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王の愚者  作者: クロワ
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68/105

68話「平和の値段」

王城。


財務室。


ダイヤが。


帳簿を眺めている。


「…………」


「陛下を」


「呼んでください」



「金がない?」


「はい」


王の前に。


積まれる。


大量の帳簿。


「戦争の賠償」


「負傷兵への補償」


「遺族への補償」


「各地の復興」


「そして」


「先日の橋の修繕」


「…………」


王が。


帳簿を見る。


「戦争とは」


「終わってからも」


「金がかかるのだな」


「壊したものは」


「直さなければなりませんので」


ジョーカーが。


横から覗く。


「戦争中は」


「壊す方に」


「随分と使いましたからね」


「…………」



ダイヤが。


別の書類を出す。


「問題はこちらです」


「北部の橋ですが」


「当初の見積もりより」


「費用が上がっています」


「なぜだ?」


「戦争の影響で」


「木材や鉄が」


「値上がりしています」


「…………」


王が。


数字を見る。


「高いな」


「ええ」


「この金額では」


「議会からも」


「反発が出るでしょう」


ジョーカーが。


首を傾げる。


「不思議ですね」


「何がだ?」


「戦争中は」


「これの何十倍もの金を」


「使っていたのに」


「誰も」


「高いとは」


「言いませんでした」


「…………」


「元々」


「高いと思っているものが」


「少しくらい高くなっても」


「気にならない」


「ですが」


「安いと思っていたものが」


「少し高くなると」


「途端に」


「高すぎると騒ぎ出す」


王が。


帳簿を見る。


「人とは」


「勝手なものだな」


「ええ」


ジョーカーが。


笑う。


「値段ではなく」


「思い込みと」


「比べておりますので」


「…………」


ダイヤが。


ため息をつく。


「皮肉で」


「橋は直りませんよ」


「残念です」


「私の得意分野なのですが」



王が。


もう一度。


見積書を見る。


「橋は直す」


ダイヤが。


王を見る。


「よろしいので?」


「ああ」


「冬になれば」


「北部へ物資が届かなくなる」


「高くなったからと」


「放っておく方が」


「後で高くつく」


「…………」


ダイヤが。


頷く。


「では」


「そのように」


「それと」


王が。


帳簿を取る。


「王宮の支出を」


「もう一度見直せ」


「宴も」


「装飾も」


「今はいらん」


「承知しました」


ジョーカーが。


手を挙げる。


「念のため」


「確認なのですが」


「私のお給料は?」


「…………」


王が。


ジョーカーを見る。


「安いと思っていたものが」


「少し安くなっても」


「気にならんだろう?」


「…………」


ジョーカーが。


黙る。


ダイヤが。


小さく笑う。


「陛下も」


「皮肉が」


「お上手になられましたね」


「良い師がいるのでな」


「…………」


ジョーカーが。


ため息をつく。


「教育とは」


「恐ろしいものですね」

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