第5話 スター
俺はスターだ。
みんなが俺を待っている。
昨日もバズッた。
今日も商品が良く売れている。
明日も期待に応えなくては。
さぁ、今日も狩りに出かけよう―――
『HOP SEVEN』
若者に人気の商業施設。
ここは良い。
長いエスカレーター。
目を引くオブジェ。
無防備なJK。
見せたがりのOL。
最高の狩り場だ・・・
獲物発見!
ちょっと歳はいってるが、なかなかの美人。
何よりスタイルが良い。
どうやら、ミニスカートは履き慣れていないようだ。
彼女がエスカレーターに飛び乗った。
俺は少し距離を置いて追いかける。
2階、3階・・・まだだ。
まだ人が多い。
4階・・・かなり人が減った。
俺は距離を詰める。
もうすぐ5階。
彼女は無警戒・・・今だ!
スゥ―――
スマホをスカートの下へ潜り込ませた・・・
「キャーッ!!」
彼女がスマホに手を伸ばす。
「チッ」
俺はとっさに払いのけた。
ドン!ゴロゴロゴロ・・・ダーーーンッ!!
彼女は転倒し、4階まで転げ落ちた。
そしてなぜか電飾が落ち、彼女は感電。
「ぐがっ!が、が、が、がぁーっ!!」
凄い悲鳴をあげて、彼女は死んでいった・・・
俺は、一部始終を撮影していた。
彼女のスカートは捲れ、パンツが丸見えになっていた。
俺は高揚している。
今までこんなに興奮したことがあっただろうか・・・
これは売れる。バズる。
やっぱり俺はスターだ―――
さっそくSNSにアップした。
バズりにバズッた。
ノーカット版のデータを販売。
売れに売れた。
だが、数日後・・・
俺は炎上していた。
家は特定され、顔写真も晒された。
玄関ドアには落書きだらけ。
人殺し、死ね、変態・・・
罵詈雑言が並ぶ。
窓ガラスは石が投げ込まれ割れてしまった。
数日引きこもった。
ストックしておいたカップ麺が底をつく。
昼間は外に出られないので真夜中を待つ。
真夜中―――
そっと家を出る。
誰もいないようだ。
24時間スーパーで食料を買い込む。
これでしばらくは大丈夫だろう。
どうせ直ぐにみんな忘れる。
横断歩道。
信号が変わるのを待っている。
ドン・・・
キキィィィーーーッ!!
バンッ!!
・・・何だ?押された?
てか、はねられた??
目の前には大型トラック。
散らばったカップ麺。
ジュースがこぼれて道路が濡れている。
・・・いや、俺の血か。
カシャ・・・
カシャカシャカシャカシャ・・・
野次馬が俺を撮ってる。
みんなニヤけてる。
みんな目を輝かせて俺を見ている。
俺はスターだ。
面白い。
なかなかこんな光景は見れないだろう。
撮らなくては・・・
ポケットのスマホに手を伸ばす。
震える手でスマホを野次馬へ向ける。
シャッターチャンス!
プツン―――
俺は死んだ




