79話「解放された日」
東部。
南の大農園。
王と。
ジョーカーが。
到着する。
門は。
壊されていた。
倉庫も。
荒らされている。
「奴隷解放戦線か」
「そのようですね」
◇
農園の中。
何人もの奴隷が。
首輪を外されていた。
泣いている者。
笑っている者。
呆然とする者。
王が。
一人の男に近づく。
「何があった?」
「突然」
「あいつらが来て」
「領主の兵を倒して」
「俺たちの首輪を」
「外した」
男が。
自分の首を触る。
「それから?」
「…………」
「好きにしろって」
「言われた」
「それだけか?」
「ああ」
「仲間になれとも」
「言われなかった」
ジョーカーが。
黙って聞いている。
◇
少し離れた場所。
解放された女が。
泣いている。
「やっと」
「探しに行ける」
「誰を?」
「息子です」
「五年前に」
「売られました」
女は。
何度も。
涙を拭う。
その横では。
別の男が。
地面に座り込んでいる。
「どうした?」
王が聞く。
「…………」
「どこに」
「行けばいいんです?」
「え?」
「家もない」
「金もない」
「家族もいない」
男が。
壊れた農園を見る。
「自由だって」
「言われても」
「…………」
「明日から」
「どうすればいいんです?」
王は。
答えられない。
◇
そこへ。
兵士が走ってくる。
「陛下!」
「農園主が」
「見つかりました!」
屋敷の裏。
農園主が。
血を流して。
倒れている。
「死んでいるのか?」
「いえ」
「重傷ですが」
「生きています」
その近くでは。
農園で働いていた男たちが。
殴られ。
縛られている。
「解放戦線が?」
「はい」
「村からも」
「食料を奪ったようです」
「…………」
王が。
顔を上げる。
「村人まで?」
「奴隷制を」
「見て見ぬふりしてきた者も」
「同罪だと」
「そう言っていたと」
◇
帰り道。
王が。
口を開く。
「分からんな」
「何がでしょう」
「奴隷には」
「残ることも」
「去ることも」
「自分で決めさせる」
「なのに」
「関係のない村からは」
「勝手に奪う」
ジョーカーが。
少し黙る。
「彼らにとっては」
「関係があるのでしょう」
「…………」
「自分たちが」
「鎖につながれている横で」
「普通に暮らしていた人々です」
王が。
ジョーカーを見る。
「ニアは」
「そう思うのか?」
「…………」
ジョーカーが。
いつものように。
笑う。
「さて」
「私は」
「運良く」
「拾っていただきましたので」
「…………」
「拾われなかった方々の」
「怒りまで」
「分かったふりをするのは」
「失礼でしょう」
◇
その時。
遠くから。
煙が上がる。
兵士が。
叫ぶ。
「陛下!」
「次の襲撃です!」
「どこだ!」
「南西の鉱山!」
王が。
馬へ向かう。
「行くぞ」
ジョーカーも。
その後を追う。
◇
南西の鉱山。
首輪が。
地面に落ちる。
「行きたい奴は」
「行け」
「俺たちと来たい奴だけ」
「来い」
男が。
剣を肩に担ぐ。
仲間が。
駆け寄る。
「ノア!」
「王が」
「こっちへ向かってる!」
「…………」
ノアが。
顔を上げる。
「王様が?」
少し。
笑う。
「ちょうどいい」
「一度」
「聞いてみたかったんだ」
「…………」
「俺たちが」
「奴隷だった時」
「どこにいたのか」




