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39-2・策略対決

-2階-


 良太と咲輝が「客の避難誘導をする店員や警察官が別の場所に行った」と判断して、隠れていた階段脇トイレから顔を出した。避難の流れから「現場は上階」と推測する。躊躇わずに階段を駆け上がろうとする良太を、咲輝が慌てて止める。


「どこに行くの、良君?そっちは危ないよ」

「うん、解ってる。でも、多分、知ってる奴が関係してる。

 咲輝は下に避難していてくれ」

「えっ?でもっ?」

「友達が心配なんだ。咲輝は、友達を見捨てて逃げる俺なんて嫌だろ?」

「・・・う、うん」

「心配しなくて良いよ、無茶はしないからさ。

 ちょっと確認して、友達と関係なかったら直ぐに避難する。

 友達と関係あっても、ヤバそうなら大人や警察に助けを求める」


 咲輝は納得して頷くと、寄ってきて良太の手を握りしめた。


「だったら私も行く。良君が無茶をしないように、私が見張らなきゃね」

「解った。絶対に俺から離れるなよ」


 良太は、玉兎が封印されたバンダナを締め直し、緊急事態の心構えをして、咲輝の手を引いて階段を上がろうとした。

 フードコートエリアの方から、ドタバタと重そうな駆け足の音が聞こえてくる。良太が足を止めて振り返ると、駆けてきたのは3年の石松先輩と同学年の平山亜美だった。


「あっ!鈴木君?それから、早山さん?」


 亜美と咲輝は、仲が良いワケではないが同じ東中出身の同期生。


「ぶひぃ!逃げんのか?」

「あぁ、俺はちょっと・・・先輩達は?」

「ぶぅぅっ!多分、上には友達がいるけんな!

 放置して逃ぐることは出来んのばい!」

「へぇ・・・奇遇ですね。

 いや、この場合、奇遇ではなく、目的が同じって言うべきなのかな?」

「鈴木君の目的も、葛城さんや冨久先輩って事?」


 亜美&石松&良太は互いの眼を見て頷き合い、その後、良太が、状況が把握できない咲輝の手を強く握って「心配するな」と言って、咲輝が相槌を打ち、4人は上階に向かって階段を駆け上がる。




-屋上-


「本体は、そこだぁっ!!」


 舞い上がる白羽の中に姿を隠して接近をするネメシスV!しかし、サトリ進化態に的確に潜伏場所を把握されてしまった!突進してきたサトリ進化態の体当たりを喰らって弾き飛ばされる!指示を受けて待機をしていたゲンジは動揺をする!


「ミホっっ!!」

「狼狽えるな、紅葉!今のは、あたしのミスだ!」


 分身を得意とするバルミィが簡単に敗れた事実から「本体を的確に見抜く」と警戒するべきだった。単に“白羽の撹乱”が通用しなかっただけ。攻撃方針に変更は無い。足止めする方法なんて、いくらでもある。サトリ進化態の突進を一定の距離まで引き付けた上で、背後にあった車のサイドガラスに飛び込んだ!


「なにっ?消えた!?」


 サトリ進化態はネメシスVが飛び込んだサイドガラスを見つめる。ネメシスVは車に乗ったわけではなく忽然と消えた。周囲を見回すが、どこにもネメシスVの姿は無い。ネメシスVの心は、どこにも感じられない。


「一瞬で、心が読める領域の外側に移動した?

 それとも、いきなり、この世から消えた?」


 突然、背後に攻撃的な“心”が出現!サトリ進化態の後ろの車のガラスから、ネメシスVが飛び出してきてレイピアの一太刀を浴びせて、サトリ進化態が振り返って反撃するよりも早く別のガラスの中に消える!そして、サトリ進化態の死角になる別の窓から、ハルバードを構えて出現して切っ先が纏った火炎弾を飛ばして浴びせ、再びインバージョンワールドに姿を隠す!


「捕まえることが出来ないなら、動揺をさせてペースの乱れを待つか」


 サトリ進化態は、ネメシスVの内面は殆ど読めていないが、バルミィから一定の情報は引き出している。


「桐藤・・・オマエは、仲間内で随分と態度がデカいらしいな」

〈なにっ!?〉

「だが、最弱なんだろう?バルカン人が教えてくれたぞ!

 無能な足手まといが、何様のつもりで威張っている?」


 サトリ進化態の斜め後ろの窓から出現したネメシスVが、サトリ目掛けてハルバードを振り切って、直ぐに向かい側の窓に消える。サトリは、「動揺を誘えば心の声が大きくなって、出現時の方向が読みやすくなる」と思ったが、ネメシスの心の声は全く変わらなかった。


〈それが何だっての?

 『最弱』なんて百も承知してる。『威張ってる』も正解。

 だけど、『無能な足手まとい』になっているつもりは無い!〉

「自分の評価は分析済み・・・厄介だな!」


 ネメシスは、「自分が最弱」なんて、言われなくても自覚している。過小評価なんて、落第モードの2年間で慣れている。バルミィが、美穂を「足手まとい」なんて思っていないのは知っているし、バルミィは不満があれば、美穂には隠さずに打ち明ける。悪口くらいではネメシスは動じない。

 むしろ、サトリが急に悪口を言ったことに違和感を覚えた。動揺を誘ってペースを乱すつもりならば、サトリ進化態の発する言葉は話半分で聞き流すべき。


 サトリ進化態は、ネメシスVを捕らえられないのが面白くない。動揺を誘って出現時の心の振幅を大きくしようと試みたが失敗をした。

 一方のネメシスVは、攻撃のタイミングを全て読まれ、掠り傷しか負わせられず、ゲンジが奥義を放つタイミングを作れないことに苛立つ。

 策士のネメシスVと、知的なサトリ進化態、共に「焦れた方が負け」と考えて、我慢比べになる。


「膠着が続くなら・・・あちら(ゲンジ)を突いてみるか」


 ゲンジは構えて待機をしている。ネメシスの指示で、奥義発動の為に待機をしているのは明白だ。中身が“落ち着きの無いジャジャ馬”と考えると、制しているリーダーの信頼度と優秀さが理解出来る。


「だが、桐藤ほど我慢強くはあるまいっ!!」


 サトリ進化態は、ゲンジに向かって突進を開始!しかし、ゲンジとサトリの間にある車のフロントガラスからネメシスVが飛び出してきて、剣の一閃をサトリに叩き込んだ!慌てて回避するサトリ!掠り傷にも満たなかった今までよりも、確実に手応え有り!サトリの注意力がゲンジに向いた為、ネメシスの出現に対して反応が遅れたのだ!ネメシスは直ぐさま車のサイドガラスに飛び込んで消える!


「ぐぅぅっっ!!」

〈ばーか!

 あたしが捕まらなきゃ、アンタが紅葉を狙うことくらい想定済みなんだよ!〉


 サトリ進化態の作戦は失敗をした。しかし、まだ、ネメシスを動揺させる手段がある。サトリには見えて、ネメシスには見えない物を潰して動揺を誘う。機転が利くネメシスでも、「感知が出来ない、空に浮いているバルミィの魂」を守ることは出来まい。それに、空には映る物が無いゆえに、サトリの動きを読んで先回りをすることも出来ない。

 サトリ進化態が、空に浮かぶバルミィの魂を睨み付け、力強く屋上床を蹴って飛び上がった!


〈それも想定通り!〉


 白鳥モンスター=ヴァルカンキグナスが出現して、高速で急上昇!上昇中のサトリに追い付く!


「なにぃっっ!!?」

〈魂ってのは見えないけど、紅葉に聞いてたから、警戒はしてたんだ!

 空中じゃ、地上ほど自由には動けない!

 アンタ、頭良いんだろうけど、浅はかだな!〉


 ネメシスVは、インバージョンワールドから出てきて、指でピストルの形を作って空中にいるサトリに向けて、皮肉たっぷりに「バン」と声を発した!


「チィィッ!」


 ヴァルカンキグナスの体当たりが、サトリ進化態に炸裂!ヴァルカンキグナスは上昇から鋭角的に急旋回をして、サトリに向かって急降下!再度の体当たりで、サトリを叩き落とした!サトリが屋上床に叩き付けられ、コンクリートに亀裂が入る!コンクリートダストが舞い上がった!


「この化かし合いは、あたしの勝ちだ!」


 ネメシスVは、コンクリートダストの中で苦しそうに呻きながら立ち上がるサトリを睨み付け、必殺技のカードを引き抜いて翳した!

 急下降をしてきたヴァルカンキグナスが、翼に炎を纏わせてサトリに向かって羽ばたき、無数の火炎弾を発射!サトリは弾き飛ばされて地面を転がり、周囲を炎で覆われて退路を失う!その間にヴァルカンキグナスがバイクモードに変形!ネメシスVが飛び乗ってアクセルを捻る!


「ハアッ!!」


 正面に付いたキグナスターの頭部が、サトリ目掛けて火炎弾を吐き出す!キグナス・バーニングアタック発動!ネメシスVは待機中のゲンジに合図を送りつつ、高速でサトリに突っ込んでいく!

 ネメシスVで、もう一発ダメージを与えて、ゲンジが大技をぶつけてミッションクリア!サトリとの我慢比べになった時は長期戦を覚悟したが、奴が比較的早く焦れてくれたおかげで決着が早まりそうだ!


「葛城と僕は似たもの同士。

 成績は優秀だが、動揺すると直ぐにボロが出る・・・か?」

「・・・え?」


 ネメシスVが心で思ったことが男の声になって聞こえた?キグナスバイクを操縦しながら周囲を警戒するネメシスV!周囲に霧状の闇が纏わり付いている!闇はネメシスVの背後に集まって、海跳の顔が浮かび上がり手足が獣の人型に変化する!サトリ進化態出現!ネメシスVが駆るキグナスバイクの後ろに座っている!


「どうすれば、鏡の中から出て来てくれるか思案したぞ!

 そして、僕がオマエの策に填められるのが、一番手っ取り早いと考えた!」


 ネメシスVは、マスクの下で目を見開き、正面で瀕死になっているサトリを見つめる!間違いなく、キグナスバイクの進路上にサトリが立っている!だけど、ネメシスVの真後ろにもサトリは存在している!


「あれは、僕が妖気を分けて作った分身だ!

 どのタイミングで分身を作ればオマエが騙されてくれるかは考えた!

 オマエのような切れ者を騙すのに、それなりのダメージは覚悟したさ!」


 致命的な攻撃を全く受けていないのに妖力の乏しいサトリが出現すれば、直ぐに分身だと見抜かれる。サトリ進化態は、ゲンジを攻撃することも、バルミィの魂を狙うことも、妨害されるのが前提で行動をした。ネメシスVが盆暗で、ゲンジへの攻撃や、バルミィの魂を人質にする行動に気付かなければ、それで良し。全て妨害されれば、攻撃を受けることになるだろうから、その時は弱った分身を提供する。

 サトリ進化態は、ヴァルカンキグナスに叩き落とされた直後に分身を作って、本体は闇に姿を変えて退避をした。


「オマエは、仲間バルミィが分身を使うのに、

 僕が分身をする事を想定できなかったのか!?」

「・・・くそっ!」

「ようやく、鏡の中から出て来てくれたな!

 警戒心の強いオマエでも、

 僕にトドメを刺す時だけは出てきてくれると信じていたよ!」


 サトリがネメシスの背に掌を当てると、ネメシスが危機感で体を硬直させているのが解る。


「この化かし合いは、僕の勝ちだ」


 サトリ進化態が掌から妖気弾を放つ!ネメシスが弾き飛ばされて床を転がる!サトリは搭乗者を失ったキグナスバイクから飛び降りて、ネメシスVの間近に着地!ネメシスVに向かって日本刀を振り下ろした!ネメシスVは、辛うじて起き上がって片膝を付き、ヴァルカンレイピアで受け止める!


「しぶといな、オマエは!

 教師から見捨てられ、同級生から白い目で見られ、

 それでも退学をしなかったしぶとさと同じなんだろうな!」

「余計なお世話だ!」

「ミホぉぉっっっっ!!!」

「まだ動くな紅葉!!コイツの隙は必ず作ってやる!!

 オマエが動くのは、その時だ!!」


 救出に来ようとしたゲンジを、ネメシスVが大声で制する。この妖怪はヤバい。恐ろしく頭が切れる。口撃で動揺を誘い隙を突く。一本調子が崩されると動揺をするゲンジでは、正面からぶつかったら勝ち目が無い。麻由が倒れた今、ゲンジは一撃必殺に温存しなければならない。

 ネメシスVが誘き出されてしまった現状では、サトリ進化態は必ず口撃で動揺を突いてくる。ならば、奴に口撃をされる前に、こちらから仕掛ける。


「アンタ、あたし達が到着した時、麻由に何をしようとしていた!!」

「・・・ん?」

「コクる勇気も無くてウジウジしていたクセに、

 いきなり麻由の意思無視で強硬手段かよ!?

 散々、優等生ぶってたクセして、性根は最低だな!!」

「オマエに、葛城の何が解るっ!?」

「少なくても、アンタよりは麻由のことを理解している!!

 それ以前に、アンタみたいなクソな行動を受け入れる女なんていない!!

 トップスターのメッキを被ったカスに見向きもしなかった麻由は、

 案外、人を見る目が有るって事だな!」


 サトリ進化態が動揺をした!押し込んでくる力が僅かに弱まる!ネメシスVは、レイピアで日本刀を防御したまま立ち上がった!

 サトリ進化態の脳内にネメシスの強気な心が流入してくる。その意思は、麻由の理解者を自負している。この女は強い。簡単には心が折れない。一筋縄で動揺を誘える女ではない。どう口撃すれば、心に付け入る隙を作れる?


「ぐぅぅぅ・・・オマエ達の不穏分子のせいで葛城は・・・」

「あぁ、そうだ!一時期、麻由には目の敵にされた!

 だけど今の麻由は私たちのダチだ!

 前よりも、情け無い表情や、マヌケな表情や、無様にテンパった表情や、

 優しい表情を見せるようになった!

 これは、アンタには出来なかった事だ!!」

「・・・くっ!僕は、2年間、彼女が傷付かないように様々なっ!」


 レイピアと日本刀の押し合いをしながら弁舌戦が続く。サトリ進化態はあきらかに動揺をしている。このままプライドを傷付け続ければ必ず激怒する。麻由には申し訳ないが、冷静に頭を使って隙を突くサトリに我を見失わせるには、このまま麻由ネタを武器にして押し切るのが有効。そして、冷静さが武器の奴ほど、激怒をすれば隙だらけになる。その時が、ゲンジの一撃を叩き込む時だ。


「『様々な』何だよ!?様々な余計なお世話をして自己満足をしてたってか!?

 アンタは2年近く麻由と一緒にいて何も変えてやることが出来なかった!!

 何一つ、麻由を導かなかった!

 その無能を棚に上げてあたし達を逆恨みするなんて、見当違いなんだよっ!!」

「だまれぇぇっっっ!!オマエに、葛城の何がわかるぅぅっ!!」

「何度も言わすなっっ!!アンタよりは解っているっ!!」

「ならば、あの女が、ジジイ共の手で汚れていることも知っているのかぁっ!?」


 ネメシスVは急の周りが静かになったような錯覚をした。ネメシスが攻勢だったはずなのに閉息をしてしまう。


「・・・・なに?」


 サトリは何を言っている?そもそも、数日前は麻由の話題を出しただけで動揺していた純情男が、何故、麻由が気を失うほど痛めつけた?

 美穂ネメシスは、今回の一連にスッキリと通った“1本の筋”を見出すことが出来ず、ずっとモヤモヤしていた。サトリが口走った言葉からもモヤモヤを感じる。美穂が感じてきたモヤモヤと、サトリが言ったモヤモヤは同一なのか?それとも、美穂を動揺させる為に、サトリはデマカセを言っているのか?冨久海跳は麻由の何を知っている?


「知っていて放置をしたクソなのか、

 知ったつもりで何も知らない無能なのかと聞いているんだぁっっ!!」

「・・・なんの・・・ことだ?」


 動揺をしたネメシスVは、サトリ進化態のパワーに押し切られて弾き飛ばされる!更に、素早く追撃に出たサトリの蹴りを食らって、もう一度弾き飛ばされて尻もちをつく!そして、ネメシスが体勢を立て直すよりも早く、サトリに懐に飛び込まれ、サトリが掌に溜めた妖気を打ち込まれ、再び弾き飛ばされる!


「がはぁっ!!」


 今度は、サトリ進化態は追撃をしてこない。不満そうにネメシスと自分の掌を交互に眺めている。バルミィの時と同じように、大きく動揺をさせて“魂を飛ばす”攻撃をしたはずなのに、ネメシスの魂は肉体から出なかった。ネメシスは、まだ勝利を諦めていないようだ。


「大したしぶとさだ!

 いくらオマエ“個人”の心を揺さぶっても、オマエは動揺をしないという事か!」


 日本刀を振り上げて突進をしてくるサトリ進化態!ネメシスVはヴァルカンハルバードを召喚して装備し、切っ先に発生させた火炎弾を飛ばすが、読まれて回避&接近をされ、束でサトリの日本刀を受け止める!しかし、ローキックで体勢を崩され、ネメシスVの側頭部に、サトリの回し蹴りが叩き込まれる!蹌踉けるネメシスVの腹に、サトリの拳が叩き込まれる!


「なんだコイツ?口撃をやめた?口撃から攻撃に切り替えた?急に何故?」


 ネメシスVが、その理由を悟った時は、既に手遅れだった。

 サトリは僅か数秒の思考で、最も効率的な戦法に切り替えていた。

 ネメシスVは、サトリの頭の回転の早さに敗北感を味わう。


「ミホぉぉぉぉっっっっ!!!」


 我慢できなくなったゲンジが、ネメシスVの背後から突進をしてくる!マスクの下で青ざめて振り返るネメシスV!


「バカッ!あれほど、動くなと言っただろうに!!」


「ようやく動揺したな!

 オマエの作戦は、源川が奥義発動の臨界で待機しているからこそ成立をする。

 僕の注意力を源川から逸らし、オマエに向くように仕向け、

 自分がどんなに痛めつけられても凌いで、僕が隙を作る一瞬を待ち続けた。

 例え、オマエ自身が僕に敗れたとしても、

 僕が隙を見せれば、源川の奥義が発動する予定だった。

 自分が負けても誰かが勝てば良い。なかなか優秀な思考だ。

 だが・・・『駒』が奥義の臨界を解いて勝手に動いた時点で、

 オマエの勝利の方程式は消滅をした」

「・・・やはり、他人の心が読め・・・」

「劣等と見くびった事は謝罪しよう。オマエは強かった」


 サトリ進化態は、ネメシスを倒す為にネメシスを攻撃をしたのではなく、ゲンジを動揺させる為に“痛めつけられる友人”を演出した。

 ネメシスは意識がホワイトアウトをしていくのを感じる。サトリがネメシスの肩に手を置いて押さえ付け、もう片方の手をネメシスの腹に押し当てる。


「ケーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!」


 朦朧とするネメシスの脳内に、サトリ進化態の咆哮が響き渡る!

ドォンッッ!!

 サトリ進化態は、ネメシスの腹に押し当てた掌から妖気を発射!ネメシスは、抜け殻になった美穂の姿に戻って突っ伏した。そして、美穂の魂は、バルミィの魂と同じように宙に浮かぶ。


「うわぁぁぁっっっっっっっっ!!!」


 美穂を倒され、怒りで全身を満たしたゲンジが、サトリ進化態に突進をする!

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