第六話 答え合わせ
朝霞が計画したおかげか、充実した夏休みはこれ以上ないほどの思い出が詰まった。
「おはよ~!」
「あ、俊と朝霞おはよ~!」
「俊、それじゃ放課後に。またな!」
「あぁ」
下駄箱で靴を履き替えようと上靴を取り出すと、一枚のメモ紙が落ちた。
『昼放課、話しがあるので体育館に来てください』
差出人は、一年の時に同じクラスだった桜井 穂乃花からだ。
話しってなんだろう……? 俺、何かしかたかな……。
* * *
昼放課になり、俺はメモ紙が気になり体育館へ向かった。
その様子を、朝霞が廊下の窓から見ていた。
(俊、この時間に体育館なんて何しに行くんだ……?)
俺が体育館につくと、メモを書いた桜井が待っていた。
「あ、俊。呼び出してごめんね」
「いや……大丈夫。話しって何?」
「えっと……あのさ、俊って今好きな人いる?」
「え!? 好きな人!?って……」
咄嗟に思い浮かんだのは、朝霞の顔だった。
「もし、いないなら私と……」
正直驚いた。
何か文句でも言われるかと思ったら、まさかの告白!?
「ごめん!! 俺……いるんだ……その……好きな人」
「あ……やっぱりそっか……」
「え?」
「朝霞と付き合ってるんでしょ?」
「いや、付き合ってるとか……ではないけど……」
「え? そうなの? だって、いつも一緒にいるじゃん。てっきり付き合ってるんだと思ってた」
「俺が一方的にというか……」
「なんだ、そうなんだ」
「俊、一年の頃と見違えるほど、ずいぶん変わったから……」
「そ、そうかな……」
「変わったよ! すごく変わった! カッコ良くなった!」
「あ、ありがと……」
「ねぇ? もし、朝霞がダメだったら私と付き合ってよ……ね?」
「え? ええっ?」
「いいじゃん、いいじゃん!」
「よくねーよ!!」
その声に、俺と穂乃花が驚いて振り向く。
そこには、朝霞が腕組して立っていた。
「「朝霞!?」」
思わず、俺と桜井は同時に叫んだ。
「朝霞、なんでここに……?」
「なんでって、お前が体育館行くの見かけたからだよ」
「朝霞、話し全部聞いてたの?」
桜井が慌てて聞く。
「途中からな、だいたい何話してたかは、わかるけど」
「俊が、朝霞と付き合ってないって言うから……」
「穂乃花、悪いな。俺たち付き合ってるんだ」
「「ええ?」」
その言葉に俺の心臓は一気に跳ね上がり、そして桜井も一緒に驚いた。
「そういうことだから、俊いくぞ」
朝霞は、俺の腕をつかみ引っ張って歩き、桜井は呆然と立ち尽くす。
「朝霞、痛いって引っ張るなよ」
「うるさい。なんで、お前はハッキリ言わないんだ」
「待てって、朝霞。ちゃんと話そう」
「なんだよ、何を話すっていうんだ」
「さっき、朝霞が言ったことだよ」
「そのままだ」
「本気か?」
「俺はいつだって、本気だ」
「それじゃ……」
「何度も言わせるな」
「ごめん」
「ごめんじゃないだろ」
「え?」
朝霞が立ち止まって、俺の正面からまっすぐ目を見る。
「男なら、ちゃんと言え」
「え? 何を?」
「あのなぁ……」
朝霞は、頭をボリボリとかく。
「俺は、ずっと前からお前が好きだ! お前はどうなんだ?」
そう言い放つ朝霞の顔は、真っ赤に火照っている。
「お、お、お、俺は……」
「……」
だめだ、ここはちゃんと言わないと。
朝霞は、何度も何度も俺を支えてくれた。
もう逃げたくない……!!
「俺も、朝霞が好きだ!」
もう、なんとでもしてくれ!
顔どころか、体中が熱い!!
そう思った瞬間、朝霞が勢いよく俺の懐に飛びついてきた。
「ばーか、早く言えよな」
俺の顔を覗く朝霞の瞳は、きらきらと潤んでいた。
朝霞のその表情は、俺の胸の奥が苦しくなるほど可愛く見えた。




