↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王の愚者  作者: クロワ
PR
64/104

64話「帰る場所」

王城。


玉座の前。


王弟が。


剣を外す。


そして。


兄の前へ。


跪いた。


「兄上」


「約束通り」


「王位を」


「お返しします」


「…………」


王が。


弟を見る。


「本当に」


「いいんだな」


「ああ」


「この国の王は」


「私ではない」


王弟が。


顔を上げる。


「兄上だ」


「…………」


王は。


剣を受け取る。


再び。


王が。


王国へ戻った。



その日の夕方。


王城を出る。


二人の姿があった。


王と。


ジョーカー。


「こちらへ来るのも」


「久しぶりですね」


「ああ」


森の中。


草木をかき分ける。


その先に。


古びた。


小さな小屋。


「…………」


王が。


足を止める。


「まだあったか」


「意外ですね」


「クラブが」


「何度も直していたからな」


「そうでしたね」



――昔。


「おい!」


「ニア!」


「そっち持て!」


「重いです」


「男だろ!」


「あなたより」


「小さいんですよ」


「二人とも!」


幼い王が。


笑っている。


三人で。


木を運ぶ。


三人で。


壁を作る。


三人で。


秘密基地を作った。



小屋の隣。


新しい墓が。


一つ。


建っている。


そこに。


刻まれた。


クラブの名。


王が。


墓の前へ座る。


「…………」


「結局」


「お前が」


「一番先だったな」


ジョーカーも。


隣へ座る。


「昔から」


「せっかちな方でしたから」


「そうだったな」


「…………」


風が。


木々を揺らす。


王が。


秘密基地を見る。


「ここでは」


「誰が王になるとか」


「そんな話」


「しなかったな」


「ええ」


「…………」


「三人とも」


「馬鹿なことしか」


「しておりませんでした」


王が。


少し笑う。


「戻れたらな」


「…………」


ジョーカーが。


墓を見る。


「戻れませんよ」


「分かっている」


「ですので」


ジョーカーが。


立ち上がる。


「帰りましょう」


王も。


立ち上がる。


「ああ」


「また来る」


二人が。


歩き出す。


墓だけが。


秘密基地の隣に。


残った。



翌日。


王城。


大広間。


そこには。


王弟がいた。


剣も。


王冠も。


ない。


ただ一人の。


罪人として。


「王弟殿下」


「…………」


「王位簒奪」


「国王暗殺未遂」


「反逆」


「そして」


「大国との戦争」


次々と。


罪状が。


読み上げられる。


王弟は。


何も言わない。


傍聴する者たちの中には。


家族を失った者もいる。


「死刑にしろ……」


小さな声。


「息子を返せ……」


王弟が。


僅かに。


目を伏せる。


やがて。


問われる。


「以上の罪について」


「異議はありますか」


「…………」


王弟が。


顔を上げる。


玉座には。


兄がいる。


その隣には。


ジョーカー。


「ない」


「すべて」


「私がやったことだ」


「…………」


王が。


弟を見る。


兄としてではなく。


王として。


そして。


裁判が。


始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。