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王の愚者  作者: クロワ
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58/114

58話「確かめた嘘」

夜。


大国の王都へ続く。


街道。


数騎の偵察兵が。


馬を走らせていた。


「…………」


「何もいないな」


「もう少し先まで行く」


森へ。


入った時だった。


「待て」


木々の向こう。


旗が。


揺れている。


スペードの旗。


そして。


王の旗。


「…………!」


「本当にいた」


「戻るぞ」


その瞬間。


ヒュッ。


矢が。


飛んできた。


「敵襲!」


森の中から。


兵士たちが。


姿を現す。


「スペード軍だ!」


「戦うな!」


「戻れ!」


偵察隊が。


馬を走らせる。


だが。


別の方向からも。


矢が飛ぶ。


「こっちにもいる!」


「抜けろ!」


数騎が。


森を抜ける。


その後を。


スペード軍は。


追わなかった。


◇


「将軍!」


傷を負った兵が。


駆け込んでくる。


「報告しろ」


「スペード軍を」


「確認しました」


「間違いないか?」


「はい」


「王の旗も」


「確認しました」


「兵数は?」


「分かりません」


「森の各所に」


「伏兵が」


「…………」


「その先は?」


「確認できませんでした」


「進もうとしたところ」


「襲撃を受け」


「我々も」


「数名しか戻れておりません」


「…………」


将軍が。


地図を見る。


「追撃は?」


「ありませんでした」


「…………」


将軍の指が。


偵察隊の進んだ場所で。


止まる。


「妙だな」


「は?」


「殺す気なら」


「追えばいい」


「…………」


「奴らは」


「お前たちを」


「倒したかったんじゃない」


将軍の指が。


その先へ。


動く。


「ここから先へ」


「進ませたくなかった」


「…………」


側近が。


地図を見る。


「何かを」


「隠している?」


「あるいは」


将軍の目が。


細くなる。


「何かを」


「待っている」


「…………」


「ガレス軍でしょうか」


「分からん」


「だが」


「奴の軍は」


「まだ見つかっていない」


「…………」


将軍が。


地図の王都を見る。


◇


「将軍」


一枚の。


密書が届く。


「どこで見つけた」


「王国側の者が」


「所持していました」


将軍が。


紙を開く。


『軍が到着次第』


『東門を開く』


『準備は整っている』


「…………」


側近が。


息を呑む。


「王都に」


「内通者が……?」


「偽物かもしれん」


「では」


「無視しますか?」


「…………」


将軍が。


地図を見る。


「スペード軍だけなら」


「王都は落ちん」


「だが」


「城門が」


「内側から開くなら」


「話は別だ」


「…………」


「さらに」


「ガレス軍まで」


「合流しているとすれば」


将軍が。


しばらく。


黙る。


「…………」


「兵を」


「王都へ回せ」


「ですが」


「明日は」


「王弟の処刑が」


「こちらにも」


「兵は残す」


「…………」


「だが」


「最悪を」


「無視するわけにはいかん」


「はっ!」


◇


深夜。


「将軍」


「今度は何だ」


「王国兵から」


「押収したものです」


一通の。


密書。


将軍が。


開く。


『予定に変更なし』


『処刑には手を出すな』


『我らはこのまま東へ進む』


「…………」


将軍の目が。


止まる。


もう一度。


読み返す。


王弟は。


兄から。


国を奪った。


その兄は。


今。


王弟を助けず。


王都へ向かっている。


「…………」


将軍が。


密書を置く。


そして。


王弟の牢へ。


目を向ける。


「なるほど」


「将軍?」


「…………」


「そういうことか」

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