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王の愚者  作者: クロワ
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75/106

75話「自由の値段」

王都。


会議室。


王の前に。


ハート。


ダイヤ。


スペード。


ジョーカー。


「奴隷制度を」


「なくしたい」


「…………」


ダイヤが。


口を開く。


「一斉にですか?」


「いや」


王が。


首を振る。


「それでは」


「別の者が苦しむ」


◇


ダイヤが。


資料を広げる。


「東部の農地と鉱山は」


「奴隷の労働に」


「大きく依存しています」


「突然解放すれば」


「生産が落ち」


「物価も上がる」


「そして」


「奴隷自身も」


「仕事と住居を失います」


「分かっている」


王が。


頷く。


「だから」


「少しずつ変える」


「まず」


「奴隷の売買を禁止する」


「家族を引き離すことも」


「認めない」


「その上で」


「奴隷を」


「賃金を受け取る労働者へ」


「変えていく」


◇


スペードが。


腕を組む。


「東部が」


「受け入れると思うか?」


「思わん」


「…………」


「だから」


「余たちも譲る」


王が。


地図を広げる。


「東部への」


「復興税を減らす」


「評議会による自治も」


「ある程度認める」


「王国も」


「街道や鉱山へ」


「金を出す」


ダイヤが。


顔を上げる。


「また」


「国庫からですか」


「…………」


「そう嫌そうな顔をするな」


「財務卿ですので」


◇


ハートが。


王を見る。


「それでも」


「反対する者は」


「いるでしょう」


「ああ」


「全員が納得するとは」


「思っていない」


王が。


東部の地図を見る。


「だが」


「東部が望む」


「決める自由は」


「認める」


「…………」


「ただし」


「他人の人生まで」


「決める自由は」


「認めん」


ジョーカーが。


少し笑う。


◇


ダイヤが。


ため息をつく。


「しかし」


「奴隷を労働者にすれば」


「当然」


「賃金が必要になります」


「住居」


「仕事」


「制度を管理する役人」


「すべて」


「金がかかる」


ジョーカーが。


首を傾げる。


「奴隷のままなら」


「無料だったのに?」


「…………」


王が。


ジョーカーを見る。


「それを」


「無料と呼ぶのか?」


「いいえ」


ジョーカーが。


笑う。


「払っていた方が」


「違っただけでしょう」


「…………」


「今までは」


「奴隷本人が」


「払っていただけです」


部屋が。


静かになる。


王が。


立ち上がる。


「なら」


「これからは」


「国も」


「東部も」


「払えばいい」


「…………」


「自由の値段を」


「本人だけに」


「払わせるな」


◇


王が。


東部の地図を取る。


「もう一度」


「東部へ行く」


「今度は」


「話を聞きにではない」


「…………」


「話を」


「つけに行く」

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