76話「誰が決める」
東部評議会。
王と。
ジョーカーが。
再び席に立つ。
「奴隷の売買を」
「禁止する」
「家族を」
「引き離すこともだ」
「そして」
「数年をかけて」
「賃金を受け取る」
「労働者へと変えていく」
評議会が。
ざわめく。
◇
鉱山主が。
立ち上がる。
「お断りします」
「奴隷に賃金を払えば」
「鉱石の値段は上がる」
「東部の利益も」
「大きく減るでしょう」
「分かっている」
王が。
答える。
「だから」
「東部への復興税を減らす」
「街道や鉱山の整備にも」
「王国から金を出す」
「そして」
「評議会による自治も」
「認めよう」
「…………」
別の代表が。
王を見る。
「自治を認めると言いながら」
「奴隷については」
「王が決めるのですか?」
「我々は」
「自分たちのことを」
「自分たちで決めたいと」
「言ったはずです」
「ああ」
王が。
頷く。
「東部のことは」
「東部で決めればいい」
「だが」
「他人の人生まで」
「お前たちが決めることを」
「自治とは」
「呼ばせん」
◇
「綺麗事だ!」
鉱山主が。
机を叩く。
「自由だ何だと」
「それで鉱山が」
「潰れればどうする!」
その時。
商人の一人が。
口を開く。
「だが」
「復興税が減るなら」
「悪い話ではない」
「王国が」
「街道を整備するなら」
「商売もしやすくなる」
「…………」
鉱山主が。
睨む。
「お前は」
「賛成だというのか?」
「条件次第ではな」
◇
農地を持つ地主が。
腕を組む。
「我々は」
「今すぐ賛成とは」
「言えません」
「農地も」
「奴隷の働きに」
「頼っている」
「ですが」
「数年かけての移行と」
「税の軽減があるのなら」
「…………」
「考える余地はある」
「何を言っている!」
鉱山主が。
立ち上がる。
「我々は」
「東部の富を」
「守るために」
「評議会を作ったのだぞ!」
商人が。
鉱山主を見る。
「東部の富か?」
「…………」
「それとも」
「鉱山主の富か?」
「…………!」
評議会が。
騒がしくなる。
◇
王と。
ジョーカーは。
その様子を。
黙って見ている。
「東部の声は」
「一つではなかったな」
「ええ」
ジョーカーが。
笑う。
「どうやら」
「東部の中でも」
「自由に」
「意見が違うようです」
「…………」
王が。
少し笑う。
「それでいい」
ジョーカーが。
王を見る。
「一つにまとめなくても?」
「ああ」
「違うなら」
「違うまま」
「話せばいい」
「…………」
王は。
議論を続ける。
評議会を見る。
「誰かが」
「東部の答えを」
「勝手に決めるよりはな」
ジョーカーが。
小さく笑う。
「それは」
「随分と」
「面倒な国に」
「なりそうですね」
「ああ」
王が。
席へ戻る。
「国とは」
「面倒なものらしい」




