6話 老化現象
老化現象
最近、仕事場の編集室にいる隣の女の子の机の上にあるサプリメントが増えていくのが気になっている。オレは自慢じゃないがそんなところは、普通は気がつかない。
つまり、こんなオレでも気がつくほど増えているのだ。最初はビンが一個だったのが、いまでは机の中にお菓子と一緒に入っている。
「それ、全部、飲んでいるの?」
「そうですよ。普通ですよ。いります?」
と、にっこりと笑った。この笑顔はどこからくるのやら……。
「いや、いいや。」
普通でこの量か!?と顔に出さないように驚いてみた。それもいつ飲むのか、正確に覚えているところが恐ろしい。きっちり守っているところが彼女の正確さの現われだろうか。編集長はちょくちょく薬を飲んでいるが、あれはたぶん適量をとっくに超えているような気がする。
そういえば、コンビニでもよくサプリメントを見かけることになったなぁ。春男の家に行く途中にあるコンビニでそう思った。なぜ、ここにいるか。このコンビニのデザートを買ってこいと、春男からメールが来たからだ。
「買ってきたぞー。冷蔵庫に入れておくぞー。」
いつものようにドカドカ上がり込んで、まっすぐ冷蔵庫に向かった。そして、入れる。
「ありがとー。」
春男もどんなものを買ってきたのかも見ないで言った。なんでも、食後のお楽しみにとっておくそうだ。見るとすぐに食べたくなるらしい。
「ん?」
春男の机に上に見慣れないものを見つけた。なにやら、袋に入っている。一日三粒を噛んで下さい。
「これ、ブルーベリー?いつから、こんなものがあるんだ?」
「最近歳かなぁ……目が疲れているって言ったら、お隣の彩ちゃんがくれたんだ。はっきり言ってもう若くないんだから!ってさ。ま、あの子から見たら、おじさんだろうな。」
同じ歳かもしくは年下に年齢のことを言われると少々気になってしまう。しかし、隣の子は若いと言うより幼い。それでも、年齢のことを言われると、ちょっと気分的に落ち込むのは、本当に年を取り始めた証拠かもしれない。
「こんなもの、効くのか?」
と、手にとってジロジロみてみた。タブレットになっている。
「どうだろう。昨日から飲み始めたばかりだし。まだ実感は湧かないな。食べてみなよ。」
「そうか?一個もらうぞ。」
カリカリ……。まぁ、まずくはない。
「まずくはないが、これを三回っていうのが面倒だな。」
「そうなの?」
「そうなの?って書いてあるぞ。1日三回って。お前、読んでから食えよ。」
「んー。あんまり細かいことにはこだわらないんだよね。」
そう春男は言ったが、こいつにこだわりなんかあるんだろうか。
「よかったら、こっちも食べて行くかい?カルシウム。これも、彩ちゃんがくれたんだよ。骨は大事だからって。ほら、年を取ると折れやすくなっていくだろう?」
春男の話を聞きながら、彩ちゃんから見た自分たちはそんなに年なのかと思うと、なんだか、悲しくなってきた。かなり落ち込むというものだ。
結局、カルシウムも食べてから帰ることにした。自分が老けたと思うことが、一番老化を早めていくような気がする。オレはまだ、若いんだ!と自分に言い聞かせながら、帰った。




