第3話 遭遇
「ヒーリングマッサージ。」
セーナに優しく触れる真白。
反応がない。
「ダメか・・・」
セーナの実家。
大きな屋敷。
お金持ちのようだ。
セーナの母に事情を説明し、会わせてもらった。
「ごめんなさい。私の力では治せないみたいです。」
「そうですか・・・。でも、ありがとうね。」
「いえ・・・」
「あなたがエステの先生でしょ?」
「あ、先生というか・・・まぁ、はい。」
「娘が嬉しそうに話してくれましたよ。良い先生だって。」
「いえ、そんな・・・」
「すっかり見違えて・・・」
「私はね、全然良かったんですよ。前のままで。」
「でも、娘がね。どうしても変わりたいって・・・」
「あんなに自分の気持ちを出す娘は見たことがなくて・・・」
「合宿から帰って来て、一瞬誰だか分からなかったの。」
「見た目が変わったからじゃないのよ。表情がね。」
「もう満面の笑顔で。あんな顔見たの、幼稚園以来かしら。」
「でも・・・ウッ、ウッ・・・どうして、こんな・・・」
「娘は、娘はどうなるんでしょう?」
「お母さま、大丈夫です。きっと良くなりますから。」
「ホント?本当に?」
「はい。皆さん良くなっていますから。大丈夫。」
「そう・・・」
「私も全力を尽くしますから、もう少し待っていてください。」
「先生・・・ありがとう。」
カイの食堂―――
「あ、真白さん。お帰りなさい。」
ミーナが来ていた。
全員揃っているようだ。
「ミーナ。何か分かった?」
「ありませんでした。」
「え?」
「ヴァクタレーア。商業ギルドに登録されていません。」
「どういうこと?」
「そんな店は存在せん。と、言うことじゃ。」
「おじいちゃん。でも、私たち・・・」
「うむ。無許可営業じゃろう。もしくは又貸し。幻かもしれんがの。」
「幻って・・・」
「真白さん。お店に案内して頂けますか?」
「あぁ、うん。そうだね。」
「その前に、真白。セーナさんはどうだったんだ?」
「レオ・・・ダメだったよ。」
「そうか・・・まぁ、そうだろうな。」
「うん。やっぱ人参じゃないと・・・」
「でも、どうしてでしょうか?」
「どうしたの?ミーナ。」
「いえ、魔法が使えなくなる人と、意識を失う人がいますよね?」
「確かに。」
「そりゃあ、魔力の有無じゃないのか?」
「そうかも知れんが、犯人の匙加減かもしれんぞ。」
「でもやっぱり、戦えない人が意識を失ってる感じじゃない?」
「う~ん・・・」
「じゃあ、行こっか。ミーナ。」
「え?あぁ、はい。お願いします。」
「私も行くよ。」
「ミオさん。ありがとうございます。」
3人は大通りへ向かった―――
「ここ・・・だよね?美桜。」
「ああ。間違いない。」
空き店舗。
まだ新しく奇麗な外観・・・だったはず。
見るからに高級店・・・これが?
何年も借りられていないような、ボロ屋。
あれは幻だったの?
「お2人とも・・・ここですか?」
「うん。そのはず。」
「入れるかな・・・」
扉に手を掛ける真白。
ギ、ギィィィ・・・
嫌な音を響かせながら、扉は開いた。
「ゲホッ、ゴホッ・・・凄いホコリ。」
「ホントに、こんな所で?コホッ・・・」
「と、とにかく、ゴホッ・・・入ってみよう。」
中に入る。
ホコリとカビの臭い。
蜘蛛の巣だらけだ。
「ここで買い物してたなんて・・・」
「ダメだ、出よう。病気になるぞ。」
「本当に酷い店ですね・・・」
3人が外へ脱出しようとした、その時だった・・・
「失礼な人達ですねぇ。大事なお店に勝手に入って・・・」
誰もいない店の奥から声が聞こえた。
「え!誰??」
振り返る3人。
そこには、黒いタキシードに身を包んだ男が立っていた。
「ようこそ『vactarea』へ。美しいお客様。」




