第6話 女神
目の前には奇妙な生き物。
・・・生き物なのか?
幾何学模様の円筒。
しかし目がある。たくさん。
そして口のような穴が開いている。
「何だお前は?」
「お前らの世界で言う神様的な存在だ。」
「ハァ?神だと?お前が?」
「お前が神を信じてないから、こんな姿だ。」
「ハッ、意味分かんねぇ。」
「事実だ。」
「あぁそうかよ。どうせなら女神が良かったがな。」
そう言った瞬間、円筒が姿を変えた。
「あら、女神は信じるのですね。」
とても美しい女神だった。
「な、どうなってるんだ?」
「貴方のイメージした姿が見えているのですよ。」
「・・・」
「驚きましたか?」
「へっ、別に驚きゃしねぇよ。」
「そうですか。ところで貴方・・・」
「ずいぶん悪事を働いてきましたね。」
「うるせぇよ。」
「その身勝手な性格、嫌いではありませんよ。」
「はぁ?」
「貴方は死にました。」
「だろうな。」
「特別に転生させてあげましょう。」
「何!?」
「次の人生でも、存分に悪事を働いてください。」
「神がそんなこと言っていいのかよ。」
「神にも色々なタイプが居るんですよ。」
「ハッハッハ。じゃあ好きにさせてもらうぜ。」
「楽しませてくださいね。」
「では、お行きなさい。」
シュッ
――――――
ナニワーヌ大国
第2都市『ホリエトワール』
北の遺跡群
その男は立っていた。
ずっと動かず立っていた。
どのくらいの時間が過ぎただろう。
「オギャー!!」
男は突然、産声をあげた。
「な、何だ?俺の声か??」
「だ、誰も聞いてないだろうな?」
「ここはどこだ?」
「そうか・・・転生したのか。」
「・・・ス、ステータス。」
目の前にステータスウインドウが現れた。
「おぉ、マジか!」
「どれどれ・・・」
「盗撮魔人・・・ハァ?何だそりゃ。」
「言葉遣い:丁寧。これステータスか?いや、ステータスなのですか?」
「スキル・・・スティール・・・ほぅ。」
「他には・・・召喚?フフフ。」
出でよ!『大福P』
出でよ!『明美ちゃん』
出でよ!『穴コンダ先生』
出でよ!『半裸助監督』
盗撮魔人は、4人の手下を召喚した!
「何だここは?」
「ちょっと、急に何?」
「おい、何だよ!ふざけんなよ!」
「え、え、何です?」
「やぁ、皆さん。お久しぶりですね。」
「誰だよ?」
「アンタなんか知らないわよ。」
「ハァ?誰だテメェ。」
「どちらさまですか?」
「私ですよ。『善し男スター☆』ですよ。」
「え?善し男さん?」
「マジ善し男?」
「おぉ!お久です!」
「あ、どうも。」
「今から皆さんは私の手下です。」
「ハッ!かしこまりました!」
驚くほどあっさり受け入れた。
どうやら、盗撮魔人の何らかの力が働いているようだ。
盗撮魔人は、前世で『善し男スター☆』という名前で活動していた。
主な活動は、盗撮をしてSNSに上げる。
撮影データの販売。
そして、盗撮コミュニティーの運営だ。
コミュニティーでは、メンバーが撮影したものを共有して楽しんでいた。
その中心メンバーが、さっきの4人だった。
「では、皆さん。こちらの世界でも良い作品を作りましょう。」
――――――
「師範、もう一本お願いします!」
「いや、少し休憩しよう。」
「しかし・・・」
「かなり疲れているはずだ。怪我をするぞ。」
「・・・はい。」
道場。
美桜が打ち込みを始めて2時間。
全く休憩なしだ。
「どうした、ミオ?やけに気合い入ってるが。」
「はい・・・真白の様子が心配で・・・」
「真白の様子?」
「魔人に遭った時の真白が、いつもの真白ではなかったので。」
「どんな様子だったんだ?」
「アイツはいつも元気で、」
「いつもふざけてて、」
「いつも楽しそうで、」
「ほとんど怒ったのを見たことがなくて・・・」
「あんなに前向きなヤツが・・・」
「本気で殺そうとして、飛びかかって。」
「もちろん、あんな下衆な魔人は許せませんが・・・」
「真白が無茶なことをしそうで、怖くて。」
「私が支えてやりたい・・・」
「しかし今の私では、支えになれない。」
「そうか・・・」
「それなら俺に考えがある。」
「明日、ちょっと付き合え。」
「え?あ、はい。・・・どこへ?」
「西の洞窟、30階層だ。」




