第二試合 続き
「このままだとサンドバッグで終わる」
孝太郎の言葉通り、堂本の身体にはすでにいくつもの止弾が撃ち込まれていた。
固められた腕が下がらない。
脚も思うように動かない。
巨大化した身体は、今や堂本自身の足枷になっていた。
「……なるほどな」
堂本が低く呟く。
エブリン佐藤は拳銃を構えたまま、楽しそうに笑っている。
「楽勝だな。こりゃ俺の勝ちだ」
堂本は答えず、ゆっくりと息を吐いた。
そして――剛身を解いた。
巨大だった身体が元の大きさへ戻っていく。
「え?」
佐藤が目を細める。
堂本は軽く肩を回した。
「デカくなりゃ、当てやすくもなるってことか」
一歩。
堂本が横へ動く。
(よし、身体も思うように動いてきた。どうやら止められる時間は長くないようだな。)
佐藤が引き金を引いた。
弾丸が飛ぶ。
堂本は身体を捻ってかわした。
「……!」
続けて二発。
三発。
堂本は走る方向を変えながら、すべて避けていく。
先ほどまでとは動きがまるで違う。
「止弾ってのは――」
堂本が一気に踏み込む。
「当たらなきゃ、止められねぇんだろ!」
佐藤の表情から笑みが消えた。
堂本はさらに距離を詰める。
佐藤が撃つ。
堂本が避ける。
撃つ。
避ける。
そして――
「ここだ!」
堂本が懐へ入り込んだ。
拳を握る。
「剛身!」
瞬間、堂本の腕が一気に巨大化する。
「もらった!」
振り抜かれる巨大な拳。
だが。
佐藤は笑った。
「だが、あまいわ」
銃口が堂本へ向く。
「――止弾」
乾いた発砲音。
弾丸が堂本の腕を撃ち抜いた。
「ぐっ……!」
巨大化した腕が、その場で固まる。
堂本が動きを止めた一瞬。
「もう一発」
二発目が脚へ。
「ぐおっ!」
脚が固まり、身体が崩れる。
それでも堂本は倒れない。
「まだ……だ!」
残った身体だけで拳を振ろうとする。
だが、佐藤はその動きを待っていた。
「止弾」
三発目。
堂本の肩が固まった。
完全に動きが止まる。
佐藤は拳銃を下ろした。
そして――龍包囲。
身体を巡る魄が一気に膨れ上がる。
「ヘイ!」
佐藤が一歩踏み込む。
堂本は動けない。
「くそ……!」
次の瞬間。
佐藤の拳が堂本の腹へ叩き込まれた。
「がっ……!」
身体が浮く。
さらに追撃。
顔面へ拳が入る。
堂本の額から血が垂れ、巨体が地面へ倒れ込んだ。
「堂本!」
蓮が声を上げる。
だが、堂本は起き上がらない。
積田が前へ出る。
「――勝負あり!」
会場に声が響いた。
「第二試合、不動会所属――エブリン佐藤!」
歓声が上がる。
堂本は倒れたまま、悔しそうに拳を握った。
止弾を攻略する方法は、間違ってなかったかもしれない。
ただ――それだけでは、勝てなかった。




