第14話 エピローグ
「じゃあ、リンパ流していくね~。」
「ああ、頼む。」
「電流行きま~す。」
「ああ、頼む。」
「最後に細胞の修復で終わりだよ~。」
「ああ、頼む。」
「ど、どうかな?」
「いや~、流石に1回じゃ・・・」
「そうだな、すまない・・・」
「ううん。後はジムと食事だね。」
「ああ。やれることは全部やってみるよ。」
「そうだね。美桜はまだ若いし、きっと大丈夫だよ。」
「ありがとう。」
美桜はジムに出て行った。
「美桜、上手く行くと良いな・・・」
昨晩、美桜から相談を受けた。
バストアップをしたいそうだ。
残念ながら私のスキルですぐに胸を大きくすることは出来ない。
でも成長の助けくらいにはなるかもしれない。
形を整えることも出来るだろう。
まずはジムで土台を作って、
食事でタンパク質と脂質をしっかり採って、
後は10代の成長力に期待しよう。
「でも、どうして急に?」
「やっぱり・・・恋??」
数日前、道場―――
美桜とレオはトレーニングを終え、ストレッチをしていた。
「あ、あの、師範・・・」
「ん?どうした??」
「あの~、その~・・・」
「何だ?ハッキリしろ。」
「はい!質問、よろしいでしょうか?」
「ああ、いいぜ。」
「し、師範は、その・・・どういう人が好み、でしょうか?」
「好み?どうした急に??」
「あ、いえ、ちょっと気になって・・・失礼しました。」
「ん~、そうだなぁ・・・やっぱ胸筋のデカい奴だな。」
「そ、そうですか・・・」
(やっぱり、胸が大きい女性が好きなんだな・・・)
『まぁ、胸筋がデカいとタフで強い奴が多いからな。』(美桜は聞いていない)
(胸か・・・私はペタンコだからな・・・)
『やっぱり強くないと戦っても面白くないだろ?』(美桜は聞いていない)
(私は脈ナシか・・・)
『お前は十分強くなったな。稽古してても楽しいぜ。』(美桜は聞いていない)
(でも、バストアップすればまだ・・・)
『おいミオ、聞いてるか?』(美桜は聞いていない)
(真白に相談してみようか・・・)
「師範、お先に失礼します!」
「え?お、おう。お疲れ。」
「真白、ちょっと相談が・・・」
頑張り屋の美桜なら、大丈夫。
胸も、恋も・・・
――――――
アンジュとオルディスは新しい魔術の研究をしているらしい。
休憩中には一緒にスイーツを食べている。
とても仲がいい。
師弟というより本当の孫とおじいちゃんのようだ。
このままずっと一緒に居れれば良いけれど・・・
――――――
カイとレイの食堂は今日も美味しいご飯を提供している。
いつも繫盛していて忙しいけど、楽しんでいるようで何よりだ。
新しいスタッフたちも楽しく働いてくれているようだ。
やっぱり、楽しいのが一番だよね。
――――――
真白のサロンも大忙しだ。
「真白さん。次のお客様入られます。」
「は~い。どうぞ~。」
「よろしくお願いします。」
新しいお客様が入って来た。
珍しく男性のお客様。
かなり整った顔立ち。
背も高く、スタイル抜群だ。
20代前半だろうか。
「ようこそ。今日はどうされましたか?」
「はい。私は冷え性で、肩こりも酷くて・・・」
「冷え性と肩こりですね。」
「お願いできますか?」
「もちろん。おそらく血行が悪くなっているのかもしれませんね。」
施術着に着替えた男性。
「ベッドへどうぞ。」
「はい。お願いします。」
ひと通りの施術が終わった。
「終わりました。いかがですか?」
「信じられないくらい体が軽いです。」
「それに何だかポカポカします。」
「そうですか。それは良かったです。」
おもむろに立ち上がる男性。
「いや~、やはりここは良いですねぇ。」
「はい?」
「真白さんの腕も上がっていますし、サロンの雰囲気も素晴らしいです。」
「あの・・・初めての方、ですよね?」
男性の身長が見る見る縮んでいく。
頭は禿げあがり、やがて老人の姿に・・・
「げっ!神様じゃん!!」
「フォッフォッフォッ。ワシじゃ。」
「今さら何しに来たのよ!あれから大変だったんだからね!」
「辛い思いをさせるかも、と言ったであろう?」
「ホントに辛かったんだから~。」
「しかし解決した。皆で力を合わせての。」
「それは、そうだけど・・・」
「お主は良い仲間を持った。」
「・・・うん。」
「悪い神のいたずらで送られてきた魔人はもう死にました。」
「ですが、人生何があるか分かりません。」
「良いこともあれば悪いこともあるでしょう。」
「しかし真白さん。あなたなら大丈夫。」
「きっと乗り越えられるでしょう。」
「これからも仲間の皆さんと一緒に楽しく過ごしてください。」
「神様・・・」
「って、また逃げる気でしょう!」
「な、何です?」
「良いこと言ってる間にしれっと居なくなるんでしょ?前みたいに!」
「べ、別に逃げるとかでは・・・」
「ちゃんとお金払ってよね。前の分も一緒に。」
「あの~、真白さん。」
「何よ。」
「申し訳ありませんが、神界にはお金という概念がないもので・・・」
「だから?」
「その・・・お金を持っていません。」
「そうですか。それなら仕方ないですね。」
「ご理解頂けて良かったです。それではまた・・・」
「ちょっと、待てぇぇぇ~いっ!」
「え、あの・・・」
「払えないなら、働いて返してね♡」
神様は美人女性の姿になっていた。
「いらっしゃいませ。ようこそSalon de restaliteへ。」
「そうそう、その調子。」
「それでは、私はお先に・・・」
「はい、お疲れ様~・・・って、まだ何もしてないでしょ!」
「いつでも見守っていますよ。では。」
そう言うと、神様は消えてしまった・・・
「ちょっとーー!!この貧乏神ィィィッ!!」
後でみんなにこの話をしたら、全員大笑いだった。
私もつられて笑ってしまった。
まぁいっか。
楽しければ、それで良い。
私の人生はまだ始まったばかり。
これからもここで生きていく。みんなと一緒に・・・
「俺やで!」
「ま、マミー!?」
「何勝手に締めようとしてんねん。」
「何よ~、別に良いでしょ?」
「何やしんみりして、似合わへんねん。」
「ちょっと、失礼ね~。」
「いいから、早よ行くで。」
「行くって、どこによ?」
「食堂や。今めっちゃ忙しいねん。手伝うてくれや。」
「こっちも忙しいんですけど?」
「先行くで!」
「ちょっと待ってよ~~。」
真白の今日はまだまだ終わらない―――
ー 完 ー




