第13話 大団円
「何で起きてないの?」
「何で、と言われましても・・・」
「でも、おかしくない?」
「おかしい、ですか?」
「だって、ここのみんなは魔力戻ってるし。」
「ミオも回復してるしな。」
「・・・それは確かにおかしいですね。」
「他の被害者との違いは何でしょうか?」
「おじいちゃん、どう思う?」
「うむ。先ずは時間かのぉ。」
「時間?」
「魔人の術に掛かってからの時間の違いがあるじゃろ?」
「確かに・・・」
「目の前で倒した、というのもあるかもしれんの。」
「なるほど。・・・他には?」
「そもそも、あの盗撮魔人が全ての犯人かも分からんしのぉ。」
「え~、そもそもソコ~??」
「ほっほっほ。まぁ流石にそれは無いじゃろ。」
「も~。ビックリさせないでよ~。」
「さっぱり分からんのぉ。」
「だよね~。」
「でもよ~。」
「ん?カイ、どうしたの?」
「盗撮魔人を倒したんなら、人参で治したら良いんじゃないのか?」
「・・・確かに。」
「どうかな?ミーナ。」
「そうですね・・・ギルドで相談してみます。」
ミーナはギルドへ帰って行った。
「嫌な予感がするのぉ・・・」
1時間後―――
ガッシャーン!
「皆さん、大変です!!」
食堂の扉を乱暴に開けて、ミーナが入って来た。
「ど、どうしたの?」
「あぁ真白さん、大変です。」
ゴトン
ミーナは真っ黒な石をテーブルの上に置いた。
「何この石?」
「この石は・・・盗撮魔人の魔石です。」
「え!?ウソでしょ??」
「本当です。真白さんにお預かりしたものです。」
「でもこれ、ただの石・・・」
「はい。ただの石になっていました。」
「という事は、もしかして・・・?」
「フッ、フフフ・・・ハッハッハッハッ!」
突然笑いだすマミー。
「ちょ、マミー?ビックリさせないでよ~・・・」
「待て!真白。様子がおかしい。」
「え?何・・・」
「俺やで!・・・でしたかね?」
そこには邪悪な顔をしたマミー・・・だった者が漂っていた。
「マ、マミー?どうしたの?」
「真白よ。残念じゃが、それはもうマミーではないぞ。」
「そんな・・・でも、どうして?」
「フフフ。私がご説明差し上げましょう。」
マミーだった者が話し始めた。
「私は先程、殺されました。」
「ナイフで魔石を貫かれてね。」
「しかしその時、魔石の小さな欠片がこの人形の中に飛び込んだんです。」
「すると、どうでしょう!」
「人形の中にあった鉱石と融合したではありませんか!」
「まぁこの人形もよく抵抗していたんですがね。」
「今しがた、ようやく支配することが出来ましたよ。」
「マミー・・・」
「それでは皆さん。」
「再戦と行きましょうか。」
レオたちは一斉に身構えた。
しかし、真白だけはまだ戸惑っているようだ・・・
「真白、しっかりしろ!」
「でも・・・」
「フフフ。準備はよろしいですか?」
「では、行きますよ!」
ボコッ
盗撮人形の胴からレンズが顔を出した。
「スティール・・・」
ズボッ!!
「グオッ!」
盗撮人形は自らの拳をレンズごと胴にめり込ませていた。
「何、だと・・・」
「誰を支配したやて?」
「マミー!!」
「おぅ真白。スマンなぁ・・・ちょっとしくじってもたわ。」
「え?どういうこと?」
「融合されたんはホンマや・・・」
「もう、コイツを道連れにするしかないんや。」
「何を言って・・・」
「ゴメンやで・・・幸せになってや。」
「ウソでしょ?嫌だよ・・・」
「もぉ持たんのや。コイツ抑え込むのも限界やねん。」
「嫌だ!嫌!!」
「そんな駄々こねんなや・・・」
「だって・・・」
「じいちゃん!後処理頼めるか?」
「・・・良いのか?」
「ああ。しっかり頼むで。」
「うむ。心得た。」
「待って!ねぇ待って!!」
「楽しかったで。ほなな。」
「マミー!!」
バシュッ!!
マミーは拳を引き抜くと魔石と融合したペリドットを天空に突き上げた。
「ホーリーミスト。」
聖なる霧がペリドットを包み込む。
「サブリメイション。」
それは青い光を放つと、蒸発して消えていった。
パサッ
マミーだった人形は真白の両手の上に落ち、静かになった・・・
「マミィィィーーーーーッ!!」
食堂に、真白の声が響き渡った―――
翌朝
「おはようございまーす!」
「おお!ジェニー。もういいのか?」
「カイさん!はい。もう大丈夫です!」
「良かった。でもまだ休んでてもいいんだぜ?」
「いえ、休み過ぎて体なまっちゃってるんで。」
「ハハッ、そうだな。それじゃあ頼むよ。」
「はい!・・・ところで真白さんは?」
「あぁ・・・まだ眠ってるよ。」
真白の部屋の前、美桜とアンジュが来ていた。
コンコンコン
「真白ネェ、起きてる?」
「・・・」
「真白、ジェニーが出勤しているみたいだぞ。」
「・・・」
「食堂で待ってるぞ。」
――――――
ランチタイムが終わった頃、真白が降りて来た。
「おう真白。何か食うか?」
「・・・いらない。」
「そうか。」
「あ、ゴメン。やっぱりミックスジュース・・・」
「はいよ。」
「真白さん、ミックスジュースです。」
「あ、ジェニー・・・良かった。」
「ご心配をおかけしました。」
「もう大丈夫?」
「はい。もうすっかり。」
「無理しないでね。」
「ありがとうございます。」
(小声で)「カイさん、何だか真白さん元気ないですね?」
(小声で)「ああ。ちょっとな。」
「マミー、これ好きだったな・・・」
ミックスジュースを飲む真白。
「真白・・・」
「真白ネェ・・・」
心配そうに見つめる美桜とアンジュ。
「しばらくは仕方ないじゃろ。」
「そっとしておいてやろうぜ。」
オルディスとレオも合流した。
「1つ提案があるのですが。」
美桜が話し始めた・・・
次の日
「あれ?みんなは??」
「真白、おはよう。みんな早くから出かけて行ったぜ。」
「おはよ。そうなんだ。」
「何にする?」
「ミックスジュース。」
「はいよ。」
昼過ぎ
カランコロン・・・
「あ、みんなお帰り。どこ行ってたの?」
「ただいま。真白、ちょっといいか?」
「どうしたの?」
「朝から皆で、これを探しに行っていたんだ。」
美桜は大事そうにハンカチで包まれたものを取り出した。
「ん?何??」
ハンカチを開く真白。
「これ・・・」
キラキラと輝く、透き通ったグリーンの鉱石が姿を現した。
「ペリドット・・・」
「分かってる。こんな事しても何の意味もないって。」
「君の母上の形見でもないし、これでマミーが生き返るとも思っていない。しかし・・・」
「うん。うん。ありがとう。美桜、みんな。」
真白の頬に涙が光った・・・
真白はポーチからマミーだった人形を取り出した。
「せっかくだから使わせてもらうね。」
穴の開いた胴体にペリドットを埋め込み、穴を縫い付けた。
シーン・・・
「やはり動かないか・・・」
「そうだね。でも、ありがとう。」
ピカッ、ピカッ
「あれ?真白ネェ、ポーチが光ってるよ?」
「え?ホントだ・・・」
真白はポーチを開いた。
シュシュシュシュシュッ
ポーチの中から突然プッペンコープスたちが飛び出して来た!
「え?ちょっと、アンタたち何を・・・」
プッペンたちはマミーだった人形を取り囲み回転を始めた。
グルン、グルン、グル、グル、グルグルグルグルルルルルル・・・
高速で回転していると徐々に人形が起き上がって来る・・・
グルルルルル・・・
「俺やで!!」
「マミー!マミーなの??」
「そやで。心配かけたな。」
「マミー!!」
マミーに抱きつく真白。
「アー痛い痛い、痛いがな。病み上がりやで。」
「そうだね、ゴメン。でも、どうして・・・?」
「いやな、こんなこともあろうかと思ぉてな。」
「コイツらに俺の記憶コピーしといたんや。」
「記憶をコピー??」
「そや。もともと俺はただの人形やからな。」
「記憶さえ残っとったら何とかなるんや。」
「そうなの?も~、心配させないでよ~。」
「スマンなぁ。せやけど戻ってくるのに依り代が必要やったんや。」
「依り代?」
「そや。俺の場合はペリドットやな。」
「ペリドット・・・」
「これが無いと戻って来れんかったからな。」
「みんなが拾って来てくれて、ホンマ助かったわ。」
「ちゅうわけで、みんな、おおきにな。ありがとさん。」
みんな、嬉しそうな顔をしている。
「みんな、本当にありがとう!」
「良かったな、真白。」
ギュルルルロォォオゥゥゥゥ~~~~
「な、何や!!」
「魔人!?」
「あ~ゴメン。私のお腹が・・・」
「なんやねん、ビックリさせんなや!」
「だって~、安心したら急にお腹が空いちゃって~。」
「ホンマにお前は・・・」
「カイ~、牛丼つゆだく温玉乗せ~。」
「俺ミックスジュース~。」
「はいよ!よろこんで!!」
食堂は温かい空気に包まれていた―――
カランコロン・・・
「こんにちは~。」
「セーナさん!」
「真白さん!」
駆け寄る2人。
「セーナさん・・・良かった。」
「真白さんたちのおかげで救われたって聞きました。ありがとう・・・」
「いえ、そんな・・・本当に良かった。」
セーナを抱きしめる真白。
「・・・あれ?」
「あ、アハハハ・・・気付いちゃいましたか?」
「あ~、まぁ、そうですね・・・」
「実は、ずっと寝たきりだったんで・・・むくみが酷くて。」
「ちょっと、サロン寄って行きますか?」
「お願いできますか?」
「もちろん♪」
「ようこそ!Salon de restaliteへ!!」




