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王の愚者  作者: クロワ
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59/105

59話「生かす理由」

「処刑を」


「中止しろ」


「……は?」


側近が。


将軍を見る。


「王弟は」


「殺すな」


「しかし」


「処刑は明日です」


「だからだ」


「…………」


将軍が。


机の上の密書を見る。


『処刑には手を出すな』


「王弟が死んで」


「得をするのは」


「誰だ?」


「…………」


「前王……」


「王弟は」


「兄から国を奪った」


「その王弟が死ねば」


「邪魔者が」


「一人消える」


「…………」


将軍が。


密書を置く。


「敵の望むことを」


「してやる必要はない」



将軍が。


地図を見る。


「王弟を」


「王都へ移送する」


「王都へ?」


「ああ」


「前王が」


「本当に王都を狙うなら」


「弟は使える」


「護衛は?」


「必要な兵だけ残せ」


将軍の指が。


王都へ向く。


「動かせる兵は」


「すべて王都へ回す」


「…………」


「王弟一人と」


「王都」


「どちらを守るべきかなど」


「考えるまでもない」


「はっ」



翌朝。


要塞の門が。


開く。


王弟を乗せた。


馬車が出る。


その周囲を。


護送兵が固める。


王弟が。


窓の外を見る。


「…………」


兵に尋ねる。


「処刑は?」


「中止です」


「…………」


「どこへ行く」


「王都です」


王弟が。


少しだけ。


眉をひそめる。


「王都……?」


馬車が。


動き出す。



森の中。


一人の兵が。


駆けてくる。


「出ました」


ガレスが。


立ち上がる。


「殿下は?」


「馬車の中です」


「護衛は」


「およそ八十」


「…………」


ガレスが。


剣を担ぐ。


「行くぞ」


「まだです」


ジョーカーが。


止める。


「またかよ」


ジョーカーが。


街道の先を見る。


「ここでは」


「広すぎます」


その先。


道は。


森の中へ入り。


細くなる。


スペードが。


口を開く。


「あそこか」


「はい」


「前後を」


「分けられます」


ガレスが。


笑う。


「なら」


「前は俺がやる」


スペードが。


見る。


「好きにしろ」


「お前は?」


「後ろを止める」


「…………」


ガレスが。


笑う。


「久しぶりだな」


「何がだ」


「お前と」


「同じ敵を斬るのは」


「…………」


「そうだな」



王が。


街道を見る。


遠くに。


馬車が見える。


「…………」


「本当に」


「ここまで来たな」


ジョーカーが。


笑う。


「大国の将軍は」


「賢い方ですから」


「王都と」


「王弟殿下」


「どちらが大切か」


「正しく」


「選んでくださいました」


「…………」


王が。


ジョーカーを見る。


「性格が悪いな」


「お褒めいただき」


「光栄です」


馬車が。


森へ入る。


ジョーカーが。


手を上げる。


スペード軍。


ガレス軍。


選ばれた兵たちが。


静かに。


武器を構える。


ガレスが。


剣を抜く。


スペードも。


続く。


王が。


前を見る。


その先に。


弟がいる。


「では」


「王子様を」


「お迎えに行きましょう」

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