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王の愚者  作者: クロワ
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62/105

62話「正解」

王国。


城門が。


開く。


王と。


王弟が。


並んで入る。


「…………」


兵士たちが。


二人を見る。


死んだと思われていた王。


敗れた王弟。


誰も。


声を上げなかった。



城内。


扉が開く。


ハート。


そして。


ダイヤ。


王弟が。


足を止める。


「…………」


ハートが。


頭を下げる。


「ご無事で」


「何よりです」


「…………」


「すまなかった」


「そのお話は」


「後ほど」


ハートが。


顔を上げる。


「今は」


「お帰りなさいませ」


「…………」


「ああ」


ダイヤが。


机へ。


書類を置く。


「戦死者」


「負傷者」


「失った物資」


「そして」


「大国との戦争」


「…………」


王弟が。


書類を見る。


並んでいるのは。


また。


数字だった。


だが。


もう。


数字には見えなかった。


「兄上」


「何だ」


「王位は」


「兄上に返します」


「…………」


「ですが」


「その前に」


「一つだけ」


「やらせてください」


王弟が。


顔を上げる。


「この戦争は」


「私が始めました」


「なら」


「終わらせるのも」


「私の役目です」


王が。


弟を見る。


「…………」


「ああ」



翌朝。


大国へ続く。


街道。


王弟と。


ガレスが。


馬を進める。


「ガレス」


「ん?」


「謝っておきたいことがある」


ガレスが。


振り返る。


「昔の戦争で」


「スペードがお前を見捨てたと」


「俺は言った」


「…………」


「だが」


「あれは嘘だ」


王弟が。


目を伏せる。


「援軍が来なかったのも」


「情報が届かなかったのも」


「俺が仕組んだ」


「お前とスペードを」


「引き離すためにな」


「…………」


「すまなかった」


しばらく。


沈黙が落ちる。


ガレスが。


頭を掻く。


「なんだ」


「そんなことか」


ガレスが。


笑う。


「そんなこったろうと」


「思ってたよ」


「…………」


「あの堅物が」


「俺を見捨てるなんざ」


「どうにも」


「しっくりこなかったからな」


「…………」


「ガレス」


「ん?」


「随分」


「静かになったな」


「…………」


「国を変えると」


「言った頃は」


「もっといた」


ガレスが。


前を見る。


「俺たちと」


「強い国を作るって」


「集まった奴らがな」


「ああ」


「共に戦った者も」


「共に暮らした者も」


「ほとんど」


「散ってしまった」


「…………」


馬の足音だけが。


続く。


「ガレス」


「何だ」


「私は」


「いつから」


「間違っていたんだろうな」


「…………」


王弟が。


前を見る。


「何が」


「正解だったんだろうな」


しばらく。


ガレスは。


答えなかった。


「知らねえよ」


「…………」


「俺も」


「お前と一緒に」


「間違えたんだから」


王弟が。


ガレスを見る。


「だから」


「今から」


「考えりゃいいだろ」


「…………」


王弟が。


少し笑う。


「ああ」


二人の前に。


大国へ続く道。


「ガレス」


「何だ」


「戦争を」


「終わらせに行こう」


「ああ」


二人が。


馬を進める。


正解を。


知っているからではない。


これから。


探すために。

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