65話「裁く者」
王城。
大広間。
王弟が。
一人。
立っている。
王冠も。
剣もない。
正面には。
王。
「王位簒奪」
「国王暗殺未遂」
「反逆」
「そして」
「大国との戦争」
罪状が。
読み上げられる。
「以上について」
「異議はありますか」
「…………」
「ない」
王弟が。
顔を上げる。
「すべて」
「私がやったことだ」
◇
「死刑にしろ!」
声が。
上がる。
「息子を返せ!」
「夫を返せ!」
「お前が」
「戦争を始めなければ!」
王弟は。
何も言わない。
「静かに」
王の声。
広間が。
静まる。
「弟の罪は」
「重い」
「その責任から」
「逃がすつもりはない」
「…………」
「だが」
王が。
人々を見る。
「この戦争を」
「望んだのは」
「本当に」
「弟一人だったのか?」
「…………」
誰も。
答えない。
「勝っている時」
「我々は喜んだ」
「もっと進めと」
「声を上げた」
「強い国になったと」
「誇った」
「…………」
「だが」
王が。
王弟を見る。
「それで」
「弟の罪が」
「消えるわけでもない」
王弟が。
静かに。
目を閉じる。
「判決を」
「言い渡す」
「王族としての」
「身分」
「権利」
「財産」
「そのすべてを」
「剥奪する」
ざわめきが。
広がる。
「そして」
「お前が始めた戦争で」
「傷ついた土地を」
「その目で見てこい」
「家族を失った者」
「故郷を失った者」
「生き残った者」
「その声を」
「聞いてこい」
「…………」
王弟が。
兄を見る。
「死んで」
「責任を取ることは」
「許さない」
「生きろ」
「そして」
「生きて」
「償え」
「…………」
王弟が。
深く。
頭を下げる。
「承知した」
◇
裁判が。
終わる。
人々が。
広間を出ていく。
怒る者。
泣く者。
黙って去る者。
「…………」
王が。
その背中を見る。
「皆は」
「納得しただろうか」
「さて」
ジョーカーが。
首を傾げる。
「皆様」
「違う顔をして」
「帰られましたから」
「…………」
「全員が納得する判決など」
「あるのでしょうか?」
王が。
小さく息を吐く。
「……厳しすぎただろうか」
「どうでしょう」
ジョーカーが。
小さく笑う。
「死刑なら」
「今日で」
「終われました」
「…………」
「生きる方が」
「楽とは」
「限りませんよ」




