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38話 春男のクラス会

春男のクラス会


「次の締め切りは十八日な。」

 オレはいつものように春男に締め切りの予定日を伝えた。もちろん三日前の予定日だ。めったに、予定日を過ぎることはなかったが、急に全部を書き直すと言い出すことがある。いや、あった。あんなに胃が痛くなるようなことは避けたい。

「あ、その日、ダメ。前の日にして。」

 春男はカレンダーを見てから、急に言った。春男の場合、めったに、ダメとは言わない。

「なんでだ?」

「高校時代のクラス会に行く。」

「クラス会?行くのか?お前が?なんで?」

 オレは思わず、目を丸くした。春男は面倒くさいが口癖の面倒大王だ。そんなものに参加するとは思いもしなかった。いままでそんなものに参加したという話も聞いた事がなかった。

「やるっていうから。」

「それだけの理由で、お前が参加するのか?」

 どうも信じられなかった。すると、春男はちょっと振り向いて、ため息をつきながら言った。

「それがねぇ。ハガキがきたんだけど、普通はさ、参加か不参加かの選択だろう?」

 そりゃそうだろう。オレは頷いた。

「でもねぇ、僕のだけらしいんだけど、参加と強制参加になっていたんだ。こりゃ、どうしても来いってことだろう?」

 開催した人も春男の無精さを知っていたのだろう。こうでもしなかったら、春男は出なかったに違いない。オレと春男は小学校から高校まで同級生だが、クラスが違った。そのせいか、クラス会には一緒になることはない。たまに、クラスまで一緒だったのではないかと混乱さえ起こす。

「ま、それだけ、誘われているなら行かないとな。じゃ、締め切りは十七日に変更だ。」

「よろしくー。」

「オレも行ったが、なかなかよかったぞ。昔の友人にも会えて。先生も元気だったしな。」

 ついでに、春男の本の紹介もした。少しは売上にかかわるかもしれない。

「気が乗らないんだけど、まぁ、行ってくるよ。」

 そう言っていた。

 その後。春男に聞いたところによると。 

「年、とっていた。」

 あまりに当たり前のことを堂々と言われると、つい頷いてしまう。春男とて、年を取っているのだから、同級生が年をとらないはずはない。とらなかったら、逆に怖い。

「あとねぇ、男子はふけて、女性は化けていたよ。」

 なんて言い草だろう。しかし、わからないでもない。

「女は化粧で顔が変わるよな。まぁ、高校時代の制服姿から洋服に変わっているって言うのも、原因の一つかもしれないけど。」

「うん。まぁ、先生はそんなに変わらないものだね。ただ、何年も教師をやっているせいか、クラスメイトの事なんていちいち覚えていられないだろう?クラスメイトの一覧表を持参していたよ。名前だけで、顔が思い浮かぶところが凄いね。」

 まぁ、春男は顔を見ても、誰だっけ?と考え続けているだろう。

「それで、覚えていたか?」

「僕は思い出せないのが何人かいたけど、向こうは覚えていたからいいんだ。」

それでいいのだろうか?顔を見ても思い出せないと、言い切る春男も凄い。

「もう一回くらいなら参加してもいいかもしれない。」

 そう、春男に言わせただけでこのクラス会の意味はあったような気がしている。


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