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33-2・文架警察署での報告~墓前の粉木と昭兵衛

-45年以上前-


 尊は悪の組織と相打ちになって死んだ。傷だらけになった亡骸を前にして嗚咽を吐いて号泣する昭兵衛。昭兵衛は尊に協力をして、正義の味方の一員のつもりになっていた。何度も「もう止めよう」と止める機会はあっただろうに、昭兵衛自身が正義の大義に浮かれていた。その結果が友の喪失だった。

 何が正義だ?正義を貫いた果てに、平和をもたらした張本人が居ないなんて、あまりにも残酷すぎる。昭兵衛は、正義の仲間を気取って、尊の死を早めてしまったのではないかと自分を責めた。


 尊の恋人・須郷美琴すごう みことが身籠もっていることを知ったのは、尊の死後、半月が経った頃だった。美琴は、腹の子の父の死を知らずに、妊娠を報告する為に葛城レーシングを尋ねてきた。昭兵衛は美琴に全てを話した。話すことが残酷だとは承知の上で、知らずに待ち続ける残酷よりはマシだと判断して、泣き崩れる美琴を抱きしめた。そして、行き場を無くした美琴と、尊の落とし胤を引き取って、自分の子として育てる覚悟をした。

 田木を含めた従業員達は、昭兵衛が、若くて一回り以上も年下の美琴と所帯を持った事を驚いた。「美琴は尊と仲が良かったはず」と下世話な噂もあった。


 葛城隼人と名付けられ赤ん坊は健康に育った。妙に正義感が強くて、困っている人を放っておけない性格は、実の父親にソックリだった。昭兵衛は、隼人に尊の面影を重ねながら育てた。だが、その教育は、昭兵衛を再び後悔させることなる。



-約20年前-


 困っている人を放っておけない隼人の性格が災いする。隼人が交際をした女性の名は神山志麻。泣く子も黙る暴力団(表向きはうどん屋)の一人娘だった。家業が嫌で飛び出して行く宛ての無い彼女と知り合い、恋に落ちたのだ。

 昭兵衛は猛反対をした。隼人には、父親とは違う真っ当な人生を送って欲しかった。だが、恋人を見捨てられない隼人には聞き入れてもらえず、隼人と志麻と駆け落ちをする。



-16年前-


 隼人と志麻は、幼い娘を残して事故死をした。葬儀の席に、龍山剛太郎と名のる男が現れる。龍神うどん(旧神山うどん)の組長だ。追い返したかったが、亡き隼人と志麻のために参列を許可した。そして、葬儀後の席で、剛太郎は深く謝罪をして、隼人と志麻の娘の養育費の援助を申し出た。昭兵衛は、老い先短く、幼子の成長を見届けることは出来ないと感じていた為、剛太郎の申し出を受けようかと考える。しかし、昭兵衛が全く知らなかった事実を伝えられ、考えを変えた。

 志麻には不思議な力があった。ゆえに彼女は、その力を嫌う者達から狙われていた。正義感の強い隼人は、父の尊のような力は無かったのに志麻を守り続け、昭兵衛を巻き込まない為に、何も伝えず駆け落ち同然に姿を眩ませたのだ。

 隼人夫妻の死因は、事故死に見せかけた他殺。真実を知った昭兵衛は、夫妻を守れなかった剛太郎に激怒をして追い出し、崩れ落ちて号泣をした。何も知らなかった自分が許せなかった。

 その後も、剛太郎はたびたび「話をしたい」と訪れたが、昭兵衛は聞く耳を持たずに追い返した。憎むべき対象が剛太郎ではないことは百も承知していた。だけど、身近な何かを憎まなければ、落ちていく心を保たせることは出来なかった。


 また同じ事を繰り返してしまった。首に縄を付けてでも、尊の大切な落とし胤を守るべきだった。昭兵衛は、あどけない寝顔の麻由を抱きしめ、「この子だけは守る」と心に固く誓った。

 しかし、その数年後、昭兵衛は、従業員の田木一八に麻由を託して他界をする。




-回想終了-


「昭兵衛殿っ!?」


 ジャンヌに声を掛けられて、昭兵衛は我に返る。亡き友人の話をしたのが元で、苦い思い出に浸ってしまった。


「すまんな、白人のお嬢ちゃん。

 ついつい乗せられて饒舌になっちまったが、話はこれで終わりだ」


 立ち上がり、ジャンヌに背を向ける昭兵衛。


「・・・そうですか。麻由殿にアイテムを返すつもりは?」


 昭兵衛は、麻由から奪い取ったHスマホを取り出して眺める。


「無い。これが無ければ、麻由は戦えないのだろう?

 麻由には、普通の人生を送ってもらう」

「貴殿が実体化を出来たのは、麻由殿が非日常に身を置き、

 その才能が覚醒をしているからです。

 おそらく、普通の生活に戻れば、麻由殿の能力は眠り、

 昭兵衛殿は身を保てなくなります」

「それが在るべき姿だ。その時は喜んで天に還る」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 昭兵衛は心を固く閉ざし、ジャンヌには、それ以上は何も聞くことが出来なかった。しばらくの無言の時間の後、ジャンヌは一礼をして墓地から離れ、ユニコーンバイクに跨がって、隣に停まっているTS250ハスラーⅢに視線を向ける。

 昭兵衛は間違えている。だけど「孫を危険な目に遭わせたくない」という祖父の気持ちは理解出来る。


「私達が、マユユを託すに値するかどうか・・・

 それを証明するしか無いと言うことですね」


 皆はもう、帰宅をしただろうか?ジャンヌはユニコーンバイクを駆って、麻由のマンションに向かった。




―文架警察署―


 河川敷からアポロとジャンヌが去った直後に警察が来たので、紅葉&美穂&麻由&真奈&バルミィは、夏沢雛子に事情を伝える為に文架警察署に来ていた。


「知ってる事を、端から教えてもらえるかな」

「うん・・・・・しかしまあ、何からどう話そうかな?

 ・・・麻由、話していいか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 麻由は黙ったままだった。目の焦点が合わず、今の会話が何も聞こえていない。

 自分を狙うバルキリーという死神と、アポロというサマナーが出現しただけでも信じがたいのに、アポロの中身が祖父の霊で、麻由の戦いを全否定された。

 事情が事情なので、今回ばかりは美穂も「いい加減に生き返れヘタレ!」と喝を入れる気になれない。


「え~っと・・・妖怪とはちょっと違う死神みたいな奴が出現して、

 麻由が死神に狙われました。

 その後、見たことの無いアポロって異獣サマナーが助けてくれたんだけど、

 あたし達のことが気に入らなかったみたいで、攻撃されました。

 ・・・今、解ってるのは、それくらいです」


 スッキリしない説明だけど仕方が無い。美穂は、今、話せる範囲で事件の事を説明した。だが、それでも、雛子を驚かせるには充分な説明だったようだ。


「・・・アポロ?それって、50年前の英雄の名前よ」

「んぁっ!?聞いた事あるの、ヒナコ?」

「警察署内でも、噂くらいはね。

 50年前に、怪事件が多発した時期に、

 巻き込まれた被害者達の『アポロに助けてもらった』って証言が多数あるのよ。

 あくまでも噂で、公式発表はされていないけどね。

 だけど、私は、貴女達と接して『アポロは実在した』と考えてるわ。

 ・・・だけど、50年前のアポロが今の時代に?」


 雛子としては、まだまだ聞き足りない。解ったのは「噂のアポロが復活したかもしれない」「麻由が関係してる」って事だけ。知りたい事が山ほどあるのに情報が少なすぎる。警察の過去のデータベースを検索して、マスコミに公開された情報のみを読み上げ、先程のアポロとの接触でリンクする事が無いか尋ねてみることにした。


「え~~~と、○○大学の研究員だった本条尊。

 この人には、当時の警察は眼を付けていたみたいね。

 彼が大学に顔を出さなくなった時期を境にして怪奇事件が頻発したみたいだし、

 何よりも、怪奇事件の現場で、目撃情報がいくつもあるわ。

 だけど、証拠不十分。事件は未解決のまま。

 彼は行方不明になっているわね。外国にでも逃亡したのかしらね」

「本条尊っ!!?」


 ずっと“心ここにあらず”だった麻由が、本条尊の名前に反応して頓狂な声をあげた。


「本条尊は事故死をしたのではなかったのですか?」

「記録上では行方不明になっているわよ。・・・ちょっと待っていてね」


 雛子は「本条尊」「事故」で再検索をかけてみる。しかし、そんな記録はヒットしない。

 麻由はハッキリと違和感を感じ始める。何十年も前の出来事なので記録落ちの可能性もあるが、それにしても、「行方不明者」が「事故死」とは、どういう事なのだろうか?同姓同名の別人か?それとも、昭兵衛が田木に嘘をついた?


「もし、おじいちゃんが嘘をついたなら、理由は本当の死因を隠蔽する為?」


 行方不明になった友人の本条尊を、昭兵衛が勝手に事故死扱いをして、荼毘に服すなんて考えられない。つまり、昭兵衛は、本条尊の死に立ち会い、本当の死因を知っている。そして、秘密にしなければならないから嘘をついた。怪事件に巻き込まれて死んだなら、他の犠牲者と同じ扱いをすれば良い。行方不明のままなら7年後に失踪宣告で死亡扱いにすれば済む。


「美穂さん、夏沢さん、もし私がセラフとして戦死をしたら、

 その事実を知らない周りの皆さんにはどのように説明しますか?」

「急になんだ?」

「警察としては、不審死としか表現できないわね。

 まさか、妖怪と戦って戦死したとは言えな・・・え?そう言う事!?」

「本条尊って奴の本当の死因を言えないから、事故死扱いにしたって事か?」

「推測ですが、怪事件の関係者・・・怪事件の加害者と敵対をして、

 戦って亡くなったのなら、辻褄が合います」

「そういや、ジジイが『思い掛けずにアポロの姿で蘇った』って言ってたな。

 言い方に違和感があるとは思ってたけど、

 本物のアポロは本条って奴の可能性はありそうだ」

「可能性ゼロの妄想話ではなさそうね。

 でも、仮に本条尊がアポロだったとして、

 河川敷で貴女たちと交戦したのは誰になるのかしら・・・?

 『実は生きていた』それとも『名を受け継いだ別人』・・・何の為に交戦した?

 イイ線は突いてる気がするけど、まだまだ、情報が少ないわね。」


 雛子は、河川敷で戦ったアポロが麻由の祖父・葛城昭兵衛の霊魂ということを報告されていない。


「んぁっ?すっげー!マユ、すっげー!

 そ~すると、ホンジョーがマユのパパかジイちゃんだねっ!」

「ばるっ?何で、急にそうなるばるか?

 麻由のお爺ちゃんは、昭兵衛さんばるよっ!」

「父の名は隼人です」

「んぁぁっ!あれっ!?そっか~」

「本庄麻由じゃなくて、葛城麻由だぞ!

 オマエは、どうして、そんな発想になるんだよ!?」

「ん~~~~・・・・

 バルキリーが、アポロの事を、マユのご先祖さまみたく言ってたからさっ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」×5


 確かにバルキリーは、麻由を見て「アポロの血縁」と言っていた。


「麻由ちゃんの親戚に、本条って苗字はあるの?」

「ありません。あれば、本条氏の名を聞いた時に気付きます」

「・・・だよな~。ワケが解らなくなってきた」

「アポロ=本条尊には繋がらないばるね」


 物事を曇り眼鏡をかけずに見る紅葉の発想で正解なのだが、常識の範囲に捕らわれている美穂達は、皮肉にも「紅葉の発言は極端すぎで話にならない」と考えてしまう。昭兵衛と本条が同世代(15歳くらい昭兵衛が上)で、本条と麻由に血縁関係があるって事は、麻由が今まで信じてきた血縁関係が否定されてしまうのだ。


♪~♪~♪~♪~・・・・

「あ、ジャンヌから・・・・・もしもし」

≪皆、何処にいるのだ?マユユのマンションに戻ったが、合鍵なくて入れん≫

「ご、ごめんなさい。

 出来るだけ早く帰りますから、ファミレスにでも行っていて下さい」


 別行動をしていたジャンヌから、帰宅の催促が来た。ジャンヌに「警察に行ってる」とメッセージを入れておくべきだったと反省をする。

 粗方、本日の報告は終わったので、この場で解散をして帰宅をする事にした。




-一文寺・墓地内-


「ちっ、盆でもないのに、来客の多い日だ」


 葛城家の墓の前に、粉木勘平が訪れていた。正確には、今、来たのではなく、河川敷の戦闘を眺めており、ジャンヌと同様にアポロを追跡して、先客ジャンヌが立ち去るまで待っていた。


「久しぶりの再会や。まぁ、そういうなや、おやっさん」


 並んでいる葛城の墓と無名の墓の前に蝋燭を立て、線香を上げ、合掌礼拝をする。


「何の用だ、勘平?オマエには、二度と会わんと言ったはずだ」

「よう言うで。ずっと、ワシの所に保管されとったハスラーに潜んどったくせに」

「・・・フン!」


 粉木は、荷置き用の石にドッカリと腰を降ろし、持ってきた荷物から日本酒のワンカップを2つ取り出して、1つを昭兵衛に差し出す。「悶客は長居をするつもり」と把握した昭兵衛は、溜息をついてからワンカップを受け取り、羽目に腰を降ろした。


「墓に酒を添えるのではなく、霊のワシに直接か?

 相変わらず、罰当たりなヤツだ」

「死んどる間に、酒が弱くなったわけやあるまいし、

 生きとった時と同じように飲めるんやろ?」

「試したことは無いが、多分な」

「ほんじゃ、100年ぶりの再会に・・・乾杯」

「阿呆、100年前は互いに生まれてないだろう。相変わらずのお調子者め」


 蓋を開けてコツンと乾杯をして、チビチビと酒を飲む粉木と昭兵衛。言うまでもなく、粉木が酒盛りに来たわけではないことを、昭兵衛は理解している。しばらく、久しぶりのアルコールを味わい、1/3ほど減ったところで昭兵衛が粉木に尋ねる。


「白いサマナーと、小柄で騒がしい鎧武者、オマエの手の者か?」

「ネメシスとゲンジのことやな。

 ネメシスはワシとは関係無い。ワシんとこに所属しとるんはゲンジや」

「見た感じ、正体は随分と幼かったようだが、

 中学生を戦場に引っ張り出しているのか?」

「お嬢に怒られんで、おやっさんの孫と同い年や。」

「高校生か。退治屋はあんな未成年の少女を戦わせているのか?」


 痛いところを突かれた粉木は、無言になって大目に酒を飲み、腹を括ってから再び話を始める。


「確かに、高校生を戦場に引っ張り出しとるんは、常識で考えれば間違いやろな。

 せやけど、年齢や能力を総合して、お嬢が最も相応しいと判断したんや。

 妖怪退治の名門と、鬼の頭領の間に産まれた血統証付きの娘や」

「・・・鬼の頭領?」

「若いうちから実戦を積めば、歴代最強の退治屋になると思うてる。

 成長するにつれて父方の闘争の才が育ってきたようや。

 今のお嬢は、言わば、人の心と姿を持った鬼っちゅう存在やな。

 ワシや、お嬢の父母は、その剰りある才能を無理して抑えつけんで、

 より良く導くように考えとる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「もちろん、未成年を矢面に立たす罪悪感はあるよって、

 精一杯のサポートはしとるつもりや」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「そいは、天の嬢ちゃんも同じやないか?」

「・・・・・・・・・・・・・・ちぃぃっ」

「ワシの見立てでは、お嬢と、天の嬢ちゃんの才は同等。

 “おやっさんの孫娘”はアポロを越える逸材やで」

「ふんっ!黙れ、勘平!部外者が、葛城家のやり方に口を挟むな!」

「ワシは部外者やけど、うどん屋は身内やろが。

 うどん屋も、ワシと似たスタンスのようで、ちょいちょいサポートしとるで」

「極道を身内に迎えたつもりは無い!!」

「いやいや、興奮せんと落ち着きや、おやっさん。

 ヤ○ザやのうて、うどん屋やて」

「ともかく、ワシのやり方に口を挟むな!

 麻由には人として当たり前の幸せを掴んでもらう!あの子に戦場は似合わない!

 未だに戦場に身を置き、幼い娘を戦場に駆り出している勘平の気が知れん!

 尊の無残な死を見取ったのは、オマエも同じだろうに!

 忘れてしまったのか!?」


 相変わらずの頑固ジジイだ。だが、粉木はハナから説得する気は無いので、激高する昭兵衛を見ても眉1つ動かさない。彼は「重い宿命を背負っているのが麻由だけではない」と伝えに来ただけなのだ。ワンカップを最後まで飲み干して、空き瓶を袋に片付ける。


「おやっさんやから話したけど、

 今の話と、ワシがアデスっちゅ~んは、お嬢達には内緒やで」

「言うつもりなど無い」

「さよけ、ほなら、ワシは帰るわ」

「ふんっ!二度とその面を見せんなっ!」

「あぁ、おやっさんが言うなら見せん」


 粉木は、立ち上がって軽く背伸びをすると、もう一度、2つ並んだ墓に合掌礼拝をして、その場から立ち去る。しかし、数mほど歩いたところで立ち止まり、背中越しに昭兵衛に語りかけた。


「お嬢達は、ワシほど物分かりは良くないで。

 一度喰らい付いたら、いつまでも諦めんよって、おまんも覚悟しいや」

「・・・・・なんだと?」


 昭兵衛が、立ち上がって粉木を睨み付ける。しかし、粉木は、「ほな」と別れの言葉を言って後ろ向きに手を振って、振り返ろうともせずに去ってしまった。

 粉木を見送った後、視線を墓石に戻す昭兵衛。粉木は「麻由の仲間達とはまた戦う事になる」と仄めかしていた。昭兵衛自身、先程の戦いで彼女達が諦めたとは思えない。また戦う予感はある。


「ふっ!尊、オマエも同じだった。敗れても敗れても何度でも立ち上がったな。

 オマエは、大したヤツだ。

 だがな、ワシは、麻由だけは、戦いの呪縛から解放してやりたいんだ」


 粉木の指摘された通り、昭兵衛は、麻由が幼い時から、その類い希な才覚には気付いていた。だからこそ昭兵衛は、どんな些細な争いも遠ざけ、麻由の闘争心を養わないように育てた。尊のバイクを身近から撤去したのも、麻由の感受性を恐れたからだった。

 結果、麻由は争いごとに向かず、トラブルに脆い性格に育ったが、昭兵衛はそれで良いと思っている。眠っている能力を眠らせたまま、恵まれた器量と、昭兵衛が教育した優しさで、一般的な幸せを掴んでくれれば良いと考えていた。尊の墓と隼人の墓を見つめ、昭兵衛は意志を貫き通す決意を固める。


 昭兵衛の回想は『妖幻ファイターザムシードⅠ』の『外伝Ⅰ・異獣サマナーアデス』を昭兵衛の視点で編集したものです。『ザムシード』と『ゲンジ』はパラレルワールドなので、同じ過去が発生しています。

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