71話「決める自由」
東部。
街道には。
鉱石を積んだ。
荷馬車が行き交う。
新しい店。
大勢の商人。
王が。
辺りを見る。
「随分と」
「変わったな」
「ええ」
ジョーカーが。
笑う。
「土の下から」
「富が出れば」
「地上まで」
「変わるようですね」
◇
街の入口。
一人の男が。
王たちを待っている。
「陛下」
「お待ちしておりました」
「お前は?」
「東部評議会の者です」
「評議会?」
「各地の代表が集まり」
「東部のことを」
「我々自身で」
「決めております」
「…………」
王が。
男を見る。
「王都の役人は」
「必要ないと?」
「はい」
◇
街を歩く。
市場。
宿。
酒場。
どこも。
人で溢れている。
「かつて東部は」
「農業以外」
「何もない土地でした」
「治安も悪く」
「貧しかった」
「ですが」
「鉱山が見つかり」
「すべてが変わった」
その横を。
鉱石を運ぶ。
男たちが通る。
首には。
鉄の輪。
王が。
足を止める。
「奴隷か」
「ええ」
「昔から」
「農地で使われていました」
「今では」
「鉱山でも」
「働いております」
「…………」
ジョーカーが。
黙って。
彼らを見る。
◇
東部評議会。
円卓には。
大地主。
鉱山主。
商人。
各地の代表。
王が。
口を開く。
「なぜ」
「王都からの役人を」
「追い返した?」
一人の男が。
答える。
「我々は」
「貧しかった頃」
「何度も」
「王都へ助けを求めました」
「しかし」
「後回しにされた」
「…………」
「ようやく」
「我々の土地が」
「豊かになれば」
「戦争のために」
「税を出せ」
「鉱石を出せ」
「戦争が終われば」
「他の地域の復興のために」
「さらに出せ」
男が。
王を見る。
「我々は」
「王国の財布では」
「ありません」
「…………」
「ならば」
「何を望む?」
「自由です」
「…………」
「東部のことは」
「東部で決める」
「我々の富を」
「何に使うのかも」
「我々が決める」
「自分たちのことを」
「自分たちで決める」
「それだけです」
「…………」
ジョーカーが。
微笑む。
「なるほど」
「決める自由」
「素晴らしい」
男が。
頷く。
「分かっていただけましたか」
「ええ」
ジョーカーが。
窓の外を見る。
鉱石を運ぶ。
奴隷たち。
「では」
「一つだけ」
「あそこで」
「働いている方々も」
「その」
「自分たちには」
「含まれているのでしょうか?」
「…………」
男が。
眉をひそめる。
「彼らは」
「奴隷だ」
「…………」
ジョーカーが。
微笑む。
「なるほど」
「では」
「自分たちのことを」
「自分たちで決められるのは」
「…………」
「あなた方」
「代表の方々だけ」
「ということですね」
「…………」
誰も。
答えない。
王は。
評議会の者たちと。
窓の外の奴隷たちを。
静かに。
見比べていた。




