ミーティング
第五十話
「勝者――龍牙連合所属、神代蓮!」
積田の声が響いたことで、龍牙連合側から歓声が上がる。
これで四試合。
結果は二勝二敗。
だが、蓮はその場に立っているだけでも精一杯だった。
「蓮、大丈夫か?」
孝太郎が駆け寄る。
「……大丈夫。ちょっと疲れただけだ」
「ちょっとって顔じゃねえだろ」
「うるせぇな」
蓮は苦笑しながら、肩を貸される。
「医務室行ってこい」
「ああ」
そのまま蓮は会場の外へ向かっていった。
孝太郎はその背中を見送る。
「……俺も龍術が使えたらな」
その後、5人は宿泊しているホテルへ戻った。
夜。
ホテルの一室。
部屋の中央に置かれたテーブルを囲み、積田、神崎、堂本、楓、そして孝太郎が座っていた。
「さて」
積田が口を開く。
「まずはお疲れ様。今から今日行われた試合の振り返りを行う」
全員が顔を上げる。
「まず神崎」
「はい」
「一試合目。隼人の硬方印に対して、迅方印の相性が良かった。正面から無理に攻めず、速度差を利用したのは正解だ」
「ありがとうございます」
「ただし、本当に相性が良かったが故の勝利と言っても過言じゃない。次の相手は速さだけでは対応出来ない相手だ作戦をしっかり立てて臨むように」
神崎が頷く。
「次に堂本」
「……はい」
「相手の止弾を受けすぎた」
「面目ないっす」
「ただ、自分から剛身を解除して戦い方を変えたのは悪くなかった。相手の技を理解してから対応できていた」
堂本が少しだけ顔を上げる。
「次は当てさせないっす」
「それでいい」
積田は次に楓を見る。
「楓」
「はい」
「お前の幻術は破られたわけじゃない」
「……はい」
「相手が幻術の中で戦う方法を見つけた。だがそれ以上に体術の差が出ていた試合だったと思う」
楓は少し考え、
「……私は幻術に頼りすぎた戦い方をしてしまったと思います。」
「幻術はなかなか破られない強力な術だから頼るのはわかる。体術は龍包囲で強化しても元に差がありすぎるとその差は埋まらない。体術の修行をしっかり行うように」
最後に、積田の視線が孝太郎へ向く。
「そして蓮だ」
全員の視線が集まる。
「龍演舞については、あれだけの技だから制御も難しいし何より奥の手として隠したいのはわかる」
「まあ、あれだけ派手ならな」
孝太郎が苦笑する。
「ただ、次の相手はこれをしっかり対策してくるはずだ。龍演舞は強力だがそれ故に発動までに時間がかかる技で、完成しなければただ踊ってるだけになってしまう。」
「はい」
しばらく沈黙が流れる。
四試合を終えて、龍牙連合は二勝。
不動会も二勝。
残すは準決勝戦と決勝戦。
「明日は準決勝だ」
積田が言う。
「相手は今日戦った二人だ。蓮はいないが二人とも頑張ってこい」
「……準決勝かぁ」
堂本が背もたれに体を預ける。
「俺も出たかったなぁ」
「あなたの技じゃ出れないでしょ」
楓が小さく笑う。
「お前負けたじゃねぇか!」
「私は油断してただけだから」
「よく言うぜ」
二人のやり取りに、神崎が笑った。
張り詰めていた空気が、少しだけ緩む。
孝太郎もその様子を見ながら、ふと口を開いた。
「……そういや」
「ん?」
神崎が振り返る。
「お前のところなんかあったのか?」
その言葉に、楓が少しだけ表情を変えた。
「試合途中に抜けてたよな?」
「ああ。空き巣が入ったらしいんだ」
孝太郎は小さく頷いた。
「特に取られたものなく、本当に入られただけって感じらしい」
「何もなければそれでいいんだけどよ」
「この龍討祭は決勝で勝ってしっかり龍魄を持って帰る。他に私情を持ってきて負けた時の言い訳にされたら敵わないからな」
「わかってるよ」
堂本が笑う。
孝太郎も笑った。
明日の試合を向けて皆が士気を高めあった。




