第2話 判明
空気が重い―――
いつも仲の良いメンバー達。
珍しく揉めている。
「何度も言っておるだろう。わしは反対じゃと。」
「どうしてよ?助ける以外ないでしょ。」
「助けん、とは言うとらん。だが今ではないのじゃ。」
「おい真白、俺もオルディス様に賛成だ。」
「レオまで?どうして?」
「助けても、またやられるからだ。」
「その時は、また助けるだけでしょ?」
「どうやって?」
「それは、人参で・・・」
「いつまで持つんだ?人参は。」
「いつまでって・・・」
「真白よ、養霊人参が無くなれば手詰まりじゃぞ。」
「でも・・・」
「なぁ真白。私もここは師範たちの考えが正しいと思う。」
「美桜・・・」
「皆さん、一旦落ち着きましょう。」
「まず、真白さん。ギルドとしても治療は一旦保留という見解です。」
「そうなの?ミーナ。」
「はい。ですがオルディス様、保留にしている間に手遅れになるようなことは・・・」
「それなら大丈夫だと思うぜ。」
「どうしてですか?カイさん。」
「もしウチの妹も同じ原因だったのなら、3ヵ月寝たきりだったけど回復したからよ。」
「妹さんも被害を?・・・そうでしたか。」
「そうじゃの。全員が同じとは言い切れんが、問題ない可能性が高いじゃろう。」
「どうじゃ?真白。」
「分かるけど・・・でも、このままじゃ・・・」
「もちろん、解決を急ぐ必要はあるじゃろう。」
「うん・・・」
「そのためにも、もっと情報を集めんといかんのぉ。」
「では、状況を少し整理してみましょう。」
「セーナさんとジェニーさんは、ほぼ同じタイミングで被害に遭いました。」
「そうだね。」
「お2人の共通点は?」
「このサロンかな?あと、2人とも美人だね。」
「他には何か?」
「う~ん、昨日一緒に買い物に行ったけど・・・」
「買い物ですか?どちらへ?」
「大通りにあるパンツ屋さん。」
「パ、パンツ屋?・・・ランジェリーショップですか?」
「そうそう。ランジェリーショップ。」
「真白さんも?」
「うん。美桜もね。」
「4人でですね。何というお店ですか?」
「ヴァクタレーア?だったかな。」
「ヴァクタレーア・・・聞いたことないですね。」
「まだ新しいお店みたいだよ。」
「新しい店舗なら知っているはずなんですが・・・」
「まぁ、後で商業ギルドで確認してみます。」
「それで、何か購入されたんですか?」
「私以外は、全員。」
「ミオさんも?」
「あ~・・・はい。私も・・・」
頬を赤らめる美桜。
「もう着けてみましたか?」
「え、その・・・はい。」
耳まで真っ赤な美桜。
「う~ん・・・では、関係ないかもしれませんね。」
「そうだね。」
「いや、でも、私は2人のように美人ではないから・・・」
(イヤイヤイヤ・・・あんた、とびきり美人だよ!)
全員の心の声が一致した。
「おいミオ。お前はなかなかの美人だと思うぞ。」
「し、師範!?」
爪の先まで真っ赤な美桜。
「ここはわしの結界が効いておるからなのかもしれんぞ。」
「結界ですか?なるほど・・・」
「ミオさん。少しよろしいですか?」
「え、何・・・?」
「真白さんも一緒にお願いします。」
ミーナは2人を連れて3階へ上がって行った。
3階、美桜の部屋―――
「ミオさん。失礼ですが、昨日買った下着を見せてもらえますか?」
「え・・・いや、それは・・・」
「美桜、お願い。」
「・・・じゃあ。」
美桜は、恥ずかしそうに下着を持ってきた。
黒のセットアップ。
高級感のあるデザイン。
生地も良いものだと分かる。
「う~ん、特に問題あるようには見えませんね。」
「ちょっと待って。マミーに見せていい?」
「え、マミーに?」
「俺やで!」
「ミオ。心配せんでも俺は性別とかないし、ただの人形やからな。」
「恥ずかしがらんで良えんやで。」
「そうか・・・分かった。」
「おおきに。」
マミーは下着を調べ始めた。
「お!これや!あったで。」
「え?何があったの?」
「ちょっと待っとけ。お前らにも見えるようにしたるわ。」
マミーは下着に手をかざした。
「あ!何これ?魔法陣??」
「確かに魔法陣に見えますね。」
「俺には何の魔法陣か分からんけど、恐らくこれが原因やろ。知らんけど。」
「じゃあ、おじいちゃんに見てもらおう。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。さすがにそれは止めてくれないか。」
「あ~、そうだよね。」
「ほな、俺がコピーしたるわ。ちょっと紙くれ。」
「え?そんなこと出来るの?・・・はい紙。」
マミーは右手で魔法陣を、左手で紙を触った。
すると、紙に魔法陣がコピーされた!
「マジ!?凄いじゃん、マミー。」
「これ習得するのに10年かかったわ、なんつって。冗談やで。」
4人は食堂に戻ると、早速、オルディスに魔法陣を見せてみた。
「ほう、これは・・・検知の魔法陣に似ておるが・・・」
「そうですね。でもここが書き換えられていますね、先生。」
「その通りじゃ。アンジュよ、これをどう見る?」
「う~ん・・・検知というより監視、でしょうか?」
「うむ。間違いなかろう。」
「何なに?どういうこと?」
「真白ネェ、これはもともと検知魔法なの。」
「検知魔法?」
「地面に設置しておいて、敵が近づくと知れせてくれるの。」
「なるほど。それで?」
「で、書き換えられたこれは、この魔法陣の位置を監視している・・・」
「まぁ、つまりGPSっちゅうこっちゃな。」
「GPSか・・・」
「GPSって何なんだ?」
「えっと~・・・私が居た世界で、位置情報を~・・・」
「位置情報?」
「つまり・・・今どこに居るのか分かる。みたいな。」
「うむ。まさにその通りじゃ。」
「と、いうことは?」
「この下着の位置を犯人が特定出来るということじゃな。」
「え!何それ。気持ち悪いんですけど~。」
「では、そのヴァクタレーアが関係しているのは間違いないんですね?」
「そうじゃろうな。」
「でもよ。レイはそんな大人の下着持ってないぜ。」
「確かにそうだね。」
「下着はあくまで監視手段。普通に街で見かけて犯行に及ぶこともあるんじゃろう。」
「なるほど・・・」
「皆さん、ありがとうございました。早速、ギルドへ報告して来ます。」
ミーナは慌てて走り去っていった・・・




