第9話 拡大
セーナがサロンに来て1ヵ月が過ぎた。
まだ、パッと見変わってない。
体重にして2~3kg減と言ったところか。
しかし、施術をしていると、しっかり変わっていることが分かる。
むくみやたるみが軽減されている。
汗もかきやすくなった。
運動をすることにもすっかり慣れたようで、
始めの頃、出来なかった動きも出来るようになり、
使いこなせなかった器具も、問題なく使えるようになった。
順調と言っていいだろう。
そろそろ、次のステップに進めそうだ。
これまでは、代謝を上げ、むくみを減らす施術を中心に行ってきた。
これからは、しっかり脂肪を落とし、引き締める施術に切り替えて行こう。
レオと美桜の話では、ジムの方でもトレーニングの強度を上げて行くらしい。
きっと、辛くなるだろう。
しっかりケアしなければ。
リラクゼーションルームにも入ってもらおう。
リラクゼーションルームに設置してあるレア鉱石『ラリマー』
精神を安定させ、負の感情を鎮めて前を向くエネルギーを与えてくれる。
食事はカイにお任せ。
筋肉をつけるメニュー。
そして、気持ちを上げるデザートも充実。
やっぱ甘いものも欲しいよね?
良いペース。
次の1ヵ月もこの調子で・・・
――――――
「こんにちは~。」
「おぅ、いらっしゃい!」
「いらっしゃいませ~。」
真白が、一口ではかぶりつけない程の
大きなアボカドチーズバーガーを頬張っていると、
ミーナが食堂へやって来た。
「真白さん、ちょっとよろしいですか?」
「ンあ、メイニャ、ぼうひはも?」
「え?あ、飲み込んでからで大丈夫です。」
「ムゴモゴ・・・ゴフッ」
「んんっ!・・・ミーナ、どうしたの?」
「お食事中にごめんなさい。お話が・・・」
「あ~・・・みんなにも?」
「そうですね、お願いします。」
みんなが集まって来た。
「ミーナよ。例の件かの?」
「はい・・・いえ・・・」
「何だ?どっちなんだ?」
「実は、例の件との関係がはっきりしないんです。」
「どういう意味なの?」
「今までは遺跡周辺で冒険者が被害に遭ってきました。」
「そうだな。」
「しかし現在、街中で、しかも冒険者でもない女性が被害に・・・」
「何だと?本当かそれは?」
「はい。ただ、もともと魔力の無い人達も多くて、関連が分かりません。」
「ふむ。魔力の無い女性がどういう被害を?」
「それが、突然倒れて寝込んでしまって・・・」
「え!?それって・・・」
みんなの視線がレイに集中した。
「わたしと同じ・・・」
一瞬にして青ざめるレイ。
「大丈夫だ。大丈夫・・・」
「お兄ぃちゃん・・・」
「ふむ。ここで繋がって来るか・・・」
「前におじいちゃんが心配してたのが、これ・・・」
「そのようじゃの。」
「ミーナよ。当然、例の件と関係しておるじゃろ。」
「やはり、そうですか・・・」
「で?ミーナ。また、調査依頼か?」
「あ、いえ。今日はとりあえず注意喚起をして回っています。」
「そうか。それはご苦労だな。」
「ありがとうございます。では、皆さんお気をつけて。」
「ミーナ、あなたもね。」
「はい。ではまた・・・」
ミーナは忙しく帰って行った。
「しかし、厄介なことになったもんだな。」
「そうですね、師範・・・」
「効果があるか分からんが、結界でも張ってみるかの。」
「そんなこと出来るの?おじいちゃん凄い!」
「ほっほっほ。効けばいいがの・・・」
「俺も手伝ぉたるで。」
「マミー、居たの?」
「いつもそばに居る言うたやろ。」
「いやん♡」
「それじゃあマミーよ。早速やろうかの。」
「よっしゃ。行こか。」
2人は連れ立って外へ出て行った。
(遺跡にはもう近づかんとこ思っとったけど、)
(まさか、近づいて来られるとはな。)
(真白が心配や・・・)




