表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
100/112

45-2・鬼女魍紅葉~再戦の地へ

 今は戦闘中なのに、紅葉の前には不思議な光景が広がっていた。

 紅葉の目の前に、十二単を着た紅葉が立って、紅葉を見つめている。一瞬、鏡を見ているのかと思ったが違う。


「んぁっ!?オマエはなんだっ!?ァタシのパクリかっ!?」

「にぃ~っひっひっひ。オマエゎヮラヮ、ヮラヮゎオマエぢゃ」

「意味ワカンンネ~!」


 十二単の紅葉は、燃えるような赤い眼をして、頭にツノが生えていて、源川紅葉より少し大人っぽくて、源川紅葉よりかなり艶やかだ。


「あの者(麻由)に勝ちたいのじゃろう?」

「んっ!負けたくないっ!」

「ならば、ヮラヮを意識せよ」

「んへぇ?なんぢゃ、そりゃ?」

「ヮラヮのクセに、頭の悪い子ぢゃのう。オマエゎヮラヮ、ヮラヮゎオマエぢゃ」


 十二単の紅葉が手の平を紅葉に向けて差し出す。つられた紅葉が、十二単の紅葉と手の平を合わせる。

ドクンッ!

 ゲンジの体の中で大きな鼓動が1つ脈打つ!紅葉の目が、片側は光沢のある瞳、もう片側が炎のような赤色の瞳、オッドアイに変化をする!



「麻由にだけは、負けたくないっっっ!!!!

 んぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」


 その瞬間、その場に居る誰もが想像していなかったことが起こる!ゲンジ(紅葉)の闘争心が、神鳥に新たなる動きを与えた!

 嘴と伸びる尾を軸にして、神鳥が錐揉み状に変化!大きく広げられた翼が高速回転をして跳び蹴りの体勢で突っ込んできたセラフ(麻由)を弾き飛ばす!


「きゃぁぁっっっっっっっ!!!」


 数十mほど離れた地面に落ちるセラフ!戦いを見守っていた全員が「何が起きたのか解らない」表情で神鳥を眺めている!


「どうなっているばる?」

「わ、解らぬ!」

「急に、ウルティマバスターの動きが変わったのか?」

「回転してますよね?」


 神鳥が地面に突っ込んで、土を抉って土砂を巻き上げる!発せられていた光が消えて、中から、両膝を地面について肩で息をしたゲンジが出現。一方、立ち上がって構えるセラフも息が荒い。どちらも、戦闘続行は難しそうだ。


「2人とも、そこまでだ。・・・真奈、今の撮れてっか?」

「あ、はいっ!」


 真奈が録画映像を再生。ゲンジとセラフを除いた仲間達が顔寄せて「ゲンジがウルティマバスター発動してからセラフを弾き飛ばすまで」を確認する。


「ウルティマバスターが、回転しながら進んでいるばるね。

 こんな事ができるばるか?」

「ローリングウルティマバスター・・・てか?

 アイツ、この土壇場に来て、マジで新必殺技を編み出しやがった」

「クーチャン、お見事。これで“背の弱点”が克服されたようだな」


「どうだ、紅葉?今の攻撃、もう一回試せるか?」

「んぁぁ~~~~・・・無理~~~~~!

 普通のウルティマバスターより疲れるぅ~~!

 もう、2度とやりたくない~~~~~~~!!」


 美穂の問いに対して、ゲンジはその場にへたり込みながら首を何度も横に振る。


「突進力をそのままにして、回転までする・・・一発でガス欠か。

 麻由はどうだ!?まだ戦えるか!?」

「じょ、冗談じゃありませんよ!

 今のは、紅葉が理力を発していたから弾き飛ばされただけで済みましたが、

 妖力で発していたら私は死んでいたかもしれませんっ!」


 美穂の問いに対して、セラフが首を横に振りながら騒いでいる。こっちはこっちで、いつもの腰抜けモードが発動したようだ。


「よし、解った!2人とも、お疲れさんっ!

 メシ休憩にしよう!!

 バルミィ、真奈、悪いけど、弁当20人前くらい買ってきてくれ!

 食い終わったら、第2回戦をやるぞっ!!」

「えぇぇぇっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」×2


 美穂は、紅葉と麻由のお願いを聞く気が無いらしい。その後、紅葉と麻由に餌を与えて、再戦をさせてみたが、ゲンジがローリングウルティマバスターのやり方を覚えていなかったので、2度目の新必殺技は発動しなかった。


「まぁ、それなりに新しい必殺技の手応えはあったんだ。

 紅葉、何がどうなって発動できたのか、ちゃんと思い出しておけよ!」

「・・・ん~~~~~~~~~」

「とりあえず、体力は回復したんだろ?武器のお復習いくらいはやっておくぞ」


 美穂がネメシスVに変身してレイピアを構える。ネメシスVは最初の2日間しかゲンジと武器の打ち合いをしていないので、その後に、どの程度の上達したのかを体感したかった。


「んっ!それくらいならできそう」


 応じた紅葉がゲンジに変身をして、巴薙刀を構えて突進。互いの武器を振り回してぶつけ合い、ネメシスVが数歩後退をして間合いを空ける。


「やっぱ・・・こんなもんか」


 ゲンジに薙刀さばきは無駄な動きが少なくなり、「ド素人が長い棒を振り回していただけ」の頃に比べればマシになっている。妖力で破壊力を上げれば初見殺しの効果は発揮する。1週間弱しか訓練していないと考えれば、並以上の上達はしているだろう。だがそれが限界だ。達人を相手に戦い抜ける技術ではない。ネメシスVがレイピアだけでなく盾も装備をしたら、ゲンジに楽勝できる自信がある。


「オマエって、薙刀以外の武器は召喚できるのか?」

「んぁっ?イメージできれば、多分、ダイジョブと思うけど・・・」

「だったら、何で、いつも薙刀を使ってる?」

「ん~~~~・・・なんか格好イイからっ!」

「はぁ?たったそれだけの理由?」


 ゲンジは戦闘向きの性格なのに、薙刀のスキルが低すぎる。ネメシスVは、ずっと腑に落ちなかった理由がやっと把握できた。大した理由も無いまま不向きな武器を使い続けていたのだ。


「ずっと昔のトモエゴゼンってゆ~人がね・・・」

「黙れ!その情報はどうでも良い!」


 ゲンジの戦闘スタイルは、技術や間合いを考えるより、瞬発力で素早く間合いを消滅させる肉弾戦。どう考えても、ナイフやナックルダスターのような超近接戦用の武器の方が向いている。そして、一番の問題点は、長柄武器の扱いが下手なことではなく防御を一切考えないこと。


「もう一回聞く。薙刀以外の武器も召喚できるんだな?」

「ぅん、多分。」

「だったら、剣、槍、斧・・・思い付く限りの武器を召喚してみろ」


 ゲンジの武器召喚を眺めながら、ネメシスの頭の中で歯車が噛み合い始める。当初は、初手から妖気を込めた薙刀を使わせて、幽姫のペースを乱すつもりだった。だが、ゲンジ向きの武器を使えるなら話は変わってくる。




―2日後(決戦当日)・源川家―


 朝食を終えた紅葉は、リビングのソファーに寝転がってテレビの芸能ニュースに囓り付いてる。


「紅葉、今日の予定は?」

「もうチョットしたら、イクサヒメ・・・ぢゃなかった。トモダチと遊びに行く」


 あまりにも緊張感が無いので、「午後からの決闘を忘れたのではないか?」と心配になった有紀が確認をしたら、一応「行く気」はあるようだ。


「出かける前に少しでも勉強しておきなさいね」

「ん~~~~~~~~~~~」


 勉強をする気は全く無さそうだ。だけど、無理に勉強をさせて知恵熱が出て、午後の決闘に影響が出ると拙いので、今日だけは口うるさい催促はしない。


「私、ちょっと、用事で出かけるからね」

「ん~~~~~~」


 有紀は、粉木邸に行って準備をしなければならない。幽姫に変装するには、着替えやメイクで時間かかって大変なのだ。

 有紀が出かけて玄関ドアが閉じて静まり返った途端に、紅葉は緊張した表情になった。テレビは「見ているフリ」をしているだけで、全然頭に入ってこない。


「はぁ~・・・カラ元気も楽ぢゃなぃょ」


 気を抜いたらプレッシャーで押し潰されそうだ。暗い顔をしてママを心配させたくないので、「元気なふり」で紅葉なりに気を遣っていた。


「そろそろ行かなきゃ」


 家着から外出モードに着替え、戸締りをして外へ。自転車に乗って待ち合わせ場所に向かう。




-河川敷-


 紅葉が堤防に上がって眺めたら、既に皆が集まっていた。手を振りながら自転車で坂道を下って合流をする。


「ぉはょ~っ!」


 仲間達の顔を見たおかげで、重く伸し掛かっていたプレッシャーが和らいだ。


「じゃ、作戦の確認な」


 先ずは、この1週間で出来るようになったことを整理する。


「どうやって神鳥を回転させたのか、思い出せないのか?」

「ぅん・・・ダメみたい」


 新必殺技ローリングウルティマバスターを発動させたのは良いんだけど、無我夢中だったので、どうやって発動したのか全く覚えていない。「十二単の自分」と会話した妄想が関係してるのかも解らない。今までずっと考えていたが、結局は解らないまま。ただ、もの凄い勢いで全身に血が駆け巡ったような気がして、一発放っただけで疲れた。


「だったらさ、あの技を出した時、どんな気分だった?」

「ん~・・・・・・『マュに勝ちたぃ』だったかなぁ」


 紅葉は闘争心の塊だ。昨日の模擬戦以外でも、常に勝つ為に戦っている。闘争心や勝利欲がスイッチなら、刃吾幻(幽姫)との初戦で発動しても不思議ではなかったはずだ。


「マユ・・・ドンドン強くなってきて、ちょっと怖いって思った。

 このまんまじゃ、置いて行かれちゃうって思った。

 そしたら急に、ワケが解んなくなって・・・」

「仲間に『勝ちたい』・・・

 ただの闘争心や殺意ではなく、劣等感と向上心ってことか?」


 何も考えず気の向くままの紅葉が、初めて劣等感を感じた。本能の赴くままの紅葉が、人間の成長に必要な向上心を持った。美穂は「マイペースすぎる紅葉」らしくない感情と感じる。


 大枠では「劣等感と向上心」がスイッチになっていた。人間の心と妖怪の力の融合。麻由に対して負けたくないと思った“人間らしい心”が“妖怪の力”にスイッチを入れて発動した必殺技なのだが、当然、美穂に解るわけがない。


 作戦会議終了後は、軽いウォーミングアップで体を暖める程度にして、過度な消耗は避ける。特に目的があって集まったわけではなかった。再戦は午後からなので昼頃に集まっても全く問題無い。1人で居ても気が落ち着かないので、皆と一緒に居たくて早めに集まったのだ。




―約束の時間・採石場―


「おっ!」 「来たみたいだね」


 愉怪な仲間達が待っていたら、入口側に土煙が上がるのが見えた。バイクを駆る幽姫が接近してくる。


「ほぉ・・・逃げずに出向いた度胸は褒めてやろう」


 幽姫(有紀)は紅葉達が来ることを知っていたが、あえて知らなかった演技をする。


「来なきゃイクサヒメをやっつけられないんだから、来るに決まってるぢゃん!」


 紅葉が前に進み出て幽姫を見つめる。幽姫はバイクから降りて紅葉と向かい合う。互いに必要以上の言葉は無用。戦う為に此処に来た。向かい合った時点で心の準備は出来ている。


「いっくょ~っ!!げ~んそうっ!!」 「幻装っ」


 紅葉と幽姫の全身が輝き、妖幻ファイターゲンジ&戦姫・刃吾幻(妖幻ファイターハーゲン)登場!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ