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王の愚者  作者: クロワ
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71/105

71話「決める自由」

東部。


街道には。


鉱石を積んだ。


荷馬車が行き交う。


新しい店。


大勢の商人。


王が。


辺りを見る。


「随分と」


「変わったな」


「ええ」


ジョーカーが。


笑う。


「土の下から」


「富が出れば」


「地上まで」


「変わるようですね」



街の入口。


一人の男が。


王たちを待っている。


「陛下」


「お待ちしておりました」


「お前は?」


「東部評議会の者です」


「評議会?」


「各地の代表が集まり」


「東部のことを」


「我々自身で」


「決めております」


「…………」


王が。


男を見る。


「王都の役人は」


「必要ないと?」


「はい」



街を歩く。


市場。


宿。


酒場。


どこも。


人で溢れている。


「かつて東部は」


「農業以外」


「何もない土地でした」


「治安も悪く」


「貧しかった」


「ですが」


「鉱山が見つかり」


「すべてが変わった」


その横を。


鉱石を運ぶ。


男たちが通る。


首には。


鉄の輪。


王が。


足を止める。


「奴隷か」


「ええ」


「昔から」


「農地で使われていました」


「今では」


「鉱山でも」


「働いております」


「…………」


ジョーカーが。


黙って。


彼らを見る。



東部評議会。


円卓には。


大地主。


鉱山主。


商人。


各地の代表。


王が。


口を開く。


「なぜ」


「王都からの役人を」


「追い返した?」


一人の男が。


答える。


「我々は」


「貧しかった頃」


「何度も」


「王都へ助けを求めました」


「しかし」


「後回しにされた」


「…………」


「ようやく」


「我々の土地が」


「豊かになれば」


「戦争のために」


「税を出せ」


「鉱石を出せ」


「戦争が終われば」


「他の地域の復興のために」


「さらに出せ」


男が。


王を見る。


「我々は」


「王国の財布では」


「ありません」


「…………」


「ならば」


「何を望む?」


「自由です」


「…………」


「東部のことは」


「東部で決める」


「我々の富を」


「何に使うのかも」


「我々が決める」


「自分たちのことを」


「自分たちで決める」


「それだけです」


「…………」


ジョーカーが。


微笑む。


「なるほど」


「決める自由」


「素晴らしい」


男が。


頷く。


「分かっていただけましたか」


「ええ」


ジョーカーが。


窓の外を見る。


鉱石を運ぶ。


奴隷たち。


「では」


「一つだけ」


「あそこで」


「働いている方々も」


「その」


「自分たちには」


「含まれているのでしょうか?」


「…………」


男が。


眉をひそめる。


「彼らは」


「奴隷だ」


「…………」


ジョーカーが。


微笑む。


「なるほど」


「では」


「自分たちのことを」


「自分たちで決められるのは」


「…………」


「あなた方」


「代表の方々だけ」


「ということですね」


「…………」


誰も。


答えない。


王は。


評議会の者たちと。


窓の外の奴隷たちを。


静かに。


見比べていた。

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