?」

レイシス

「ああ、このままだと人を攫っては眠らせるだけの

悪霊になりそうだしな」

レイシス

「既にそうなりつつある以上、選択の余地はない。

思う存分やってくれ」

ハーティー

「それで、いいんだな、お前は」

レイシス

「ああ。君たちには感謝しているよ。

おかげで勘違いに気づくことが出来た」

レイシス

「自分は使命を果たした。

心地よく眠ることができる……」

ハーティー

「そうか……」

ハーティー

「なら、私達も敬意を持って戦おう」

ハーティー

「皆、準備はいいな?」

カズキ

「もちろんです!」

アーク

「こ、怖くねぇ!怖くねぇからな!」

エリー

「ようやく肩の荷が下りるって感じねぇ。

さっさと倒して、依頼も終わらせて、

エストリアの寮に戻りたいわ」

アティナ

「今回前衛として戦いますが、

この様子だと多分いらないですよね……。

あまり攻撃してこなさそうですし」

アティナ

「まぁ、それでもやれるだけやってきますね」

オズマ

「まさかこんな解決になるとは思わなかったが、楽しめたぞ。

依頼としては寄り道しすぎだがな」

トルク

「ま、まだビビっていますが、

今とても貴重な経験をしていると

胸を高鳴らせています!」

アリス

「……頑張る」

ハーティー

「よし、行くぞ! 目標、ネクロマンサーの死霊の討伐!戦闘開始!」

レイシス

「ありがとう……」


エリー

「これで、一件落着ですね」

ハーティー

「ああ」

カズキ

「依頼の日数、どうなるんでしょうね。

この事件の分延長とか?」

ハーティー

「向こうの方はそうしてほしいだろうが、

たぶん無理だろうな。

なにせ日数を決めているのはギルド側だ」

ハーティー

「するにしても一度エストリアに戻る必要がある」

カズキ

「ですよね……」

カズキ

「仕方ない、残り3日しかないけど頑張りますか!」

アティナ

「後は校長や皆さんに報告すればいいんですよね?」

ハーティー

「ああ。もう大丈夫だろう」

アーク

「今回はあっさり解決できましたけど、

新学期のはじめにしちゃあとんでもねぇ依頼だったぜ。

貧乏くじ引いたか?」

オズマ

「貧乏くじに変貌した、が正しい言い方だろうな。

まさか昔の人間と会話することになるとは夢にも思うまい」

アーク

「それだけすごいことだっていうことですよね。

はぁ~……早く家に帰ってゆっくりしてぇや」

トルク

「あ、アリスさん。

今の一件、どう思います?」

アリス

「とても興味深かった」

トルク

「で、ですよね!

まさか禁忌魔法のネクロマンサーだとは思いませんでしたもんね!」

ハーティー

「うむ。今日は寝て、明日報告しよう」




 こうしてカズキ達は、校長や生徒達に事の全てを話した。皆目を丸くして話を聞いていた。

 その後、厄介なことがなくなったオリヘリアス学園は無事学生達が登校し、転校していた生徒も戻ってきた。家庭の事情などでまだ調整できていない人もいるが、 これから折へリアス学園はどんどん人が増えて元の状態へと戻っていくだろう。


 3日後。


オリヘリアス校長

「エストリア学園の皆さん、今回は本当にありがとうございました」

ハーティー

「いえいえ。お力になれてよかったですよ」

オリヘリアス校長

「ぜひ、また来てください。

生徒も楽しみにしてると思うので」

ハーティー

「ああ。時間があったらまた来るよ」

オリヘリアス校長

「1週間、ありがとうございました!」

オリヘリアス学園一同

「ありがとうございましたー!」

ハーティー

「……」

ハーティー

「よし、帰ろう!」

エリー

「はい!」

アティナ

「はぁ……」

オズマ

「(今回はまさかの依頼だったな。

まぁ、普通のものよりかは楽しめたが)」

オズマ

「(しかし禁忌魔法か。

今回のは特例中の特例だろうが、

今も陰で影響していたりするのか?)」

オズマ

「(いや、俺の予想は外れていたんだ。

200年戦争があったあの時代から既に

時空魔法は禁忌入りしている以上、可能性は低いか)」

オズマ

「(しかし、あの時と今。

どう世の中が変わっていったかは、

調べる価値がありそうだな)」

オズマ

「(帰ったら探ってみるか……)」

カトリーヌ

「ま、また……!」

カズキ

「ああ、また来るよ」

カトリーヌ

「……はいっ」

 外に出て。

ハーティー

「トルク、アリス。今回の依頼どうだった?」

トルク

「楽しかったですよ」

トルク

「流石にあんなのは滅多にないんだろうなぁと思っていますけど」

アリス

「次の依頼も楽しみになるような依頼だった」

ハーティー

「そうか」

アーク

「後はエストリアまで徒歩かぁ。

長いなぁ」

オズマ

「すぐ帰れるだろ。

同じこと来た時にしたんだし」

アーク

「そうなんすけどへとへとっすよ。

生徒で相手して、幽霊まで戦ったんですから」

オズマ

「なら、なるべく魔物と出会わない事を祈るしかないな」

オズマ

「(流石に今回はアークの負担が強かったか……)」

アーク

「お願いしますお願いします御お願いします……」

アティナ

「ま、またやってる……」

カズキ

「来た時ぐらいしか寄れませんでしたけど、

町の方に行っておくのもいいかもしれませんね。

またいつここを寄れるかはわかりませんから」

ハーティー

「そうだな」

ハーティー

「まぁ日が暮れない程度になるけどな」

ハーティー

「よし、では行くか」

エリー

「はい」

エリー

「(さようなら、オリヘリアス学園。

レイシスさん……)」

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