51話「対等」
数日後。
大国の使者が。
再び王宮を訪れた。
「進軍停止について」
「ご回答を」
「…………」
王弟は。
使者を見る。
「一つ聞きたい」
「何でしょう」
「我々が」
「以前のような弱国なら」
「貴国は」
「こうして使者を送ったか?」
「…………」
使者は。
答えなかった。
「答えなくていい」
「貴国がここにいることが」
「答えだ」
王弟は。
書状を置く。
「進軍は」
「止めない」
「それが」
「貴国の回答ですか?」
「ああ」
「我が国の戦争を」
「どこで終わらせるかは」
「我々が決める」
◇
使者が去った。
「これで」
「大国との関係は」
「悪化するでしょう」
ダイヤが言う。
「分かっている」
「強い国に言われたから」
「従うのであれば」
「我々は」
「以前と何も変わらない」
ハートが。
王弟を見る。
「そのために」
「さらに大きな力と」
「争うことになっても?」
「だからといって」
「従う理由にはならない」
王弟は。
ガレスを見る。
「お前は?」
「俺は」
「軍人だ」
「…………」
「お前が決めた方に」
「従うだけだ」
◇
大国。
「王国は」
「要求を拒否しました」
「そうか」
将軍は。
地図を見る。
「軍を」
「国境へ」
「戦争を?」
「まだだ」
「…………」
「言葉だけでは」
「止まらぬらしい」
将軍の指が。
王国へ触れる。
「なら」
「別の言葉で」
「話すしかあるまい」
◇
数日後。
北部。
『王国――大国の進軍停止要求を拒否』
『大国軍――国境付近へ移動』
「…………」
王は。
新聞を見つめていた。
「王弟の言っていることも」
「分からなくはない」
「ええ」
「強い国に言われたから」
「従う」
「それでは」
「結局」
「力のある者が」
「正しいことになる」
「だが」
「従わなければ」
「戦争になるかもしれない」
「…………」
「難しいな」
「王様ですから」
「難しくて当然でしょう」
「他人事だな」
「道化ですので」
「…………」
王は。
新聞を畳んだ。
「国境へ向かうぞ」
「承知しました」
ジョーカーが。
立ち上がる。
「しかし」
「対等というのも」
「大変ですね」
「何がだ?」
「相手にされなければ」
「見下され」
「…………」
「相手にされれば」
「今度は」
「剣を向けられる」
「…………」
「どうやら」
「認められるというのも」
「命懸けのようです」
「…………」
「皮肉か?」
「もちろんです」
三人は。
進路を変えた。
向かう先は。
大国との国境。
力を持たなければ。
対等には扱われない。
だが。
力を持てば。
今度は。
その力を警戒される。
王は。
その答えを。
自分の目で。
確かめようとしていた。




