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王の愚者  作者: クロワ
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76話「誰が決める」

東部評議会。


王と。


ジョーカーが。


再び席に立つ。


「奴隷の売買を」


「禁止する」


「家族を」


「引き離すこともだ」


「そして」


「数年をかけて」


「賃金を受け取る」


「労働者へと変えていく」


評議会が。


ざわめく。



鉱山主が。


立ち上がる。


「お断りします」


「奴隷に賃金を払えば」


「鉱石の値段は上がる」


「東部の利益も」


「大きく減るでしょう」


「分かっている」


王が。


答える。


「だから」


「東部への復興税を減らす」


「街道や鉱山の整備にも」


「王国から金を出す」


「そして」


「評議会による自治も」


「認めよう」


「…………」


別の代表が。


王を見る。


「自治を認めると言いながら」


「奴隷については」


「王が決めるのですか?」


「我々は」


「自分たちのことを」


「自分たちで決めたいと」


「言ったはずです」


「ああ」


王が。


頷く。


「東部のことは」


「東部で決めればいい」


「だが」


「他人の人生まで」


「お前たちが決めることを」


「自治とは」


「呼ばせん」



「綺麗事だ!」


鉱山主が。


机を叩く。


「自由だ何だと」


「それで鉱山が」


「潰れればどうする!」


その時。


商人の一人が。


口を開く。


「だが」


「復興税が減るなら」


「悪い話ではない」


「王国が」


「街道を整備するなら」


「商売もしやすくなる」


「…………」


鉱山主が。


睨む。


「お前は」


「賛成だというのか?」


「条件次第ではな」



農地を持つ地主が。


腕を組む。


「我々は」


「今すぐ賛成とは」


「言えません」


「農地も」


「奴隷の働きに」


「頼っている」


「ですが」


「数年かけての移行と」


「税の軽減があるのなら」


「…………」


「考える余地はある」


「何を言っている!」


鉱山主が。


立ち上がる。


「我々は」


「東部の富を」


「守るために」


「評議会を作ったのだぞ!」


商人が。


鉱山主を見る。


「東部の富か?」


「…………」


「それとも」


「鉱山主の富か?」


「…………!」


評議会が。


騒がしくなる。



王と。


ジョーカーは。


その様子を。


黙って見ている。


「東部の声は」


「一つではなかったな」


「ええ」


ジョーカーが。


笑う。


「どうやら」


「東部の中でも」


「自由に」


「意見が違うようです」


「…………」


王が。


少し笑う。


「それでいい」


ジョーカーが。


王を見る。


「一つにまとめなくても?」


「ああ」


「違うなら」


「違うまま」


「話せばいい」


「…………」


王は。


議論を続ける。


評議会を見る。


「誰かが」


「東部の答えを」


「勝手に決めるよりはな」


ジョーカーが。


小さく笑う。


「それは」


「随分と」


「面倒な国に」


「なりそうですね」


「ああ」


王が。


席へ戻る。


「国とは」


「面倒なものらしい」

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