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王の愚者  作者: クロワ
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79/107

79話「解放された日」

東部。


南の大農園。


王と。


ジョーカーが。


到着する。


門は。


壊されていた。


倉庫も。


荒らされている。


「奴隷解放戦線か」


「そのようですね」


◇


農園の中。


何人もの奴隷が。


首輪を外されていた。


泣いている者。


笑っている者。


呆然とする者。


王が。


一人の男に近づく。


「何があった?」


「突然」


「あいつらが来て」


「領主の兵を倒して」


「俺たちの首輪を」


「外した」


男が。


自分の首を触る。


「それから?」


「…………」


「好きにしろって」


「言われた」


「それだけか?」


「ああ」


「仲間になれとも」


「言われなかった」


ジョーカーが。


黙って聞いている。


◇


少し離れた場所。


解放された女が。


泣いている。


「やっと」


「探しに行ける」


「誰を?」


「息子です」


「五年前に」


「売られました」


女は。


何度も。


涙を拭う。


その横では。


別の男が。


地面に座り込んでいる。


「どうした?」


王が聞く。


「…………」


「どこに」


「行けばいいんです?」


「え?」


「家もない」


「金もない」


「家族もいない」


男が。


壊れた農園を見る。


「自由だって」


「言われても」


「…………」


「明日から」


「どうすればいいんです?」


王は。


答えられない。


◇


そこへ。


兵士が走ってくる。


「陛下!」


「農園主が」


「見つかりました!」


屋敷の裏。


農園主が。


血を流して。


倒れている。


「死んでいるのか?」


「いえ」


「重傷ですが」


「生きています」


その近くでは。


農園で働いていた男たちが。


殴られ。


縛られている。


「解放戦線が?」


「はい」


「村からも」


「食料を奪ったようです」


「…………」


王が。


顔を上げる。


「村人まで?」


「奴隷制を」


「見て見ぬふりしてきた者も」


「同罪だと」


「そう言っていたと」


◇


帰り道。


王が。


口を開く。


「分からんな」


「何がでしょう」


「奴隷には」


「残ることも」


「去ることも」


「自分で決めさせる」


「なのに」


「関係のない村からは」


「勝手に奪う」


ジョーカーが。


少し黙る。


「彼らにとっては」


「関係があるのでしょう」


「…………」


「自分たちが」


「鎖につながれている横で」


「普通に暮らしていた人々です」


王が。


ジョーカーを見る。


「ニアは」


「そう思うのか?」


「…………」


ジョーカーが。


いつものように。


笑う。


「さて」


「私は」


「運良く」


「拾っていただきましたので」


「…………」


「拾われなかった方々の」


「怒りまで」


「分かったふりをするのは」


「失礼でしょう」


◇


その時。


遠くから。


煙が上がる。


兵士が。


叫ぶ。


「陛下!」


「次の襲撃です!」


「どこだ!」


「南西の鉱山!」


王が。


馬へ向かう。


「行くぞ」


ジョーカーも。


その後を追う。


◇


南西の鉱山。


首輪が。


地面に落ちる。


「行きたい奴は」


「行け」


「俺たちと来たい奴だけ」


「来い」


男が。


剣を肩に担ぐ。


仲間が。


駆け寄る。


「ノア!」


「王が」


「こっちへ向かってる!」


「…………」


ノアが。


顔を上げる。


「王様が?」


少し。


笑う。


「ちょうどいい」


「一度」


「聞いてみたかったんだ」


「…………」


「俺たちが」


「奴隷だった時」


「どこにいたのか」

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