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45話 電気屋の訪問

電気屋の訪問


 自分の家でも、他人の家でも思いがけない顔があると誰でも驚くと思う。今日のオレがそうだった。いや、家に靴が置いてあったことから、誰かしらいるのだろうとは思ったが、上にいると驚く。奥に入って行くと、知らない顔が上から見下ろしていた。もちろん、椅子に乗っているからそう思えるだけだ。

 電気屋の訪問だそうだ。なんでも、エアコンが壊れたらしい。それで、修理に来てもらったそうだ。

 修理屋はオレが来た時には修理を完了させていたらしく、すぐに椅子から降りて、帰っていった。さっそく、リモコンでスイッチを入れた。動き出す。

「ああ、直った。」

 ほっとしたように春男が言った。

「どこか、壊れていたのか?」

「うん。送風がね。カタカタとなにやら、音もしていたし。夏がくる前に、見てもらおうと思って。夏になったら、みんなが使い始めるだろうから混むだろう。たまには、来てもらうのもいいかもね。いろいろ話が聞けたよ。」

 まったく、春男の話の収集は、どこまでも広がっていくようだ。

「どんな?」

「電気屋さんというより、メーカーの裏事情ってやつかな。最近は、大型店で買うことが多いだろうから、修理できる電気屋さんなんて、近所じゃ見つけられなくてね。今回は、メーカーに直接電話して来てもらったよ。三日待ったけど。でも、メーカー本社から来るわけじゃなくて、近くの修理専門の会社から来るんだってさ。今回はじめて知ったよ。」

 オレも知らなかった。一人暮らしをしてから、電気関係の修理に来てもらった記憶がない。いいことだろうか。

「ためになるような話でも聞けたか?」

「うん。エアコンのことだけじゃなくて、自動洗濯式の洗濯機とドラム缶の洗濯機の差まで話していってくれたよ。」

どうして、エアコンの修理に来ているのに、洗濯機の話になったのだろう。

「どこが違うんだ?」

 オレもすっかり、春男のペースにはまっていた。

「自動は、布同士の摩擦をして汚れを落とすんだけど、ドラムは布を水面に打ち付けて洗うんだって。でも、僕はあの途中でドアが開かないのが困るんだけどね。」

「まぁ、開いたら水浸しになるからな。」

 二階のここで、水浸しになったら、絶対に下まで水が行くだろう。

「うん。それに、ドアの開き方が片方だけだからなぁ、うちには置けないし。でも、ついでにたくさん電気製品のパンフレットも置いて行ってくれたよ。エアコンだけかと思ったら、何でもそろえてあるんだね。いい資料になるかもしれない。」

 春男は、もらったパンフレットをファイルに挟み込み始めた。

「また、親父さんにねだられるかもしれないぞ。」

春男の父親の趣味は主婦だ。よく、春男は誕生日や父の日に電化製品をねだられていることが多い。

「もう、前回の父の日には最新の携帯を送っておいたから、大丈夫だと思うよ。風呂に落としたんだって。で、だめになったらしい。」

「まて?なんで、風呂に携帯を持ってはいるんだ?そりゃあ、壊れるだろう!」

「あ、そうじゃなくて、風呂の掃除中。あれで音楽を聞いていたみたいだよ。服のポケットに入れておいたらしいんだけど、浴槽に落として、シャワーの水がかかったらしいんだ。」

 オレにも使いこなせない機能を、使っているとは思わなかった。オレの携帯は音楽を聴くことができる。しかし、オレはその機能をこれまで一度も使ったことがなかった。春男は比較的、機械に弱いというのに、年齢的に倍は離れている春男の父、おそるべし!


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