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王の愚者  作者: クロワ
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51/110

51話「対等」

数日後。


 大国の使者が。


 再び王宮を訪れた。


「進軍停止について」


「ご回答を」


「…………」


 王弟は。


 使者を見る。


「一つ聞きたい」


「何でしょう」


「我々が」


「以前のような弱国なら」


「貴国は」


「こうして使者を送ったか?」


「…………」


 使者は。


 答えなかった。


「答えなくていい」


「貴国がここにいることが」


「答えだ」


 王弟は。


 書状を置く。


「進軍は」


「止めない」


「それが」


「貴国の回答ですか?」


「ああ」


「我が国の戦争を」


「どこで終わらせるかは」


「我々が決める」


 ◇


 使者が去った。


「これで」


「大国との関係は」


「悪化するでしょう」


 ダイヤが言う。


「分かっている」


「強い国に言われたから」


「従うのであれば」


「我々は」


「以前と何も変わらない」


 ハートが。


 王弟を見る。


「そのために」


「さらに大きな力と」


「争うことになっても?」


「だからといって」


「従う理由にはならない」


 王弟は。


 ガレスを見る。


「お前は?」


「俺は」


「軍人だ」


「…………」


「お前が決めた方に」


「従うだけだ」


 ◇


 大国。


「王国は」


「要求を拒否しました」


「そうか」


 将軍は。


 地図を見る。


「軍を」


「国境へ」


「戦争を?」


「まだだ」


「…………」


「言葉だけでは」


「止まらぬらしい」


 将軍の指が。


 王国へ触れる。


「なら」


「別の言葉で」


「話すしかあるまい」


 ◇


 数日後。


 北部。


『王国――大国の進軍停止要求を拒否』


『大国軍――国境付近へ移動』


「…………」


 王は。


 新聞を見つめていた。


「王弟の言っていることも」


「分からなくはない」


「ええ」


「強い国に言われたから」


「従う」


「それでは」


「結局」


「力のある者が」


「正しいことになる」


「だが」


「従わなければ」


「戦争になるかもしれない」


「…………」


「難しいな」


「王様ですから」


「難しくて当然でしょう」


「他人事だな」


「道化ですので」


「…………」


 王は。


 新聞を畳んだ。


「国境へ向かうぞ」


「承知しました」


 ジョーカーが。


 立ち上がる。


「しかし」


「対等というのも」


「大変ですね」


「何がだ?」


「相手にされなければ」


「見下され」


「…………」


「相手にされれば」


「今度は」


「剣を向けられる」


「…………」


「どうやら」


「認められるというのも」


「命懸けのようです」


「…………」


「皮肉か?」


「もちろんです」


 三人は。


 進路を変えた。


 向かう先は。


 大国との国境。


 力を持たなければ。


 対等には扱われない。


 だが。


 力を持てば。


 今度は。


 その力を警戒される。


 王は。


 その答えを。


 自分の目で。


 確かめようとしていた。

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