62話「正解」
王国。
城門が。
開く。
王と。
王弟が。
並んで入る。
「…………」
兵士たちが。
二人を見る。
死んだと思われていた王。
敗れた王弟。
誰も。
声を上げなかった。
◇
城内。
扉が開く。
ハート。
そして。
ダイヤ。
王弟が。
足を止める。
「…………」
ハートが。
頭を下げる。
「ご無事で」
「何よりです」
「…………」
「すまなかった」
「そのお話は」
「後ほど」
ハートが。
顔を上げる。
「今は」
「お帰りなさいませ」
「…………」
「ああ」
ダイヤが。
机へ。
書類を置く。
「戦死者」
「負傷者」
「失った物資」
「そして」
「大国との戦争」
「…………」
王弟が。
書類を見る。
並んでいるのは。
また。
数字だった。
だが。
もう。
数字には見えなかった。
「兄上」
「何だ」
「王位は」
「兄上に返します」
「…………」
「ですが」
「その前に」
「一つだけ」
「やらせてください」
王弟が。
顔を上げる。
「この戦争は」
「私が始めました」
「なら」
「終わらせるのも」
「私の役目です」
王が。
弟を見る。
「…………」
「ああ」
◇
翌朝。
大国へ続く。
街道。
王弟と。
ガレスが。
馬を進める。
「ガレス」
「ん?」
「謝っておきたいことがある」
ガレスが。
振り返る。
「昔の戦争で」
「スペードがお前を見捨てたと」
「俺は言った」
「…………」
「だが」
「あれは嘘だ」
王弟が。
目を伏せる。
「援軍が来なかったのも」
「情報が届かなかったのも」
「俺が仕組んだ」
「お前とスペードを」
「引き離すためにな」
「…………」
「すまなかった」
しばらく。
沈黙が落ちる。
ガレスが。
頭を掻く。
「なんだ」
「そんなことか」
ガレスが。
笑う。
「そんなこったろうと」
「思ってたよ」
「…………」
「あの堅物が」
「俺を見捨てるなんざ」
「どうにも」
「しっくりこなかったからな」
「…………」
「ガレス」
「ん?」
「随分」
「静かになったな」
「…………」
「国を変えると」
「言った頃は」
「もっといた」
ガレスが。
前を見る。
「俺たちと」
「強い国を作るって」
「集まった奴らがな」
「ああ」
「共に戦った者も」
「共に暮らした者も」
「ほとんど」
「散ってしまった」
「…………」
馬の足音だけが。
続く。
「ガレス」
「何だ」
「私は」
「いつから」
「間違っていたんだろうな」
「…………」
王弟が。
前を見る。
「何が」
「正解だったんだろうな」
しばらく。
ガレスは。
答えなかった。
「知らねえよ」
「…………」
「俺も」
「お前と一緒に」
「間違えたんだから」
王弟が。
ガレスを見る。
「だから」
「今から」
「考えりゃいいだろ」
「…………」
王弟が。
少し笑う。
「ああ」
二人の前に。
大国へ続く道。
「ガレス」
「何だ」
「戦争を」
「終わらせに行こう」
「ああ」
二人が。
馬を進める。
正解を。
知っているからではない。
これから。
探すために。




