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33-4・バルキリーは前座~誘き出されたアポロ

-河川敷-


 ゲンジ(紅葉)&ネメシス(美穂)&ジャンヌがリアルワールドに帰還して参戦。バルキリーは、人型、獣型、鳥形、様々なスケルトンを次々と生み出して応戦する。スケルトン自体は大して強くないのだが、際限なく発生するので、バルキリーに接近する事が出来ない。しかも、バルキリーは、体からの毒ガス噴出や眼からの光線を放つので、愉怪な仲間達は翻弄をされ徐々に追い詰められていた。


「んぁ~~~~・・・ムカ付く!」

「もうしばらく我慢しろ!

 紅葉っ!戦いに熱くなるのは構わないが、ジジイはどうなってる!?

 まだ動いてないのか!?」

「んぁっ!?じじい??」

「『んぁ』じゃね~だろ!

 オマエ、まさか、肝心の“本命”を忘れて“前座”に集中してたのかよ!?」


 ゲンジが、マスクの下で「やべっ!」って表情をして、慌てて索敵に意識を集中させる。妖怪とは違う念が、猛スピードで近付いて来る気配を感じる。


「来てるっ!しょーべーじいちゃんだっ!もう少しで、来るよっ!」

「よしっ!なら、もう少し引き付けろっ!」


 ネメシスの指示で、ゲンジ&バルミィ&ジャンヌが、バルキリーに飛び掛かる!



 この作戦は、数時間前のDOCOSファミレスで決まった。

 奪われたHスマホを取り返さなければならないのはハッキリしている。美穂&真奈&バルミィ&ジャンヌは「麻由抜きで昭兵衛と戦う」と決意をして、直ぐに紅葉に連絡を入れた。昭兵衛の考えに不満を持っていた紅葉は、即答で提案に賛同をする。



-1時間前-


 先ずは、紅葉&美穂&真奈が文架大橋東詰で合流した。

 麻由に不信感を与えない為にジャンヌは部屋に籠もって寝たふりをして、バルミィがマンションの屋上に待機をしてジャンヌとバルミィで麻由の動きを見張る。

 美穂は「麻由は必ず誰にも言わずに単独行動をする」と予想をしていた。麻由が動かなければ無駄な配置だが、その時は麻由の就寝を待って決行をするつもりだった。



-数分前-


 河川敷でバルミィとジャンヌを待ちながら、美穂が紅葉に確認をする。


「アポロは麻由の想いが創ったもので、あくまでも本体はバイクなんだよな?」

「んっ!依り代ゎバイクだょっ。

 バイクの中にある念が、アポロを動かしてんの。

 だから、アポロと戦って弱らせることゎ出来るけど、

 完全に浄化するならバイクを叩かなきゃダメ」

「火車の時と同じで、元を潰さなきゃ際限無いって事な!」

「火車は、どうやって倒したの?依り代を叩いたの?」

「依り代のバイクが、田村先輩のパパのところに帰りたがってたから、

 説得したら温和しくなったの」

「今回は頑固だから、簡単には説得できないだろな。

 説得が無理なら、屈服させるしかない」


 昭兵衛を説得して戦いを終わらせたい。だが、拗れた場合、美穂は紅葉に「昭兵衛を祓え」と指示を出すつもりだ。仲間の家族を問答無用で除霊するなんて、嫌な気分になるだろう。だけど、その程度の罪悪は被ってやる。神様と英雄を背負わなきゃならない麻由に比べれば軽い物だ。



-今に至る-


 バルキリーに接近すると毒ガスを放って牽制され、スケルトン達に妨害され、遠距離では眼から放つ光線で攻撃され、ゲンジ(紅葉)&ネメシス(美穂)&HAバルミィ&ジャンヌは攻略に苦労していた。

 堤防上で光が動いているのが見える。やがて、猛々しい排気音が近付いてきた。


「来たな・・・頑固ジジイ。

 よぉ~し!もう“前座”は用済みだ!本気で戦え!」

「んっ!待ってましたっ!」 「了解ばるっ!」 「承知した!」


 ネメシスの指示が出た途端に、それまで劣勢だったゲンジ&バルミィ&ジャンヌの動きが活発になる!先ずは、ジャンヌがテュエ・ディユ・セルパンが発動!光蛇が、ジャンヌ、ゲンジ、バルミィの間隙を縦横無尽に動き回り、纏わり付いていたスケルトン達を片っ端から粉砕していく!続けてバルミィが飛び上がり、左手甲の砲門からレーザーチェーンを射出してバルキリーに巻き付け、右手甲の砲門から光弾を連射!数発を喰らって堪えきれなくなったバルキリーは、体を闇に変えてレーザーチェーンの拘束から脱出するが、そこに神鳥に変化したゲンジ(紅葉)が突っ込んできた!


〈ぬぅぅっ!!なにぃぃ!!!?〉


 バルキリーは、いきなり劣勢になったことが信じられない。そしてそれは、ハスラーⅢで戦場に乗り込んできたばかりのアポロも同様だった。マスクの下で目を見開いて、光の鳳を見上げている。

 アポロの正面に、アポロを逃がさない為に、ネメシスが立ち塞がった。


「んぁぁぁっっっっっっっっっっっ!!!

 ウルティマバスタァァァッッッッッ!!!!」


 神鳥の突撃がバルキリーに炸裂!強烈な一撃で邪念の大半を浄化されたバルキリーが、山頭野川の川面を乳白色に歪ませて、インバージョンワールドに逃げていく!


「んぁっっ、また逃げやがった!待てっ、コンニャロー!」


 ゲンジが、たぬきファームでインバージョンワールドに突入しようとする!しかし、ネメシスが怒鳴りつけて止めた!


「アホッ!もう本命は釣れたんだ!前座はどうでもいい!」

「んぁっ!そっか!」


 ネメシスの口調から、「自分が誘き出された」と察したアポロが、ネメシスを睨み付ける。ゲンジ&バルミィ&ジャンヌ&真奈が「本命」を逃がさない為に集まってきた。


「どういう事か説明してもらおうか?白鳥のサマナー!」

「ん?それは・・・ね」


 一方のネメシスも、敵意を察してアポロを見つめる。




-インバージョンワールド-


〈ど・・・どうなっている?何なんだ、あの強者達は?

 もっと・・・力を蓄えなくては・・・〉


 大半の力を浄化されたバルキリーの邪念が宙に浮かんで、この場から離れようとする。


「な~んだ。

 バルキリーが生きていたかと思って喜んで来てみたのに、

 ただの残留思念・・・残りカスか」

〈んっ?〉


 バルキリー邪念の行く手を遮るようにして、無邪気な笑みを浮かべ、翼を広げた少年が浮遊していた。


〈オマエは・・・天狗〉

「こんなお粗末な姿ってことは、50年前に滅ぼされたって噂・・・

 本当だったみたいだね。

 肉体が有った頃は“あの人”の腹心て呼ばれてたのに、

 随分と惨めな姿になっちゃったね。

 念のために聞くけど、君のご主人様の居所・・・知ってる?

 『見た』って子(鏡像美穂)が居たんだけどさ~・・・

 バックレられちゃって困ってんだよね。

 君が知ってるなら助かるんだけどな」

〈知らん。俺も“あのお方”が眠りについて以降は所在を把握していない〉

「あっそう。それは残念。

 “あの人”の指示で動いていたわけじゃなかったのか?

 ふぅ~ん、勝手に動き回ってたんだ?だったらさ・・・消えなよ!」

〈なにぃっ!?〉


 それまで無邪気だった少年の表情が、邪悪に変化する。


「君みたいな中途半端なザコが動き回って、

 僕達や“あの人”が動き出す前に、敵対勢力に警戒されると困るんだよね」

〈ま、待てっ!〉


 問答無用で気合いを発する天狗。


〈・・・うわっ・・・うぎゃぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!!!〉


 翼から強烈な光が発せられて、バルキリー邪念が灼かれていく。

 天狗の光が止んだ時、その場には、邪念は一欠片も残っていなかった。50年前にワルキューレ首領・バルキリーが残した念は、完全に消滅した。


 邪魔者の処分を終えた天狗は、「あの人」の手掛かりを探して、飛び去っていく。




-リアルワールド・河川敷-


 前座が完全に滅んだ事など知らないゲンジ(紅葉)&ネメシス(美穂)&HAバルミィ&マスクドジャンヌ&真奈が、ハスラーⅢに跨がったアポロを囲んでいる。


「どういう事か説明してもらおうか?白鳥のサマナー!」

「ん?それは・・・ね。

 あの死神みたいな奴が出現すれば、アンタが釣れるって予想して、

 アイツ(バルキリー)を引っ張り出したんだ。

 こっちには、邪気祓いのプロ(紅葉)が居るからさ、

 本気を出せば簡単に倒せるのは何となく解ってたけど、

 それじゃ、アンタが誘き出されてくれないだろうから、

 皆には『手を抜いて苦戦しろ』って指示して、

 しばらくは、時間稼ぎをしてたってわけ」

「手抜きキライっ!もっと、思いっ切り戦いたいっ!」

「麻由を狙う敵に対して『手を抜け』ってのも、凄い指示ばるよね」

「アイツ(バルキリー)以外に、ジイサンを釣れる餌なんて思い付かなかったし、

 サッサと倒しちゃったらジイサンが釣れないんだから仕方が無いだろ。

 それに、現にこうやって餌に引っ掛かってくれたわけだし!」


「いくら肉体を失った残留思念とは言え、バルキリーが『前座』か?

 50年前の奴を知らないとは言え、怖い物知らずだな。

 いや・・・こんな小娘達に釣られるとは、

 バルキリーに過剰感応をしたワシのミスもあるか。

 ・・・それで、寄って集ってワシに何の用だ?

 アイテムを返す気が無い事は、白人の娘に言ったはずだがね。」

「囲んでるメンバーに麻由が混ざってない時点で、気付いてんじゃね~のか?」

「フン、薄々はな。

 随分と野蛮な娘達だ。やはり、麻由とは付き合って欲しくない。」

「それくらい、こっちはマジって事だよ!

 あたし達は麻由と仲間でいたい。爺さんは麻由をあたし達から引き離したい。

 そして、互いに麻由の中途半端な介入は邪魔。

 アンタだって、アイツの泣き顔は見たくないだろ?

 だからさ、『賞品』抜きで、白黒ハッキリさせないか?」

「ふんっ!損得勘定の出来ない、頭の悪そうな挑戦状だな!」


「んぁぁっっっ!!ミホをバカにすんなっ!

 2回も留年するほど頭悪ぃけど、

 この間のテストゎ前代未聞の80番だったんだぞっ!」

「クーチャン、その情報は今は必要無い!

 むしろ、マユユがトップなので、ミポリンがバカだと思われます!」

「ほぉ・・・麻由が・・・。」

「ジャンヌさん・・・

 麻由ちゃんの情報は、美穂さんの情報以上に、今は必要無いよ!」


 アポロ(昭兵衛)は、「麻由が成績トップ」と聞き、麻由の努力を感じられて嬉しかった。だが、今は孫の優秀さを喜ぶべき時ではない。むしろ、優秀な孫が、こんな野蛮なバカ共に感化されるのは困る。


「良いだろう。ただし、今の戦闘で此処は人目を引いた。

 だから、もっと人目に付きにくい戦場に移動する」

「了解!付いて行くから案内しろ!」


 ゲンジは☆マシン綺羅綺羅☆、ネメシスはキグナスバイク、ジャンヌはユニコーンバイクを召喚して跨がり、真奈はバルミィの背に乗る。

 アポロの駆るハスラーⅢが発進!ゲンジ&ネメシス&ジャンヌの、各バイクが後に続き、真奈を乗せたバルミィが空から追い掛ける。

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