↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王の愚者  作者: クロワ
PR
73/105

73話「誰の声」

東部。


市場。


王と。


ジョーカーが歩く。


「評議会ではなく」


「民の話を聞く」


「承知しました」



農夫。


「評議会には」


「賛成だ」


「俺たちの土地で」


「稼いだ金だろ?」


「東部のために」


「使ってほしい」



商人。


「王国から離れる?」


「困るよ」


「商売相手は」


「王国中にいるんだ」


「東部だけで」


「何ができる」



鉱夫。


「豊かになった?」


男が。


笑う。


「鉱山主はな」


「俺たちは」


「昨日も今日も」


「穴を掘ってるよ」



王が。


歩きながら。


呟く。


「皆」


「言っていることが」


「違うな」


「当然でしょう」


ジョーカーが。


笑う。


「民の声というものは」


「不思議でして」


「…………」


「自分と同じ意見の民を」


「たくさん集めれば」


「民の声に」


「なるそうです」


「違う意見の者は?」


「少数意見と」


「呼べばよろしいかと」


「…………」



道端。


一人の老人が。


座っている。


「王だろうが」


「評議会だろうが」


「わしには」


「どちらでもいい」


「なぜだ?」


老人が。


街を見る。


「決める奴が」


「変わるだけならな」


「…………」


王が。


黙る。



再び。


街を歩く。


王が。


足を止める。


鉱石を運ぶ。


奴隷たち。


「…………」


「ニア」


「はい」


「余たちは」


「まだ」


「聞いていないな」


ジョーカーも。


奴隷たちを見る。


「ええ」


「一番」


「決める自由のない方々には」



仕事を終えた。


一人の奴隷。


王が。


その男の前に立つ。


男が。


怯えて。


頭を下げる。


「顔を上げろ」


「…………」


男が。


ゆっくり。


王を見る。


「一つ」


「聞きたい」


「はい……」


王が。


少し迷って。


尋ねる。


「お前は」


「自由になりたいか?」


「…………」


奴隷が。


王を見る。


そして。


答える。


「いいえ」


「…………」


王が。


目を見開く。


ジョーカーも。


何も言わない。


「自由には」


「なりたくありません」


「なぜだ?」


「…………」


男が。


俯く。


「自由になったら」


「明日から」


「誰が」


「飯をくれるんですか?」


「…………」


「俺には」


「家も」


「金も」


「ありません」


王は。


答えられない。


男が。


再び。


頭を下げる。


「仕事に」


「戻っても?」


「…………」


「ああ」


男は。


鉱山へ。


戻っていく。


王と。


ジョーカーが。


その背中を見る。


「ニア」


「はい」


「自由とは」


「与えれば」


「それで終わりでは」


「ないのだな」


「…………」


ジョーカーが。


男の背中を見る。


「どうやら」


「自由にも」


「その後の生活が」


「必要なようですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。